新種のハゲタカ

🍀新種のハゲタカ🍀


以前、ある企業の社長と食事をしていたときのことです。

「金城君、メンタルトレーナーをやっているって聞いたんだけど、俺の相談にのってくれる？」

といわれ、カウンセリングをしたことがありました。

「実はさぁ、うちにバカ社員がいるんだよ。

10いっても1しかわからない。

本当に手を焼いていて、

おかげで変形脱毛症になってしまった。

どうしたらいいものかね」

ストレスを抱えた社長は、変形脱毛症で毛が抜け、薄い頭がますます薄くなっていました。

そこで、僕は、ちょっとした治療を兼ねてユーモアにお付き合いしてもらうよう、お願いしました。

「社長はハゲタカという鳥をご存知ですか？」

「頭の禿げたタカことだろう。それと、俺のストレスはなんの関係があるんだ？」

「実は、最近、新種のハゲタカが見つかったらしいんです」

「そうなのか。それは知らなかったな」

そんな前置きをしながら続けました。

「社長、バカにつける薬はない、とよくいいますよね。

しかし、そのバカに対して10ものをいって1しかわからないとボヤいている人がいるとしたならば、

その人は、もっと馬鹿だと思いませんか？」

しばらくしてから、社長はバカだといわれているのが自分だと気づいたようで、

「お前、辛口だなぁ〜。確かにそれがいまの俺かもしれないな」

と少し笑いながらいいました。

「それでですね、先ほどの新種のハゲタカの名前は、ハゲバカっていうんですよ」

こういうと、社長はしばらく笑いころげて、

「俺は、新種のハゲバカだな、本当にハゲてるし… 」

「社長、笑えるなら治せます。

10いって1しかわからない人には、

10いって1しかわからない人だと、

社長が理解すればいいだけです」

すると、社長はキョトンとした表情でしばらく間を置いてから、

「ああ、俺の問題かぁ」

と気づかれました。

自分が変われば指導の仕方もやりようがあることを。


それから、数カ月後、社長とお会いしたとき、にっこり笑ってこういってくれました。

「10いっても1しかわからない人に、10いっていた自分がおかしく思えてきたよ。

それからは、その人に1つずつ教えたんだ。

そしたら、誰よりもその1つのことを丁寧にこなす力があることに気づいたんだよ。

おかげさまで、ハゲバカもいなくなったし、その社員とも良い関係を保ってるよ」


社長はストレスをユーモアに変えて、円形脱毛症を治しバカな社員を良き社員として育てることに成功したのです。

ユーモアを持つことができれば、いつだって人は変われる。

だから、どうしても頑なになってしまったと思った時ほど、

意識して、「笑い」を取り入れてみてください。

心がほぐれれば、周りのアドバイスに耳を傾ける余裕ができて、必ずいい方向に改善していきますから。


（「あなたのなかのやんちゃな神さまとつきあつ法」金城幸政より）