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山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

やっぱりワサビはすごい!

2025年04月15日 | 山菜料理

 今回の山菜料理、フスベ漬けは大成功と言ってよいでしょう。

 毎年作ってはいるんだけど、やっぱり、例年よりも気合が入ったせいか、非常に良い出来でした。

 辛味は最高級だし、雑味のない澄んだ仕上がりになったので非常に満足しています。

 この美味しさを、離療食中の身でも楽しめることが分かったら、次の楽しみ方も試してみるべきでしょう。

 本来、ワサビの楽しみ方は、『根』の利用が一般的です。

 こちらも楽しまなけりゃ片手落ちってものよ。

 で、今回収穫してきたワサビ根だけど、

       ワサビ根も控え目

 小さめの株を少々持ち帰ったので、ついてきたワサビ根も小さめ。

 このサイズは、量的に言うと刺身なんかに使うには少々物足りないかもしれない。

 だけど、我が家ではある意味、最適サイズなのであります。

       おひとりに1個。可愛いけれど、いい色です

       摺り下ろしたら

       ご飯に乗せて、醬油をちょっと垂らすだけ

 毎年紹介しているんだけど、しつこく。

 これ以上ワサビ根を美味しく食べる方法はないと思います。

 これ以上の山菜と言うか、ご飯のおかずは、この世に存在しないのではないかと言うぐらい美味しいです。

 そして、もう一品。

 フスベ漬けのつゆも、活用します。

       フスベ漬けのつゆ120mlに

       麺つゆを足して

 『つけつゆ』のレベルに味付けします。

       ワサビ蕎麦の準備ができました

       茹でて締めた麺に薬味を添えて

       『ズズズッ』ができないので

 どのスプーンだと美味しく戴けるかな?

       今回の場合、穴付きのレンゲが一番食べやすかった

 食べやすさは、マタギの都合の話。

 問題は、お味の方ですね。

 最近の言葉で申します。

 控え目に言って、最高です!

 ワサビの辛味と風味が蕎麦に合うことは、ある程度分かっているんです。

 だけど、摺り下ろしたワサビでは、この味にはならない。

 フスベ漬けのつけつゆだから、ワサビの辛味と旨みが麺つゆと一体化して、この上ない旨さを齎してくれているんだと思います。

 一緒に食べた家族も、感動しておりました。

 もったいなくて、蕎麦湯代わりにお湯を足して飲ませていただきましたが、これまた極めて旨かった。

 

 ワサビご飯にワサビ蕎麦。

 それぞれに、本当に幸せなひと時を堪能させていただきました。

 やっぱり、食事の楽しみって、これだよね。

 山の神様、本当にありがとうございました。

 ご馳走様でした!


神よ見捨てないで!運命のワサビ料理

2025年04月13日 | 山菜料理

 このところずっと続けている離療食奮闘記。

 そもそも、なぜこんなに苦労しているのか、という話に戻ってみる。

 と言うか、ようやくはっきりしてきたので、現在のマタギの見解をまとめておく。

 食道の入り口を塞いでいた患部が取り除かれたのだから、物は食べやすくなるはず。

 ところが残念ながら、そうはならなかった。

 理由は、食道と気道とが切り離されたから。

 食べ物の通り道と、空気の通り道とが、はっきりと区別されちゃったということね。

 これで何が起こっているかというと、食べ物を口の中に取り込みづらくなってしまった。

 いわゆる『すする』という作業や『吸い込む』という作業ができません。

 そうして、口に入った食べ物を『飲み込む』という作業も、かなり苦しい。

 『食べる』という活動に、これほど『呼吸』の力が重要な役割を果たしているとは、今まで考えたこともなかった。

 そのため、どうやったら上手に食べ物を口に運び、食道に送れるかを試行錯誤しているわけです。

 さて、この『食べる』という活動に呼吸』が果たす極めて大きな役割が、もう一つあることに気付きました。

 これは、すでに、1月の最初の手術の時に気付きました。

 それは、『呼吸』『嗅ぐ』という活動に、なくてはならないということ。

 鼻からの呼吸が止まってしまうと、香りが分からなくなってしまうんです。

 このことも、食事をする身、作る身にとっては極めて重要です。

 実は、ここまで紹介してきた料理も匂いが全く分からずに作ってきました。

 退院最初に作ったパウンドケーキも、本来であれば、ケーキの甘い香りとグラスアローの酸味とが渾然として、さぞかしいい香りだったはずなんですけど、マタギには全く分かりませんでした。

 家族が喜んでいたから、「うまくいったんだな」と分かるぐらいです。

 昨日いただいたアサツキとフキノトウも、本来であれば、帰りの車の中、調理をする台所中に春の香りが溢れているはずで、その香りを楽しみながら運転したり調理したりしていたはずなんです。

 でも、全然分かりませんでした。

 ただ、妻に聞くと、

「すごくいい匂い。」

と答えてくれるから、「今年もこの香りを運んでくることができたんだな」と安心することができた次第なんです。

 まるで、音が聞こえないのに音楽を創るベートーベンみたいです。

 少々、前置きが長くなり過ぎました。 本題に入りますね。

 そして、本日食するのがワサビなんです。

 ワサビと言ったら他に類をみない爽やかな辛味を楽しむ山菜。

 ただ、この辛味、唐辛子なんかと違って揮発性なんです。

 つまり、気化した香りを楽しむってことだと思うんだな。

 ここに書いたように、今のマタギは、鼻が利かない。

 もしかしたら、鼻が働かないマタギは、このワサビの美味しさが楽しめないのかもしれない

 そんな危惧を抱いての調理となりました。

 その顛末をまとめておきます。

 調理については、細心の注意を払って絶対失敗しないようにフスベ漬けを作ろうとしました。

 ・葉や茎と根とを切り分け、寸切りよりも短めに切っていきます

 ・結構多く見えますが

 ・強塩をまぶして揉み込むと

 ・しんなりして、こんなに小さくなります

 ・マタギ流は、これをザルに広げて、熱湯を回しかけたらタッパーに移し

 ・蓋をして1分間シェークし続けて、ワサビを”怒らせ”ます。

 ・用意しておいたつゆをたっぷりかけて空気が入らないレベルまでいっぱいにしたら

 ・蓋をして密封。急冷します

 ※つゆは、麺つゆのかけ汁と同じ濃さ

 ※急冷は、冷凍庫に30分ほど(凍らない程度)入れてから冷蔵庫に引っ越しました

 ・一晩冷やし続けて果報は寝て待て。

 そうして、翌日。

 『匂い』を嗅ぐことができなくなったマタギにも、ワサビの辛さを楽しむことができるのか。

 これで何も感じないようなら、ワサビを採ってくる意味がなくなってしまいます。

       運命の時がやってきました

 恐る恐る、皿に移しとって口に運ぶと、

 くわあああ~!!!!!

 口の中、鼻の中にワサビの辛さが広がり脳天を突き抜けていきます。

 すんげー辛いじゃないの。

 しかも、数秒間ぐらいかな? 尾を引かずスウッと消えていくワサビ独特のスマートな辛さです。

 これよこれ!!

 この辛さを味わいたかったんだよ。

 ああ~、よかった!

 鼻が利かなくなったマタギでも、このワサビの美味しさは、楽しめるってことね。   

 この際、原因の究明なんてどうでもいい。

 今年もワサビ料理を楽しめることに、感謝しかありません。

 山の神様、ありがとうございます!

 また遊びに行きますね。

 そして、もう少しだけいただきますので、この美味しさを楽しませてください。


食卓にも春の喜び

2025年04月12日 | 山菜料理

 本日、山の神様から戴いてきたのは、アサツキとフキノトウとワサビの3種。

 このうち、ワサビは、環境を選ぶデリケートな植物だから、天然の状態で出会ったことのある人はそんなに多くないと思う。

 けれども、アサツキとフキノトウは、正直なところ、どこにでも生えている山菜だ。

 ただ、山の中で、排気ガスを浴びることもなく、すくすくと育ったと思うだけで、そのありがたみが倍増するってものよ。

 先ずは、この純粋培養の山の幸から戴くことにしましょう。

 どの山菜も、ひと手間ふた手間かかるんだけど、一番厄介なのはアサツキかな。

       何と言っても、このひげ根が全てのものに絡みつきます

 山で収穫した時に、可能な限りきれいに洗ってから持ち帰るんだけど、それでもひげ根や茎同士の隙間に汚れが残っています。

 これを洗い落として、

       ひげ根をすっかり落とすと

 

       瑞々しい美しさ

 簡単に言うと、極細のワケギみたいなものなので、香りを楽しみます。

 したがって加熱も、沸騰したお湯でサッと湯がいたら、

       間髪を入れずに冷水にさらして熱冷まし

       あとは普通のおひたしのように寸切りにして

       一丁上がり

 続いて、フキノトウですけれど、

       今回はツブじゃなくて

 炒め煮にしていただきます。

 こちらは、繊維が強いしアクも強いので、花と葉を外したら、

       残ったお湯で5分間ほどしっかり茹でました

       こちらも冷水にさらしたら寸切りにして味付け

       150gあったので

 ※酒醤油みりんも大さじ1.5

       先ずは、ごま油で軽く炒めたら

       前述の調味料+ほんだし適量を加えて煮詰めていきます

       あっという間に色が変わってきました

 中弱火なんだけど、量が少なかったせいか、水分が飛ぶのが思いのほか早くて、危うく焦がすところでした。

       2丁上がり

 こちらは常備菜にするんだけど、つまみ食いでどんどんなくなっていきます。

 まあ、人気があるのは良いことじゃ。

 アサツキの方は、

       本日の夕食に加わってもらいました

 酢味噌和えなんだけど、なぜか酢味噌の作り置きがあったので、それを使わせてもらいました。

       ああ、春の味

 ここまで辿り着くと、ようやく本日の山菜採りが終わった、という気がしてきます。

 山の神様、ありがとうございました。

 今年も、美味しい山の幸をお恵み下さい。

 感謝とともに箸を置く。

 

 さて、もう一つ山の幸が残っているんですけど、こちらは一晩かかるので、明日のお楽しみになります。


また一歩近づいたかな?山菜シーズン

2025年04月07日 | 山菜料理

 退院以来、春とは思えないような寒い日が続いた。

 4月に雪が降るなんて、最近の記憶にない気候だ。

 おかげ様で、心身が健全に保たれてきたと言ってよいだろう。

 これで、ポカポカの春の陽気なんて状態だったら、全てを投げ捨てでも山に出掛けていたかもしれない。

 しかし、この天候だと出かけても無駄、その気になれないのだ。

 そのため、退院後のなまった体を、じっくり回復させることができつつある。

 これは、天気の神様に感謝ですな。

 とは言っても、さすがにこんな天候がいつまでも続くはずはない。

 この北国でも、遅ればせながら最高気温が15℃を超える予報が発表されるようになってきた。

 早速、山仲間のT氏から連絡が入り、日程調整の段階に入った。

 だとすると、それまでにやっておくことは、装備の確認とメンテナンス。

 愛用の鉈を研ぐと、ぶら下げた紙がスパッと切れるようになった。

 続いて、自分の体力。

 こちらは、入院中から徐々に戻してきているから、かなりいい感じになってきている。

 いつでも出発できる状態と言ってもよいだろう。

 ただ一つ、大きな懸念が残っている。

 それは、採ってきた山菜を食べられるのかということ。

 せっかく山の幸を持ち帰っても、それを美味しく戴けなかったら、山の神様に顔向けができないではないか。

 これまでの離療食の試練は、この時のためのものでもあるのだ。

 そこで考えた。

 これは、悩んでいても仕方がない話。

 まずは、我が家で保存している山菜を、食べてみるのだ。

 それで、課題が見つかったら、調理の仕方を工夫・改善するしかないだろう。

 で、今年の場合、冬にドタバタが続いたため、保存食がいろいろ残っている。

 その中からコゴミをチョイスすることにした。

 理由は、春が早い山菜であること。 そして、コゴミの繊維を美味しく食べられれば、ほぼほぼすべての山菜は、食べられるはずだから。

 したがって、最初は、あまり過保護にならず、いつもの食べ方で試してみるところから試してみましょう。

 それでは始めましょう! ・・・と言っても、超簡単です。

       冷凍してあったコゴミを

       ちょっとぬるいぐらいの水に浸けて戻します

 この間に、胡麻だれを準備しましょう。

      使ったのはこの3つ

 ※胡麻18、砂糖9に、出汁醤油45gをブレンドします

       胡麻をスリスリして

       他の調味料を混ぜ合わせたらOK

       コゴミも戻りました

 ジップロックのメモを見ると2年前のものだったので、ちょっとしんなり。

 これに、

       胡麻だれを和えて

 コゴミのゴマ和え出来上がり!

 早速戴きました。

 ああ、懐かしい春の味ですねえ。

 問題は、これがちゃんと飲み込めるかということなんです。

 でも、こちらもなんとかなりそうな感じでした。

 ちょっとしんなりしているけど、丁寧に噛めば大丈夫。

 ああ~、美味しかった!

 家族も、1年ぶりの懐かしい味を喜んで味わっていました。

 ようし、これで安心!

 あとは無理をせずに、マイペースで、ということでしょう。 

 出ている山菜を出ているなりに戴ければよし、ということになりますな。

 さあ、復活の日が、また一歩近づきましたよ。

 心を落ち着けて、本番を迎えたいと思います。


ワラビがあった

2025年02月14日 | 山菜料理

 退院して以来、喉の通りの良いことを目指して、煮込んだ野菜料理ばかりに目を向け続けてきた。

 で、また突然気付くんですね。

 柔らかいと言ったら、「あれ」があるじゃないの。しかも、大量に。

 その野菜の名は、ワラビ

 正確には山菜ですけど、日本全国に市民権を持つこの山菜は、今や野菜と言っても誰も文句が言えない程、人の手がかかるようになってきている。

 だって、当地では、しっかり手入れされた畑で栽培し、成長に合わせて基準の長さを満たすものを切り揃えて、量にばらつきが出ないようにまとめてから出荷しているんですよ。

 こんなの、畑の野菜と全然違わないじゃないですか。

 でも、マタギたちが採ってくるワラビは山菜ね。

 山の中の生育適地ですくすくと育ったものを、旬の時期を読んで採ってきます。

 それが、大量に塩漬けされていることを思い出したんですよ。

 「戻す」手間はそれなりにかかるけれど、実際に手をかける時間は、そんなに長くありません。

 で、一度戻してしまえば、結構日保ちするし、何と言っても、他の追随を許さない程柔らかくて美味しいのよ。

 なんで今まで気づかなかったのかという気もするのだけれど、それは仕方ない。

 気づいたからには作るべきでしょう。

 早速行ってみます。

       先ずは、銅鍋にたっぷりの水を汲んで、グツグツと煮出します

       去年、ワラビの漬け替えをしてるから、多分これは2年以上前のワラビです

 ・軽く洗って、塩を流し落とします

       こんな感じです

 ※準備物は重曹だけ

 ・お湯が沸騰しているところにワラビを投入

 ・全体を裏返したら、重曹を適量回しかけて火を止めます

 ・蓋をして、そのまま冷めるまで待機

       さすがに極寒、半日もかからないうちにすっかり冷めてしまいました

       かなりのアクが出るけど、すっかりアクを抜くには、更に時間をかけます

 ・きれいな水に移しかえて(途中、更に入れ替えあり)、さらし続けること丸2日

       3日目に一部を取り出しておひたしにしてみました

       生姜醤油で戴きます

 この食感と味が独特で嬉しいんですね。

 特に、トロッとした食感が、ワラビの一番の魅力だと思います。

 ちょっと苦みを感じるけど、さほど気にならない。

 うん。これなら文句なく合格ですね。おひたしとしても、マタギの病人食としても。

 このワラビがなくなったら、鍋に残して水にさらしているワラビを、必要分だけ取り出して、またおひたしにします。

 山の神様の恵みが、思いがけず病人に優しい料理の役目を果たしてくれました。

 ありがたいことです。

 ご馳走様でした!