山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

秋のない山?

2021年10月31日 | キノコ採り

 明日はお休み。今週はボランティアの予定もないからフリーに使える。昨日、山の神様からナメコをたっぷりといただいてきたばかりだからから、次は海でしょうね。そう思っていたんだけど、17時発表の予報を見ると、「波高2.5m」だって。庄内方面で遊ぶには高すぎる。困った。ここで無理は出来ない。だからと言って、外出せずに家にこもるのも健康上よろしくない。どうする?

 ポクポクポクポク チ~ン

   ≪キノコ採り場の新規開拓≫

 新規と言っても、いろいろある。行動半径を広げるのも新規開拓だけど、まだ、葉が落ちていないこの時期には、あまり向かない。だって、倒木を探すだけでくたびれてしまうんだもの。葉が茂った木々の間に隠れて、あるかないか分からない倒木を求めて歩き回るのは、時間と労力の無駄が大きい。この作業は、木の葉が落ちて山の見通しが良くなってからでよい。

 それよりは、ここまでに見つけてきた新しい倒木の現状を点検して、今後の行動に役立てた方がいいと考えた。

 しかしこの後、行動を開始すると、なんだか色々と考えさせられてしまって、話の中心が大きくずれていってしまった。今回は、そういう日記なのであります。

       まだ暗いんだけどスタートします

間もなく、

       主峰に日が当たり始めました(手ぶれ御免)

 山岳地帯は、もう冬ですね。間もなく、ここまで降りてきます。

       朽ちていく倒木を越えて

本流を渡ると、

       今年倒れた木

       これは2年前だったかな(奥の木ね)

 古くなった木は、土に還ろうとしています。新しい倒木は、そこに蓄えた養分をキノコや地衣類に分け与えながら、最後の勤めを果たそうとしているようです。

 奥山の巨木達。その何百年という時間の流れを経て、力尽き、倒れてから崩れていくまでの時間は、ほんの10~20年くらいみたいです。その最後の時間を、この小さな生き物たちに手伝ってもらいながら、また土に還り、新たな木々を育んでいく。この大きな自然界の流れが変わるのか変わらないのか。マタギには、見届けることが出来ないと思うんですけど、心配でなりません。

 欲タガリの観察によると、今年の夏は、春を飛び越えてやって来て、夏キノコが生えるいとまを与えずに過ぎ去ってしまった。更に、初秋のキノコ達が出る間を与えることもなく冬になろうとしている。

 本日のキノコ達。

       コガネタケは、残念ながら盛期を過ぎたようでした

       あちゃあ! 晩秋のキノコ、ムキタケです

       美しい風景なんですけど

 草木が慌てて秋支度と冬支度とを始めていました。草は枯れ始めたんだけど、木々の葉は、まだ緑色。先っぽだけ、大急ぎで衣替えを始めたところ。

 日本には、美しい四季があって、我々はその豊かさに育まれながら生活し、文化を築いてきたのだと思うんです。これは、私たちの貴重な財産です。悲しいんだけど、今年の山形の奥山は、『四季』じゃなくて『二季』に近いと感じます。

 たまたま今年だけなのか、それとも、これからも続くのか、更に拍車がかかるのか、心配です。

 自分に出来ることがあるとしたら、やっていきたいと思います。微力だとは思うけど。


ナメコを大切に

2021年10月30日 | キノコ料理

 2つのナメコ汁です。どこが違うでしょう。

       初日の夕食

       2日目の夕食

 分かりますよね。初日は豆腐入り、2日目は豆腐なし。代わりに入っているのは、大根おろしであります。

 実はこれ、同じ料理なんだけど、具材だけ替えたものなんです。どうやって作ったのか、もう既に気付いてらっしゃる方も多いのではないかと思いますが、マタギ自身の認知が危うくなってきているので、忘れないように書き留めておきます。

   ≪ナメコ料理色々≫

 下ごしらえの部

 ・ナメコを塩水に浸けて虫だしします

 ・汚れを洗ったり、石づきに付いた苔などを切り落としたりします

 ※この作業は、可能な限り丁寧に行う

    これはお浸し用だけど、ここまで来てれば如何様にも使えるはず

 調理の部

 まずは、ナメコのしぐれ汁から、

 ・水1ℓ強にナメコをたっぷり入れて茹でます(3人家族で3食分)

 ・ナメコ全体が浮いてきたら、一旦火を止めて調味料を入れます

 ※今回は、味噌と醤油各大さじ3と顆粒だし

 ・塩か醤油かで味を調えます

 これで、一旦出来上がり。そうしてですね、

 ・その回に食べる分を小鍋に移します

 ・使いたい具材を入れます

        今回は大根おろしを入れました

 ・お食事の前に一煮立ち

 美味しいひと品の出来上がりです。

 ㊟ この汁には、醤油大さじ1程を加えて味を調えました(大根おろしを入れた分)

 これは、超簡単な上に、なかなか楽しいです。最初の写真のように、豆腐でいってもいいし、ネギでもいいし、こんにゃくに油揚げでもOK。お好みの具材を入れて、バリエーションを楽しめます。

 ただし、もとになっているのは『ナメコ様』と『汁様』なんです。だって、この汁は、プレーンでも十分に美味しいんですから。

 前にも書いたんだけど、ただの味噌汁ではありません。手前味噌かもしれないけど、汁の配合がとても大切です(その割りに数字が雑)。そして、よく分からないんだけど、多分、天然のナメコを使っているということも大事なんだと思います。ここに色々な具材を加えて変化をつけることで、たっぷりのナメコを飽きることなく楽しめるんだと思います。

 「なんだか、説明に力が入ってきたわね。要するにナメコ汁の美味しい食べ方を伝えたいわけねマタギ君。大丈夫、十分に伝わりましたよ。で、もっとあるの?」

「・・・あの、ナメタケのバリエーションも紹介したいんですけど。」

「いいですよ。ただし、簡単にね。」

「はい。やっぱり、写真だけでいきます。」

       開きナメコを適当な大きさに切り分けて

       酒醤油みりんで煮る

       但し、煮るときに七味唐辛子をお好みの量だけ加える

「はい。よく分かりましたよ。で、一番伝えたかったことは、ナメコが大好きってことね。」

「その通りなんです。鶏モツに浮気したみたいに見えたけど、マタギはナメコも大好きだってことを伝えたかったんです。」

「いい心がけね。これからも、自然からの恵みを大切にするのよ。」

「そう言っていただけると嬉しいです。これからも、よろしくお願いします。」

「OK! じゃあ、また、山に遊びに来てね。」

「はい、ありがとうございました。」

 って、なんじゃ?この会話は。

 ・・・この会話で、マタギと話している相手は誰でしょう。

 答えは、もう分かっていますね。

 

 


心揺れる秋(茸と鶏)

2021年10月29日 | 日記とレシピ

 今回のキノコ採りは、楽しかった。そして収穫物も、

       かなりいい感じの収穫物(午前10時頃)

 これがですね、最終的にはこうなるんです。

       午後8時頃(ナメコがたっぷりと活かされてます)

 ただね、ナメコに始まりナメコに終わるはずだったのに、途中に危ない誘惑が入ってしまったのよ。その辺のいきさつを。

 ことの始まりは、このお方。

       げげっ、塩がなくなる!

 台所の食塩が底をつきそうになっていた。魚に山菜、そしてキノコを採ってくると結構大量の塩を使うことになる。夏場はそれほどでもなかったんだけど、ここにきて収穫物が多くなってきたのに比例して、塩の消費も多くなってしまったからだ。

 で、今回は間に合いそうなんだけど、今後のキノコの下ごしらえや保存のために、なくなりつつある塩の補充をしておくことにした。そういうわけで、スーパーに向かったのだ。

 以前にもちょっと触れたことがあるんだけど、スーパーに行ってレジに並ぶとき、『塩だけ』ってのは、かなり気恥ずかしいんですよ。で、予定もないのに他のコーナーを歩いて余計な買い物をしてしまう

 それでですね、今回は精肉コーナーを覗いてみたら、出逢ってしまったんですね。

       大好きな鶏レバーにハツと砂肝があった!

 このスーパーでも、最近になって、ようやく店頭に並ぶようになったようです。嬉しくなってカゴに入れてしまいました。これは、余計な買い物ではない!そう、運命の出逢いなのだ!そうして、帰宅後すぐに始まってしまったのです(あれっ?キノコは?)。

   ≪砂肝炒め≫

 下ごしらえの部

 ・大体6等分ぐらいに切り分けます

       こんな感じ

 ・沸騰したお湯で湯がき、一通り熱を通します

 ※これをやっておくと、かなり日持ちします

       色が変わります

 ・ゴマ油で炒めたら、顆粒出汁と粗挽きコショウ、醤油小さじ半分に塩少々を加えて更に炒めます

 ・焦げ付く直前まで炒めたらできあがり

 はい、次です。

   ≪モツ煮込み≫

 下ごしらえの部

 ・レバーは一口大に、ハツは縦に半分に切ります

 ・血合い(?)を丁寧に洗い落とします

 調理の部

 ・鍋に醤油とみりん各30gと砂糖18g(各大さじ2ね)を量り入れて

       こんな感じと言うか、たったこれだけ

 ・鶏モツを入れたら強火で煮ます

 ※強気で勝負!鍋を揺すりながら

       こんな風に泡立ちながら火が通っていきます

 ・泡が鍋を乗り越えそうになったら、鍋をコンロから少し離すか、火を弱める

 ※あくまでも強気で攻めます

 ・もうダメだ、焦げ付く!というところで火を止めて(ここまで、加熱4分でした)

       器に盛り付けて『勝負あり』と言いたい所なんだけど

 ※鍋を見れば分かりますが、放っておくと痛い目に遭うので、手早く洗ってしまいます。

       みんな大好き、鶏モツ料理の出来上がり

 この文章って、その時撮った写真を見ながら書いてるんだけど、画像のプロパティを見ると、調理の開始が11時50分ぐらいで、終了が12時半前でした。改めて、お手軽な食材と料理ですねえ(それでいて旨い!)。その後、余裕でキノコ料理を作ることが出来ました。

 現在、マタギのお弁当のおかずには、春に作った『フキノトウ味噌』(冷凍保存)と、最近作った『アジの南蛮漬け』が入っています。そこに、この2つが加わると思うと、よだれが出てきそうです。

 パックに手を伸ばしたとき、そして、調理をしながら、ナメコ様を裏切ってしまったかという、後ろめたさがあったんです。だけど、鶏モツもナメコも、どちらも美味しかった。はっはっは、終わりよければ全て良しってことであります。めでたしめでたし。

 今回は、山の神様とスーパーマーケットの神様??に感謝ですね。喜んで戴きます。

 


ナメコの季節に

2021年10月28日 | キノコ採り

 「もう出ったんねがい。」

「うん。出でねど困る。もう雪降り始まったんだから。」

 前回、『まだ早すぎる』と判断して、2週間の間を空けたS川に向かっています。「気温は低いだろうな。」と思っていたんだけど、5℃、それほどでもない。多分、雲が低くてガスっているためだと思う。それでも、身体は濡れそうだから、合羽をまとって行動を開始することにした。

 晴れていれば見えるはずの朝日連峰は見えない。けれども、近くの山裾が白く染まり始めているのが分かった。間もなくここまで降りてくるでしょう。

       ブナ林は紅ではなく、黄に染まる

       染まり方に少々の違和感

 遅れ気味とはいえ、美しい黄葉街道を満喫しながら進む。

 前回、『見置き』してきた幼菌が全くない状態だから、ターゲットも絞られていない。その分、丁寧に倒木を点検しながら奥地へと歩を進めていく。そうして、

       ありました、第一号発見!

       木の裏側にも生えてますね

なかなか高品質なナメコです。この木は、倒れてから8年目。2013年の土砂災害のときに眠りにつき、今年ようやく目を覚ましたようです。山分け。

       相棒が採集中(葉っぱが元気で見えません)

 この木からは、今後数年お世話になりそうな予感がするので『オットくん』という名前を付けさせていただきます。

 更に進むと、

       おおっ、なかなかいいじゃない

この木は、『タッちゃん』。ここ5年くらい毎年お世話になっているんだけど、もう暫くは楽しませて貰えそうですね。山分け。

 続いて、

       クリタケですね

       相棒にお任せ

       ブナシメジは、私がいただきました(残念ながら古すぎた)

 もう、満足しきっているんだけど、一応予定していたゴール地点までは歩いてみましょう。

 おや?出てますね。

       つぶナメコです(木が若いの分かる?)

       あらら、これは楽しみですよ

 この木は、倒れてから、まだ4~5年のはずなんだけど、もう出てきましたか。来週の楽しみとして残していきましょう。君にも名前を付けますね。『ハナちゃん』でいかがでしょうか。

 ・・・季節がかわり、山の主役は、完全にナメコ様ですね。『オットくん』や『ハナちゃん』みたいにリスト入りした木も楽しみだけど、今年の不思議な気候だと、更に新たなナメコ木が生まれそうな気もします。楽しみです。

 「おもしぇっけねえ。」

「いやあ、ぴったり当だった感じだズ。」

「来週、いづだど合うか、連絡すっからな。」

「うん。んだら、まだな。」

お向かいの住人を車から降ろし、るんるん気分で家に戻るマタギであった。

 

 山の神様、本日もありがとうございました。

 

 


わきやくのきせつ(さんぽうた111)

2021年10月27日 | いきもの

  わきやくのきせつ   さくらぎ こうよう

 

あんた

よくきづいたね

わきやくの このおれに

 

おれんとこの しゅやくは

ぶたいを おりちまったしよ

 

おれも

やくが おわったから

はやいとこ ぶたいからおりて

だいちの こやしにでも

なろうと おもってたところさ

 

それがよ

からふるだって?

きれいだって?

 

そんなことば かけられたら

きが かわっちまうじゃないか

 

もうすこし

このぶたいに のこってみようかな

なんてさ

 

ありがとよ

またな

 

 久しぶりに広い通りを散歩してみると、

       紅葉の始まった桜

       あおい葉も混じる、中間地点?

       赤のグラデーションは見飽きません

       秋の日差しがよく似合う

       青空にも映える

 春の桜は、もちろん美しいし儚いしで大好きだけれど、秋になって色づく桜の葉も違った美しさと儚さを演出してくれて素敵です。どっちが侘(わび)で、どっちが寂(さび)かなんて分からないけれど、桜の楽しみを春だけに限定してしまっては勿体ないように思います。

 今回出会った『こうよう』さんみたいに、花の季節は終わったとしても、草木が別の楽しみ方を教えてくれるのがこの季節かな、なんて思いながら、景色の変化を味わう昼の散歩になりました。『こうよう』さん、もう少し長く留まって、秋を楽しませてくださいね。