山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

爽やかな風渡る尾根の欲タガリ(舞茸Ⅳ)

2021年09月30日 | キノコ採り

 本日は、今年4回目のマイタケ採り。主たる目的は、前回見置きして(まだ収穫するには早いから置いて)きた舞茸の成長を確かめて収穫すること。準ずるのが、新にな発生状況の確認。おまけとして、年寄りマタギの体力の維持・向上。今回も同行者はA氏。

 さあ、今日はどんな出会いが待っているかな?

 毎回、日の出時刻に合わせて行動を開始できるように、準備・出発してるんだけど、今回は、いつもよりも明るく感じる。それどころか、

       朝日連峰に朝日が差している

 実に神々しい。これはですね、当たり前のようで当たり前じゃない現象です。この朝日連峰の東側に並ぶ奥羽山脈と、その向こうの仙台平野と、更に向こうの太平洋からの朝日が届いているということなんですよ。簡単に言えば、とってもいい天気が東北の空に広がっているってこと。

 おかげで、凄く寒い(放射冷却です)。気温は、多分一けた。晩秋並みだ。カッパを羽織ろうかと迷ったが、A氏は用意していないと言うし、これから動き出しても時間が経過しても、間違いなく暖かくなるはずだからリュックに入れたまま行動開始。

 さて、これだけ良い天気だ。やっぱり、途中の駐車場を見ると、登山客も沢山いるようだ。

 じゃあ、キノコ採りの人間は?残念と言うべきか嬉しいと言うべきか、奥の駐車場は空っぽ。いつもの爺ちゃん達も来ていないようだ。今日も我々2人だけでこの山の幸を独占できるってことになる。

 これでいいのかなあ?最近、ちょっと疑問を感じ始めている。これは、自然との共生じゃなくて、自然と人との乖離じゃない?

 ま、いいわ。この大きなテーマについては追い追い考えることとして、本日も、たっぷり山に親しみましょう。人の世界から、誰一人いない野生の世界へと潜入していく。

 まずは、『ミズナラの森』を探索。

 4日前には何も出ていなかった森だけれども、今日はちょっとだけ変化があった。

       『マメ』の発生を発見!

今年も出てくれましたね。次に来る日まで大きく成長しておくれよ。見置きして、奥に進む。

 さあ、いよいよ尾根登りだ。前回見置きしてきたマイタケはどうなっているかな?

 かなり急な斜面ですよこれは。っていうか、前回、見つけたときは下りの途中だったんで気付かずにいました。脚が上がりません。腕の力で身体を引っ張り上げます。息が切れます。それでも、『欲タガリ』は登ります。収穫へのエネルギーが背中を押してくれるんです。前を進んでいたA氏が声をあげる。

「大きくなってる。・・・だけどねえ。」

       なかなか見事な『クロフ』です。でも

このカサの開き具合だと、まだまだ大きく育ちそうです。二人して顔を見合わせたが、戴いて帰ることに決めた。ちょっと勿体ないけど、更に長い日数置いておくことには不安を感じてしまうんだよなあ。

       隣に生えていたチビちゃん(カサは、こっちの方が開いている)

隣のチビちゃんの方が、むしろ採り頃なんで一緒に連れて帰ることにしました。

 ここから更に尾根を登っていくと別の尾根が合流し始めます。

       ここまで来ると主峰よりも脇のピークの方が大きく見える

       木立を渡る爽やかな風が心地よい

 これで、本日の難行苦行は、ほぼ終了です。あとはのんびりと下ればいい。ああ、風が心地よい。弾んだ息と鼓動が整っていく。

 今度は左側に伸びる『マイタケの尾根』を下ります。この尾根は、名前の通り実績十分な尾根なのですが、

       小株が一つだけ

見つけたのは、ひと株だけでした。これも成長途中のため、迷ったけど戴きました。一応、開いているカサもあるんだからよしとしましょう。

 今年のマイタケの発生は、トビタケほど悲惨ではないけれど、遅れ気味なことは確かなようです。これから数日後、また様子見に来ますけど、大発生はあるのかないのか。こればかりは、山の神様の匙加減次第でしょう。

 とりあえず、本日の収穫に感謝です。

 また、ドキドキとワクワクを楽しませて下さいね。

 ありがとうございました。


あけび料理って山形だけ?

2021年09月29日 | 山菜料理

 「野山を散策したから満足!」

 残念ながら、このマタギにとって、そんな非生産的な終結はめったにありません。というか、やっぱり美味しいお土産が出ていたら感謝を込めていただいてくるということ。で、この時期、山の中を歩けば、なにかかにかの収穫はついてくるものですよ。なんてったって、実りの秋ですから。

 今回戴いてきた山の神様からの贈り物がこれ。

       食べ頃のあけびです

 実は、うちの庭にも生えているんです。春には可愛い花を咲かせます。でも、最近、実らなくなってしまった。

 そんな事情もあったせいか、今回は食べ頃のあけびに出会ったので、久しぶりに持ち帰りました。

 そういうわけで、あけび料理も久しぶりです。どうするんだっけ?

 こういう時はネット検索ですね。

 調べてみてビックリ。あけびの生産量は、なんと、我が山形が圧倒的な1位です。

 山形と言えば、『さくらんぼ』。これが全国生産量のうち約80%ね。『洋なし』も圧倒的な1位で66%。ところがですよ、『あけび』に関しては90%だそうです。

 しかも、驚いたことに、あけびの皮を食べる日本人は山形県民だけとか!(調べていったら他にも食べている県は少し見つかりましたけど・・・)

 どうも、山形県は『東洋のアルカディア(アルカイダじゃないよ)』とか『桃源郷』みたいな言い方されてるけど、もしかしたら、典型的な『陸の孤島』なんじゃないか?なんだか、『山形県だけ』というものが多すぎる気がするんだなあ。

 ・・・ま、こうして山形の県民食を公開することも、山形を知ってもらうために悪いことではないでしょう。それでは、あけび料理、行ってみます。

   ≪あけびの味噌炒め+α≫

 下ごしらえ・調理の部

 ・あけびの中の実を皮から外してザルへ

       昔は、これをそのまま食べてた

 ・ここに牛乳1本分をかけてシャカシャカします

 ※実が緩んで溶けていきます

 ・これをグラスに入れて冷やしたら、甘いアケビジュースの出来上がり

       あっという間に売り切れてしまいました

 次のあけびの皮は、ゴーヤ料理を連想してもらえばいいんじゃないかな。結構苦みがあるんだけど、お好みでその苦みを調節します。(今回は苦み控えめバージョン)

 ・実をくりぬいた皮は、輪切りにして水にさらします

 ・沸騰したお湯で1分強湯がきます(アク抜き1)

       再沸騰させます

 ・水にさらしている間に調味料準備

 ※味噌、砂糖、みりん、酒各大さじ2を混ぜておきます

       これが基本かな?辛くしたり出汁を加えたりはお好みで

 ・多めのサラダ油を熱したフライパンでガンガン炒めます(アク抜き2)

       高温で炒めることで苦みも飛ぶ(と思う)

 ・用意しておいた調味料を加えて、強火のまま和えていきます

 ※フライパンは止めないで揺すり続ける

 ※多分、放っておくと焦げ付く

 ・水分があらかた飛んだら、焦げ付く前に終了

       山形の県民食が出来上がり

 やっぱり旨いっす。甘くてしょっぱくてちょっとだけほろ苦いあけび料理が出来上がりました。

 お陰様で、山形の秋の味を今年も楽しむことが出来ました。

 ちなみに、残りのあけびは、湯がいた段階で真空パックして冷凍しました。今後、戻して食べる度に、秋の月山の風景が蘇ってくることでしょう。

 山の神様、本日もありがとうございました。

 ・・・次の料理方法が閃いたんだけど、試すのは来年かなあ。


秋の六十里越街道

2021年09月28日 | 日記

 本日はおとなしく家にいて地図でも眺めながら過ごそう。だって、明日に今年4回目のマイタケ採りを予定しているんだから。

 夜明け前に軽くジョギングをして、ちょっと写真を撮って帰宅。地図を眺め始めると間もなく、外が明るくなってきた。

 なんだか凄くいい天気みたいですよ、今日は。

 気が変わった。これは勿体ない。外の空気を吸いに出掛けよう。

 急遽、出発。目的地は、旧六十里越街道の散策路だ。

       ナナカマドがしっかりと色づいている

       木漏れ日の差す街道

 気持ちいい!そんでもってですね、どうしても足元に目が行ってしまうんだなあ。

       キホウキタケ(毒)

       ツキヨタケ(毒)

色々出ているけど、どうも美味しい奴はいないみたい。

 ちょっとコースをずれてみる。

       送電線の下道(いい眺めだ。月山湖が見える)

おや?

       アケビですねえ

       あっちもこっちも食べ頃ですよ

これを置いて帰る手はありません。どういうわけか、ポケットには、ナイフと袋が入っていました。少々戴いていきましょう。

       湯殿山と、月山じゃなくて姥が岳かな?美しい

 山の神様にお礼を言って、帰りましょう。これにて、僅か1時間の散歩が終了しました。

 本日も、ありがとうございました。ちょっと邪だけど、命の洗濯になりました。

 


これでいいの(さんぽうた106)

2021年09月27日 | いきもの

  これでいいの  はぎ しずか

 

おどったら?

きっと

みんな ふりかえるよ

 

うたったら?

きっと 

みんな ききいるよ

 

わらったら?

きっと

みんなも えがおになるよ

 

あなたは

すごく きれいなのよ

 

いいえ

わたしは

これでいいの

 

こうしていても

きづいてくれた

あなたがいるもの

 

それだけで まんぞく

わたしは

これでいいの

 

         萩が花を咲かせました

あくまでも控えめに、だけど

       可憐な花ですよね

 豪華とは言わないかもしれないけれど、美しい花です。花言葉も、『内気』とか『思案』のように控えめなイメージ。

 秋の七草の代表格みたいなきれいな花だと思うんだけど、控えめな印象が勝ってしまうのは、その姿のためかな。春の枝垂れ桜に藤の花房、そして、秋の萩の姿には、どこか似た魅力を感じます。どれも、枝が優しくうつむいているために心惹かれてしまうのでしょうか。

 いい季節になりました。キノコ採りもいいけどさ。食欲もいいけどさ。秋の花を楽しむ心のゆとりは、忘れたくないですね。


少なくたって旨いマイタケ料理

2021年09月26日 | キノコ料理

 これって、マタギだけかなあ。

 収穫量が少なかったり、残り僅かになったりすると、料理がセコくなってしまうんですよ。

       今回のお持ち帰り品

 品質は良好なんだけど、如何せん量が少ない。そうなると、料理も、豪快にってわけにはいかなくなってくる。

 だとすれば、少ない量でもマイタケの味と香りを堪能できる料理をって考えるわけだよね。 

 真っ先に思いつくのが『お吸い物』。これは、素材の持つ魅力を引き出して楽しめる強力な調理方法です。作ってしまいましょう。

 ・だし汁に醤油とみりんを加えてひと煮立ち

 ・そこに細く切り裂いたマイタケを適量放します

       もう一煮立ちさせます

 ・豆腐を加えてもう一煮立ちさせたら出来上がり

       半分を朝食に戴きました(昨日の餡かけ炒飯も)

 続いて夕食です。

  ≪マイタケの茶碗蒸し≫

 これも、少ない材料で味と香りを楽しめる料理です。冷蔵庫の中を調べてみたら、何とかなりそうだったのでやってみます。

 下ごしらえ・調理の部

 ・茶碗蒸しに入れる具材を準備します

 ※定番素材でいってみますね

       マイタケに、冷凍してあった剥きエビと銀杏でいってみます

 ・水300mlに顆粒だし少々を加えて

       今回は『天然水』なるものを使ってみましょう

 ・卵2個をよく溶きほぐして       

 ・網じゃくしで濾してだし汁と合流(醤油6gと塩1gを足しました)

 ・準備しておいた具材の入った容器に注ぎ入れて

 ・蒸しの段階です

 ・それぞれの容器には蓋をして

 ・蒸し器の上段に並べて

 ・沸騰した蒸し器に乗せます

       これが本番のスタート

 ・強火で3分間蒸したら、火を弱火に切り替えて

 ・蒸し器の蓋に割り箸を挟んで蒸気の逃げ口を作ります

 ・そのまま25分間蒸し続けて出来上がる予定なんですけど・・・

 前回は、「す」が入ってしまいました。今回はどうでしょう?ちょっと覗いてみると、

       おおっ、うまくいったみたいだ(隙間がポイントみたい)

ここで、さらにセコく、残っているマイタケを、朝食で残ったお吸い物に足して椀物準備。

       なんだかんだ言っても、超いい香り!!!

 食事の直前に豆腐を足す予定。

 そして、夕食。おおっ、良い香り!ちょっと味見、旨い!

 ・・・

 気がついたら写真撮るのすっかり忘れていました。

 マタギがボケてしまっていることが写真を撮れなかった理由だけれど、マイタケ料理が美味しすぎて夢中になってしまったというのも大きな理由だと思います。茶碗蒸しに『天然水』を使うのは、当たりのようでした。

 ごちそうさまでした!

 3日後にまた採りに行く予定だけど、きっと家族も応援して送り出してくれることでしょう。

 また採れるといいなあ。