前々から行きたいなあ~っと思っていた料亭。
看板らしきものはなく、深い緑の木々の中、高い塀に囲まれ、一見どなたかのお屋敷かと思ってしまうほど、落ち着いたたたずまいの店構え。
会席料理が大好きな私、早速予約。
おとうさんと息子の3人、ちょっぴり召しこんで玄関を開けると・・
“いらっしゃいませ、お持ち申しておりました。”と着物姿の女将と仲居さんから出迎えを受け、
“こちらで御座います”
今度は部屋係りの仲居さんの案内で部屋に通される。
水の流れる音が聞こえ、広い窓の向こうは手入れされた庭が。
座り心地のよいほどよい高さの椅子、明る過ぎず、暗過ぎずの照明。
暑すぎず、寒すぎずの室温。
まずはグラスビールをお願いする。
テーブルに置かれたグラスを手に取ると、松徳硝子だ。
松徳硝子は熟練のガラス職人の技で極限まで薄くした0、9mmの「うすはりグラス」。
手に取ったときの軽さ、口当たりの良さ、ため息がもれるような繊細さだ。
手にした感触は独特な味わいで、至福の時を極上のグラスでいただくビールの醍醐味。
それも好きなスーパードライ。
う~~~いいんだな~
御造りの本鮪、ぼたん海老、雲丹、北寄貝、
ずわい蟹の銘々盛り、真鯛と白子の焼き物、甘鯛の揚げ出し、黒かれいの煮付、本鮪とろ、穴子、蝦夷鮑、松皮鰈の握り鮨などなど、
前菜から始まり最後の水菓子まで、絶妙のタイミングで運ばれてくる。
その間、日本酒は「14代」を注文するが、以前飲んだ時、こんな味だったかと思うほど口に合わず息子に任せ、ワインを注文。
ライトアップされた中庭を眺めながら、ゆっくりと穏やかな時間が流れていく。
名残惜しいが席を立つと、玄関では板長、女将、仲居さんの見送りをいただき、店を後にする。
視てよし、食べてよし。
芸術的な職人の技。
至福の時間を過ごさせていただいた。
時々伺いたいものだが、そうはいかない。
贅沢はたまに。
今度はいつ行けるかな。