昔々、助けた亀に連れられて竜宮城に行ったマタギは、海だけでなく山でも、楽しい夢のような時間を過ごしました。でも、もう冬です。
「乙姫様、私はもう家に帰らなければなりません。今日までありがとうございました。」
そう言って別れを告げたマタギに、
「残念です。それならば、これをお持ちください。」
乙姫様は、玉手箱ならぬ冷凍庫をマタギに預けたのです。
「これは、大切な大切な冷凍庫。おうちに飾っておいてください。ただし、」
乙姫様は、この冷凍庫を決して開けてはならないとマタギに告げてマタギを見送りました。
久しぶりに家に帰ったマタギ。けれども家の中には何もありません。そう、食べるものさえないのです。
「乙姫様は開けるなといったけれど、これは冷凍庫なんだから、何か美味しいものが入っているかもしれない。」
マタギは、乙姫様の言いつけを破り冷凍庫の扉を開けてしまいました。
すると、
「わあああ!」
冷凍庫からは、賞味期限の過ぎた山菜やキノコがあふれ出てきました。食べられなくなった山菜を前にして、マタギはおなかをすかせて倒れてしまいました。 チャンチャン
で、その後目を覚ますと、今までの話は夢だったみたい。気を取り直して冷凍庫の中を覗いてみると、まだ大丈夫なようです。ただ、早めに食べなければならないのは、やっぱり『コゴミ』。それから、中途半端に残っている『パイシート』でしょうな。何かできないか考えてみました。
ポクポクポクポク チ~ン
≪山菜キッシュ≫
見たことも聞いたこともない料理だけど、きっと合うんじゃないかなという予感がします。善は急げ、やってみましょう。乙姫様の祟りに遭う前に。
下ごしらえ・調理の部
まずは、フィリングから準備しました。冷凍してあった山菜のうちコゴミとマイタケを戻しました。
・コゴミは水にさらしておけば勝手に戻ってくれます(解凍後1度だけ水を替えました)
・ゼンマイは自然解凍させます。(水やお湯に入れると香りが飛ぶ)
・コゴミは使う分だけ寸切りに
・マイタケもほぼ同様
※コゴミもマイタケも残ったので、お昼の山菜蕎麦に化けました
これも美味しかった
・厚切りベーコンを拍子木切りに(70gぐらいかな)
・タマネギ1/4個を薄切りにして
・滑りの良いフライパンで炒めたら
・コゴミも加えて火を通します
※コゴミは保存時に茹でてあるので軽く炒めるだけ
・卵2個を解いて、牛乳100gと塩コショウ少々
ヤバい!チーズも賞味期限過ぎてる!やっぱり今日作ってよかったということにしておきましょう。
・パルメザンチーズ大匙1を加えておきます
生地を準備します。
・パイシート2枚を麺棒で20センチ角ぐらいまで伸ばしたら、45度ずらして重ねます
・クッキングシートを敷いたケーキ型(直径18㎝ほど)に広げて、3cmぐらいの土手ができるように成形
・パイシートにフォークで穴をあけて、混ぜた具材を流し込みます
・オーブン200℃25分でこんな感じ
・丈夫な山菜と脆いパイ生地の組み合わせなので、丁寧に切り分けて
はい、出来上がり
本日のメインディッシュにしました
辛味付けにタバスコをかけて戴きました。山菜の香り溢れる美味しい料理になりました。ベーコンの塩味が付くはずだからと作る段階では塩分を控えめにしてみたんだけど、それで正解ですね。もし、塩分が欲しければ、出来てからかけてもいいと思いました。
いやあ、美味しくできてよかった。懸案だったコゴミの消費も進み、これでひと安心です。
きっと、乙姫様も喜んでくれていることでしょう。