電験1種 電力・管理 問3
地絡方向リレーを設置した図のような送電系統を考える。 送電線一回線に一線地絡事故が発生した場合のリレーの動作について、次の問に答えよ。
ただし、計算諸元は次のとおりとする。 また、変圧器に接続されている中性点の接地抵抗は、送電線や変圧器のインピーダンスよりも非常に大きいものとし、送電線の静電容量は無視する。 さらに、B端は無負荷、無電源とする。
変電所送電端線間電圧 77000 [V]
A端変圧器中性点の接地抵抗 R1=100 [Ω]
地絡方向リレーのCT比と整定値
A端リレー(Ry1、Ry2) CT比: 1000 [A]/5 [A]、
整定値(電流):0.30[A]
B端リレー(Ry3、Ry4) CT比: 800 [A]/5 [A]、
整定値(電流):0.40[A]
事故点までの距離と事故点抵抗
A端~B端の送電線の距離を100 [%] としたときの
A端~事故点Fまでの距離:X [%]
事故点Fの事故点抵抗:R2 [Ω]
*事故点抵抗は純抵抗成分であるとする。
(1) X=60.0 [%]、R2=0 [Ω] であるとき、事故点Fに流れる地絡電流を求めよ。
(2) X=60.0 [%]、R2=230 [Ω] であるとき、Ry1、Ry2、Ry3に入力される電流の大きさをそれぞれ求めよ。
(3) R2=230 [Ω] であるとき、受電端(B端)リレーが両回線ともに不動作、送電端(A端)リレーが両回線ともに動作となり、受電端が停電するX [%] の範囲を求めよ。
(1)送電端の線間電圧が77000Vなので
相電圧は 77000/√3 = 44456V
地絡抵抗が0 Ωのとき
題意より送電線のインピーダンスは
中性点の接地抵抗に比べて無視できるので
地絡電流=44456/100=444.56 (答)445A
(2)地絡抵抗が230Ωのとき
地絡電流=44456/(100+230)=134.715(A)
分流計算をする。 X =60%なので
一回線当たりのインピーダンスを 1 とすれば
Ry1 側を流れる電流は
134.715 x (1+1-0.6)/2=94.3005(A)
Ry2, Ry4, Ry3 側を流れる電流は
134.715 x 0.6/2=40.4145(A)
Ry1 に入力される電流は
94.3005 x 5/1000=0.4715 (答) 0.472A
Ry2 に入力される電流は
40.4145 x 5/1000=0.20207 (答) 0.202A
Ry3 に入力される電流は
40.4145 x 5/800=0.25259 (答) 0.253A
(3) Ry1 側を流れる電流は
134.715 x (1+1-X /100)/2=134.715-0.673575・X (A)
Ry2, Ry4, Ry3 側を流れる電流は
134.715 x X /100/2=0.673575・X (A)
Ry1 に入力される電流は
(134.715-0.673575・X ) x 5/1000=0.673575-0.003367875・X
Ry2 に入力される電流は
0.673575・X x 5/1000=0.003367875・X
Ry3,Ry4 に入力される電流は
0.673575・X x 5/800=0.0042098・X
ここでRy1=動作, Ry2=動作, Ry3=不動, Ry4=不動 となる条件は
0.673575-0.003367875・X ≧0.3 ・・・(1)
0.003367875・X ≧0.3 ・・・・・・・・(2)
0.0042098・X <0.4 ・・・・・・・・・(3)
(1)式より X ≦110.9
(2)式より X ≧89.0769
(3)式より X <95.01639
従って 求める X の範囲は 89.08≦X ≦95.01 (答)
解答条件が有効数字3桁ならば
89.1(%)≦X ≦95.0 (%) (答)
この場合等号をつけたほうが厳密な解と思われる。
サービス問題だと思うのですが どうでしょう?
間違っていたら恥ずかしい限りです。