安西水丸というイラストレーターを知っている人はいるだろうか。
村上春樹が書いた「村上朝日堂」という本のイラストを描いた人である。(写真のカバー)
私はハルキストではないが、春樹の著したエッセーが好きである。何気ない日常が
軽妙洒脱な文章で語られていて読んでいて面白い。小説よりエッセーの方がいい。
タクマざるユーモアが随所に感じられる。世間ではこれを「村上ワールド」などと
称しているが。
安西水丸という名前を知ったのもこの本を読んでからである。
ウェブニュースを何気なく見ていたらこの人の名前が目にとまった。
それによると近々世田谷文学館で彼のイラストレーター展が開かれる予定だという。
アクセスが良ければ見に行ってもよいのだが、自分も水丸さんと同じ千葉県に
住んでいるのでおいそれとはいかない。
ニュースによると水丸さんは2014年に亡くなられたという。そのことも初めて
知ったことである。
「村上朝日堂」の巻末近くに付録があって水丸さんと春樹が対談している。
おもしろいと思った個所を抜粋する。
春「ひじきで歯を磨くってのが、どうも映像的にうまく浮かんでこないんですが」
水「僕のうちはね、千倉っていってもずっと白浜よりで、ぜんぶ岩場なんですよ。
もうぜんぶ磯場でね。そこが一面ひじきなのね。(中略)それをちぎって口に
入れて二、三回噛むわけ。歯を磨くのと同じでさ、弾力性があって塩分があるから」
春「ソルト・サンスターですね」 (笑)