電験1種 機械・制御 問1
200V、5.5kW、50Hz、6極の三相かご形誘導電動機の拘束試験の
結果は次のとおりである。
線間電圧 40V
線電流 22A
三相入力 620W
この電動機をV/f制御のインバータで制御する。
始動の際、インバータの電圧および周波数の調節機能を利用して、
始動周波数を数ヘルツとすることによって、始動電流を抑えることができる。
励磁電流が無視でき、また、電気的過渡現象も無視できるものとして、
次ぎの問いに答えよ。
(1)r1+r2およびx1+x2はいくらか。
(2)始動時のインバータの出力周波数をfLとするとき、始動トルクを
全電圧始動で得られるトルクと等しいトルクで始動させるための
インバータの出力電圧VL(線間)をfLと等価回路定数の記号を用いた式で表せ。
(3)上記(2)において、始動電流が22AとなるfLおよびVLはいくらか。
さて、この問題
V/f 制御をどうとらえるかで様相が一変する。
V/f 一定制御ととらえると
VL/fL = Vn/fn つまり VL = fL*Vn/fn = 4*fL となって
(2)、(3)の設問の存在意義がなくなってしまう。
ここではVに対応してf も変化させる制御
あるいは逆に表現すれば f に対応してVを変化させる制御と考えて
愚直に計算して正解を導き出すのが出題者の意図ではなかろうか?
インダクタンスは変化しなくてもリアクタンスは周波数 f に比例して変化することにも注意。
(1)の回答
線電流22Aで三相入力が620Wであるから
3 * IL^2 * ( r1+ r2 ) = 620
( r1+ r2 ) = 620 / 3 / 22^2 = 0.426997 r1+ r2 = 0.427 Ω(答)
三相皮相電力は √3 * 40 * IL であるから
3 * IL^2 * √{ ( r1+ r2 )^2 + ( x1+ x2 )^2 } = √3 * 40 * IL
√{ ( r1+ r2 )^2 + ( x1+ x2 )^2 } = 1.049728 ← 拘束インピーダンス
( r1+ r2 )^2 + ( x1+ x2 )^2 = 1.101929
( x1+ x2 )^2 = 1.101929 –0.426997^2 = 0.919602
( x1+ x2 ) = 0.95895 x1+ x2 = 0.959 Ω(答)
(2)の回答
周波数 fL 線間電圧 VL 定格周波数 fN 定格電圧 VN
すべり=s として
入力電流、機械的出力、角速度、トルク の計算式を出す。
このときリアクタンスは (fL/fN) * (x1+x2) とする。
fL=fN、 VL = VN s=1 とすれば全電圧始動時の値が得られる。
両者を比較して
VL = [ 800 * fL * { (r1+r2)^2 + (fL/50)^2 * (x1+x2)^2 } / { (r1+r2)^2 + (x1+x2)^2 } ]^0.5
・・・(答)
ホント ?
(3)の回答
(2)で求めた入力電流の式にVLの式を代入すると
比較的スッキリと入力電流がfLの関数として表わされる。
これを22Aと置き、(1)で求めた ( r1+ r2 )^2 + ( x1+ x2 )^2 の値を入れれば
fL = 2.00007
VL = 16.3362 が得られた。
fL = 2.00 Hz (答)
VL = 16.3 V (答)
どうだろう?
計算ミスがなければ この考え方で正解が導かれると思うが・・・
あるいは まったくの 頓珍漢?