山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

たい・タイ・鯛

2024年10月31日 | 日記とレシピ

 突然、電話が鳴った。

 こんな時間に鳴る電話は、オレオレ詐欺か親戚の不幸か。

 うるさいので受話器を取ると、

「あ、お父さん。」

オレオレの方か? でも聞き覚えのある声だ。

「今、買い物に来てるんだけど。」

妻だ。 車でもぶつけたか?

「また『海鮮ボックス』見つけたの。」

「なに!? それは買ってきて!」

「でも、どの箱を選んだらいいか分からなくて。」

「分かった、すぐ行く。co●pね。」

変な電話でなくてよかった。

 チャリに乗って店に直行すると、並んだ箱の前に妻が待っていた。

「結構いっぱいあって、どれを選んだらいいのか分からないのよ。」

確かに、いっぱいある。しかし、今回は、売れてませんね。

その理由は、レアな魚が多いことと、目玉になる大物が入っていないためだろう。

 で、ちょっと迷ったけど、

       この箱を選びました

 理由は、一言では言いづらいんだけど、強いて言えば、変化のある料理が楽しめそうだから。

 さて、足の速いサバは、まっ先に下ごしらえしておかねばなるまい。

 ただし、昨近、厚労省から警戒情報が出ているアニサキス問題があるから、食べるのは明日以降になるでしょう。

 だとすると、今宵は、三種の鯛の盛り合わせで行きましょう!

 三種の鯛ってどれかと言うと、画像左の縦(横?)じま模様のイシダイと右のマダイと、上のコショウダイです。

 コショウダイは、釣ったことも捌いたこともないんですけど、まあ、何とかなるんでないかい。

 早速下ごしらえから始めましょう。

 最初の作業は、ウロコ落としです。

 魚によっては、とても厄介なんだけど、やらないわけにはいかない大事な作業です。

 ただ、これをやると、魚の特徴がなんとなく分かります。

 で、感じたのは、

       イシダイの皮は鎧のように硬い

 そして、コショウダイの皮は、マダイと、そう違わない。

 今まで捌いた魚の中では、イサキに近い感じですね。

 だったら、

 ・マダイとコショウダイは皮霜造りで行けそう。

 ・イシダイは、あまりにも皮が固いので、皮をひいてしまいましょう

 ・いずれも、骨は丈夫そうなので、腹骨と血合い骨を丁寧に外します

       今回使った道具(総動員に近かったです)

 ・コショウダイとマダイは例によってキッチンペーパーと熱湯で処理

 ・全部平造りに仕上げてみました

 ・残ったアラは、汚れを落として熱湯を回しかけたら、三種混合で吸い物に

       はい、出来上がり

 これ、かなり美味しかったです。

 熱を通さないイシダイは、コリコリッと身の締まった食感が心地よい。

 マダイは、前回のものよりも身の締まりが緩んだ分だけ、甘みが増しています(マダイは二段階の味を楽しめる魚です)。

 コショウダイは、初めて食べるんだけど、やっぱりイサキに近いかな。ねっとりと濃厚な旨みが口の中に広がります。

 そして、吸い物は、文句なく旨い!

 これで、初日の楽しみに満足できました。

 明日は、煮物と締め魚ですね。

 鮮魚ボックスよ、そして妻よ、楽しい素材をありがとう!

 それでは、また、明日!


キノコがダメならコクワパイ

2024年10月30日 | 山菜料理

 本日の山遊びは、完敗。

 全くの手ぶらでの帰宅となった。

「ナメコの親分(ハナイグチのこと)、全然出ていなかった。」

「いいんじゃない。キノコ、いっぱいあるし。それに、冷蔵庫のサルナシ、熟してきたみたいよ。」

言われてみれば、その通りで、在庫のキノコの量は半端じゃないし、先日採ってきたサルナシの残りが、まだ結構あったんだっけ。

 サルナシですか。だったら、スイーツですね。

 収穫物がないと、その後の下処理時間が全くかからないから時間をたっぷり使える。

 よし、久しぶりに手間のかかる料理で遊びましょう。

 その名も、コクワパイだ。

 コクワとは、サルナシの別名で、マタギはそんなに使わない言葉だけど、A氏なんかは、こっちの言葉で呼ぶことの方が多いみたい。

 で、今回の命名は、なんとなくこっちの方が似合いそうな気がするから。

 どれ、早速始めますか。

 今回は、時間があるので、パイ生地から始めます。

 ・バター100gをさいの目に切って

 ・強力粉と薄力粉各60gを塗して

 ・ゴムベラでバターを細かく刻んでいきます。いい加減飽きてきたら

 ・水48gを加えてまとめにかかります

 ※生地の材料は、5:3:3:2.4(バ:薄:強:水)の割合(本日はバター100gを5と見ています)

 ・ある程度まとまったら

 ・ラップに包んで平らに伸ばして冷蔵庫で1時間冷やします

 ※市販のパイシートと同じで、冷やすと次の作業が楽になる

 ・その間にサルナシの皮から実を掬い出しておきます

 ・冷えたパイ生地を伸ばして三つ折り。向きを変えて同じ作業を5回ほど繰り返します

 ※強力粉の打ち粉を敷きました

 ・最後に厚さ5mm程に広げたら

 ・適当なカップで型抜き遊び

 ・卵黄を塗って

 ・内側をくり抜いた輪っかを重ねて、全体にもう一度卵黄

 ※クッキングシートに移動してから塗った方が楽だと思います

 ※手前のチビちゃん達にはグラニュー糖をたっぷりかけました

 ・190℃のオーブンで20分焼いたら

       いい色に焼けましたよ

 ・冷めたら真ん中のくぼみに

 ・生クリームを絞って

 ・お好きなようにコクワをトッピングします

       欲張るとカッコ悪い

       このぐらいの方が好みです

 なんとかお昼に間に合ったので、デザートにいただきました。

 もちろん、美味しいです。天然キウイは、甘酸っぱくてキュートな味わいでございます。

 ああ、おいしかった!

 捨てる神あれば、拾う神もあるってことね。

 山の神様、御馳走様でした!


ちょっとブルーな紅葉狩り

2024年10月29日 | キノコ採り

 キノコ山のカラマツ林で、ハナイグチがわずかしか採れなかったので、採り場の海抜を上げてみることにした。

 今度出掛けたのは、月山に広がるカラマツ林。

 海抜は、キノコ山よりも200mほど高い。

 その分、秋の深まりも早いと考えたのだ。

       出かける時は月夜

 風も穏やかな月夜で、かなり寒い。

 最上川周辺の低地は霧に包まれていたが、海抜を上げるにつれて、霧の世界から抜け出した。

       紅葉はキノコ山よりも大分進んでいる

       モミジも美しい

       こちらのカラマツは黄葉が始まっている

 もう少しすると、金色に山を染める美しい季節になるだろう。

       カラマツ林の中に潜り込む

       朝日を浴びて頭上は美しい

 しかしだ、 まったく出ていないじゃないの!

 こちらの方が、間違いなく季節は進んでいる。

 それなのに、ハナイグチの気配が皆無なのだ。

 季節が進み過ぎているのなら、老けたキノコを見ることができるはずなのに、それもない。

 もしかしたら・・・。

 先日のキノコ山でも、ちょっと感じたんだけど・・・。

 ハナイグチというキノコ、カラマツの落ち葉に菌糸を伸ばして『シロ』を作るキノコだ。

 このシロが、ある程度の低温刺激を受けるとキノコを発生させて胞子を飛ばすのだが、キノコを発生させるだけの勢いがなくなってしまったんじゃないのか?

 去年、全く見られなかったのは異常気象のせい。

 そのダメージを、まだ引きずっているのかもしれない。

 特に、『シロ』が浅いハナイグチのようなキノコは、被害も大きいのかもしれない。

 そう考えると、なんだか納得がいくのだ。

       すっかり秋の空

 確かにすっかり秋の気配だけど、生き物の種類によっては、例年のように季節を迎えることができないものもあるのかもしれないな。

 そんなことを考えながら、鮮やかに色付いた秋の森を歩くだけの一日になってしまいました。

 何年かかるか分からないけれど、元通りの自然が戻ることをお祈りします。


今宵からまつたけの土瓶蒸し

2024年10月28日 | キノコ料理

 「やっぱり山の空気を吸うと元気になる!」

「いやあ、いい運動になった!」

「山の様子、分かってよかったねえ!」

「季節は間違いなく進んでいるねえ!」

 嘘ではない。

 嘘ではないんだけど、

 

       本日の収穫物の全て

 ハナイグチが3本だけ。

 これが、その成果だとなると、ただの言い訳とか空(から)元気とか言われても仕方がない。

 本気で収穫をめざしていったのに、その成果がこれだけなんだもんね。

 ただですね、遅れ気味とは言え、ハナイグチが出始めたことは、嬉しい事実なんですよ。

 だって、去年は全く採れなかったんだから。

 しかも、よく見れば、食べ頃で美味しそうな状態じゃないの。

 よおし、これを使って最高の料理に仕上げたろうじゃないか!

 包丁人マタギの血が騒ぎ始めました。

 ということで、準備開始です。

 ・むきエビと銀杏を人数分。鶏もも肉(100g強?)をそぎ切りにします

 ・沸騰したお湯で鶏ももを湯がいてアク抜き

 ・ハナイグチを薄切りにして

 ・・・何を作り始めたか分かります?

 正解は、マツタケの土瓶蒸し

 但し、使うのは、カラ松茸ね。

 ちょっと説明すると、ハナイグチは、カラ松林に生える優秀なキノコで、何よりも、おとぎ話に出てくるようなかわいらしい姿が一番の売りです。

 そんでもって、カラ松の落葉を栄養に代えて成長するので、針葉樹独特の高貴な香りを纏っているんです。

 この香りが生かせる料理と考えた結果、ここに辿りつきました。

 名付ければ、からマツタケの土瓶蒸しです。

 まあ、騙されたと思って食べてくださいませ。

 ・だし汁の割合は、水900mlに、ほんだしと醤油と塩を各6gにしてみました

 ※他の吸い物にも使えるいい味です

 ・沸騰したらハナイグチと鶏ももとムキエビと銀杏を入れて消火。蓋をして待ちます(土瓶代わり)

 ・盛り付けの時間に合わせて再加熱し、白髪ねぎを散らしてみました

       よい薫りでっせ

       今宵の夕食になります

 これが、マツタケほどに強くはないんだけど、優しくツンとくる松林の香りどす。

 柑橘系の調味料も使おうかと考えていたんですけど、不要ですね。これで完成です。

 

 たった3本のハナイグチだったけど、連れ帰ってよかった。

 今宵は、秋の香りを堪能させていただきました。

 山の神様、おおきに、ありがと様。


キノコ山はビミョウに端境期

2024年10月27日 | キノコ採り

 先週のK川探訪から、ほぼ1週間。今度は、キノコ山の様子を見に出かけた。

 豊かなキノコの名産地であるキノコ山だが、K川の採り場と、ほぼ海抜が同じ。

 位置的にも、そんなに遠くないから、キノコの出方も似ているのだが、全く同じはずはない。

 夏場のトビタケでも、先日までのマイタケでも、生えてくる場所や木が一本一本違うんだから、発生の仕方も当然違ってくる。

 「こっちの山はどうかな?」

みたいな気分で、毎年お世話になっている木々を巡ってみることにしたのだ。

 山道に入ると、黄葉が進み始めたことが分かる。

       定点観測地の木の葉

マイタケの時期よりは、少し進んでいるが、まだ、『さわり』と言う感じ。

        珍しい場所でマスタケ

 こんな手前の地点でマスタケを見たのは、初めて。

 やっぱり山の幸は、豊作なのかもしれない。

       あちらにも

       こちらにもサワモダシが生えている

       しかしながら、老け気味

 3日前ぐらいが盛りかな。

 でも、この日は、台所中がキノコだらけだったから、この地を訪れるということはなかっただろうね。

 これは、仕方がない。 巡り合わせが悪かったということだ。 サワモダシは諦めましょう。

 さて、この地も、先日、氷点下の最低気温を記録したので、晩秋のキノコはどうかな?

 期待を込めて探ってみたが、全く気配なし。

 かろうじて、

       ブナシメジが1本だけ

 「これは、あと1週間以上かかるね。」

「うん。11月になってからだな。」

同行のM氏と確認しあう。

       黄葉一歩手前のブナの森

「考えてみれば、この辺りが黄色く染まった頃にナメコも生えるんだよな。」

「うん。そこから葉が落ちて、雪が積もるまでだ。」

「山の空気が吸えたんだから、いいことにすっか。」

「うん。ただよ。あっちのキノコも、ちょっとだけ見ていかね?」

それから向かったのは、

       カラマツ林

遅れ気味とは言っても、出ているかもしれないからと、歩き回ってみると。

        ハナイグチがちょっとだけ

「やっぱり、もう少し先だな。」

「後で日程調整すっべ。」

「あいよ。連絡するんで、よろしく!」

 キノコ山は、丁度、端境期に入っているようでした。

 これは、仕方ないね。

 おかげで、次への目途が立ったと捉えましょう。

 もう一つ。1週間に3回山歩きをしたら、身体が軽くなった感じ。

 やっぱり歩いてみるもんだ。 収穫があってもなくてもね。

 ・・・って言うか、これが一番の収穫かも。

 山の神様、次回もよろしくお願いいたします。