6月が終わる。
本日が、今年3回目のN沢修行。
天気予報を見ると、今日の午後から県内には雨が降り出して、しばらく降り続くらしい。
だとすると、N沢でのタケノコ採りもこれで最後になるだろう。
本日も同行者はA氏。氏は、一昨日も山に入ったと言う。尾根側の採り場に入ったらしい。
「こんなに出ていなかったの初めてだね。」
「人が沢山入ったからじゃないの?」
「それもあるかもしれないけれど、少なすぎる。やっぱり、沢の方が採れるかもしれない。」
前回もそれなりに収穫のあった沢登りコースに向かうことになった。
例によって、午前1時半出発。
「今日も(山菜採り人は)少ないのお。真ん中に駐められる。」
関所のおっちゃんからの情報だ。実際、午前3時時点で車は8台。今年は、車の置き場所に困ることが一度もなかった。
渡渉点のスノーブリッジ(帰りに撮った画像)
45分ほど歩くとN沢の渡渉点に着く。先週までは頑丈に沢を塞いでいたスノーブリッジも崩れ始まっていた。非常に危険な状態だ。
雪渓の隙間を縫って対岸に渡る。
遥かに庄内平野の街灯りが見える
休憩所から見える雪渓も大分小さくなった
前回、怖い思いをさせられた雪渓
多分、今日明日中に落ちるだろう
さて、本日入るのは、前回までの斜面の対岸。沢から数十m登ると平坦になる地形だ。これまでの経験から考えると、この平坦部が丁度良くなっていると睨んだのだ。
藪を進む相棒(見える?)
竹藪は、かなり濃いが、気合で登り続けると、傾斜が少し穏やかになってきた。さあ、ここからが本番だ!
しかし、
ああ、惜しい!
最盛期を少々過ぎていますね。
でも、悔しがっていても仕方がない。『ウラ折り』にしてどんどん収穫していきます。
「窪地探しながら、左に回っぺ。」
「OK!」
窪地には最後まで雪が残るから、その消え際から奥手のタケノコが伸びるはずなのだ。そうして、見つけました。
涸沢に入る
すると、
「おおっ、本日の最高品質だぞ!」
「ああ、こっちも出てる。」
ようやく辿り着いたぜ、タケノコのパラダイスに。
おや?
誰かが採った跡がありますね。しかも、これは今日のものだ。
「誰か入ってるみたいだぞ!」
「ああ、こっちも跡がある。んん?これ、人だがあ?」
ちょっと不安になって足元を見ると、巨大なうんちが湯気を立てている。
「こりゃあ、クマだなあ。」
「うん。どうする?」
「せっかくのパラダイスだから貰っていくべ。」
「そうか。・・・お~い、クマさ~ん。せっかくの食事、邪魔してごめんな~!」
と叫びながら、本日最高品質のタケノコを戴く。
マタギもA氏も複数の鈴を身に付けて、鳴らしながら行動している。それに気づいたクマさんが、場所を空け渡してくれたのだろう。出会い頭の事故にならずに済んだのは、熊鈴のおかげだ。感謝!
それにしても、クマのウンチは何度も見ているが、この時期のウンチは緑色をしていることに、初めて気づきました。
秋になると、ブナの木に登って実を食べるけど、この時期の主食はタケノコだということがよく分かりました。
・・・こういう極上の食材が食べられなくなったクマが、里に下りてしまうんだろうね。やっぱり、大切なのは、SDGsですよ。
涸沢を下る前に荷物を背中に移します
これから、下に見える雪渓を目指します
雪の消え際からはミズバショウ
クマガイソウが咲き始めたら、この地の山菜も最終盤です
ギンリョウソウも花盛り
山ブトウです
春から夏への衣替えですね
N沢には3回だけど、春の山菜は3月から楽しませてもらって、かなりの期間、そして、かなりの回数楽しませてもらいました。
今回で、『新芽』の山菜採りは、ほぼ終了になると思います。
振り返ると、今年もたっぷり遊ばせてもらったものだとつくづく感じます。
たくさんの山河の神様たち、今年もありがとうございました。
そして、苦労と喜びを共にしてきた仲間たち、ありがとうございました。
いくら感謝しても、感謝し切れません。
今後とも、よろしくお願いいたします。