山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

これでひと安心!山菜キッシュ

2023年01月31日 | 山菜料理

 昔々、助けた亀に連れられて竜宮城に行ったマタギは、海だけでなく山でも、楽しい夢のような時間を過ごしました。でも、もう冬です。

「乙姫様、私はもう家に帰らなければなりません。今日までありがとうございました。」

そう言って別れを告げたマタギに、

「残念です。それならば、これをお持ちください。」

乙姫様は、玉手箱ならぬ冷凍庫をマタギに預けたのです。

「これは、大切な大切な冷凍庫。おうちに飾っておいてください。ただし、」

乙姫様は、この冷凍庫を決して開けてはならないとマタギに告げてマタギを見送りました。

 久しぶりに家に帰ったマタギ。けれども家の中には何もありません。そう、食べるものさえないのです。

「乙姫様は開けるなといったけれど、これは冷凍庫なんだから、何か美味しいものが入っているかもしれない。」

マタギは、乙姫様の言いつけを破り冷凍庫の扉を開けてしまいました。

 すると、

「わあああ!」

冷凍庫からは、賞味期限の過ぎた山菜やキノコがあふれ出てきました。食べられなくなった山菜を前にして、マタギはおなかをすかせて倒れてしまいました。  チャンチャン

 で、その後目を覚ますと、今までの話は夢だったみたい。気を取り直して冷凍庫の中を覗いてみると、まだ大丈夫なようです。ただ、早めに食べなければならないのは、やっぱり『コゴミ』。それから、中途半端に残っている『パイシート』でしょうな。何かできないか考えてみました。

   ポクポクポクポク チ~ン

     ≪山菜キッシュ≫

 見たことも聞いたこともない料理だけど、きっと合うんじゃないかなという予感がします。善は急げ、やってみましょう。乙姫様の祟りに遭う前に。

 下ごしらえ・調理の部

 まずは、フィリングから準備しました。冷凍してあった山菜のうちコゴミとマイタケを戻しました。

 ・コゴミは水にさらしておけば勝手に戻ってくれます(解凍後1度だけ水を替えました)

 ・ゼンマイは自然解凍させます。(水やお湯に入れると香りが飛ぶ)

 ・コゴミは使う分だけ寸切りに

 ・マイタケもほぼ同様

 ※コゴミもマイタケも残ったので、お昼の山菜蕎麦に化けました

       これも美味しかった

 ・厚切りベーコンを拍子木切りに(70gぐらいかな)

 ・タマネギ1/4個を薄切りにして

 ・滑りの良いフライパンで炒めたら

 ・コゴミも加えて火を通します

 ※コゴミは保存時に茹でてあるので軽く炒めるだけ

 ・卵2個を解いて、牛乳100gと塩コショウ少々

 ヤバい!チーズも賞味期限過ぎてる!やっぱり今日作ってよかったということにしておきましょう。

 ・パルメザンチーズ大匙1を加えておきます

 生地を準備します。

 ・パイシート2枚を麺棒で20センチ角ぐらいまで伸ばしたら、45度ずらして重ねます

 ・クッキングシートを敷いたケーキ型(直径18㎝ほど)に広げて、3cmぐらいの土手ができるように成形

 ・パイシートにフォークで穴をあけて、混ぜた具材を流し込みます

 ・オーブン200℃25分でこんな感じ

 ・丈夫な山菜と脆いパイ生地の組み合わせなので、丁寧に切り分けて

       はい、出来上がり

       本日のメインディッシュにしました

 辛味付けにタバスコをかけて戴きました。山菜の香り溢れる美味しい料理になりました。ベーコンの塩味が付くはずだからと作る段階では塩分を控えめにしてみたんだけど、それで正解ですね。もし、塩分が欲しければ、出来てからかけてもいいと思いました。

 いやあ、美味しくできてよかった。懸案だったコゴミの消費も進み、これでひと安心です。

 きっと、乙姫様も喜んでくれていることでしょう。


心晴れ晴れ寒ダラ汁

2023年01月30日 | 日記とレシピ

 ふと気が付くと、1月が終わろうとしている。春が近づいてくるのはとても嬉しいんだけど、この寒中にどうしてもやっておきたかったことができていない。

 それは、寒ダラ汁を食すこと。山形では、ドンガラ汁とも呼ばれている郷土料理の一つだ。この時期の寒ダラは、産卵期を前に卵やキクワタが(多分肝臓も)育っていて非常に美味しい。これを、一度は食べないと心が落ち着かない。

 ただ、ネックになっていたのが、以前も紹介した去年の寒ダラの残り。これを片付けないうちは、なんとも申し訳なくて、新しい寒ダラを買ってくる気になれずにいたのだ。

 で、昨日、ついに最後のタラコの調理が完了したんですよ。

       最後の一袋を

       炒り煮にして

       めでたく完売!

 これは、お弁当その他に使わせてもらうことになります。

 さあ、これで寒ダラが買えるぞ!その日の午後、早速、寒ダラを買ってきました。

       ジャーン!

 もう、今夜の料理は決定なのです。それでは始めましょう。

 下ごしらえ・調理の部

 ダジャレのつもりはないんだけど、寒ダラ汁のキモは肝(キモ)なんです。これが、旨みになって汁のグレードをぐっと高めてくれます。

 ・肝をいくつかに切り分けて、1リットルほどのお湯で茹でます

 ・大根1/2本も薄めの半月切りにして一緒に茹でます

 ・この間に材料を切り分けたり調味料を計り取ったりしておきました

 ※調味料は味噌大匙4ほどがベースで酒と顆粒出汁も加えました

 ・大根が透明になり浮いてきたらキクワタとタラコも入れて

 ・豆腐も入れて

 ・調味料も加えます

 ※タラの身は、この後にしました。煮過ぎると崩れてきますから

 ※熱々を戴きたいので、電磁調理器に移して、盛り付けながら食べたいと思います

 ・ネギを入れたら盛り付けて、フノリを散らしました

 ※当地では、岩のりを散らすというのが主流なんだけど、フノリでも遜色ないと思います。

 食べてみると、旨いんだなあこれが。たとえる言葉が見つからないんだけど、とにかく海の香りが口の中に広がります。そしてあったまる。家族も喜んで食べています。

 旨い! 

 『千と千尋の神隠し』に出てくるくされ神様の心境ですよ。

 「よきかな~!はっはっはっは・・・」

 と飛んでいきたくなるような気分。

 寒中のドンガラ汁。本望です。

 やっと願いが叶ってよかった!

 これで、春を迎える準備がまた一つ進んだぜ。


瓢箪からスイーツ

2023年01月29日 | 日記とレシピ

 「毎度!」

「おおっ、旨いものあるか?」

「ねえ(ない)。いつものやつならある。」

「んだが。じゃあ、油揚げと豆腐な。豚コマある?」

「あるよ。」

「じゃあ、300g。」

「ねえ。200gならある。」

「んじゃ、それでいいわ。頼む。」

「あいよ!oo円だ。」

「OK。」

いつもやってくる移動販売の八百屋さんとのやりとり。

 素っ気ないというか、商売っ気がないというか、これでいいのか?と思うのだが、固定客が非常に多い。それもそのはず、とにかく正直で誠心誠意なのだ。なんだかんだ言いながら、絶対に変なものは売らない。逆に、品質が危うくなってくると、

「おう、こいつ食ってけろ。」

「値段は?」

「いらねえ。」

と言って置いていく。

だからというか、その他諸々の理由で信頼している。おかげで、こんな適当なやり取りで売買が成立してしまうのだ。

 ところで、勢いで買ってしまった豚コマだけど、実は何を作るか全く考えていなかった。さて、どうするマタギ!

 見ると、なかなか綺麗な豚ロースの薄切り肉。これは、トンカツにして楽しみましょう!

 まだ、夕食には遠い時間帯なんだけど、下ごしらえだけ済ませておきます。

 ・肉を広げたら、適当な厚さ、大きさになるように組み合わせて折りたたんでいきます

 ・塩コショウをまぶして、重ねておきます

 ・卵2個を割りほぐし、小麦粉をカップ1ぐらい入れました(と思う)

 ・生地に水を加えて微調整、パン粉その他を準備

 ・肉を生地につけてパン粉をまぶしていきます

 途中省略で結果を見ましょう。

       たっぷり揚がりましたよ!

「これって、ミルフィーユカツ?」

「何?それ。」

「肉を重ねて揚げたカツ。」

「じゃあ、そうだ。」

こんなおしゃれな名前が付いているとは知らなかったぜ。ということで、

       美味しいディナーになりました(次回は何か挟むと思います)

ただ、今回は、これで終わっていなかったんですね。

 残った生地に、パン粉の残りとベーキングパウダーと砂糖とバニラとバターと、ついでにレーズンを加えて焼いてみたんです。

       さあ、どうなるか!

       180℃で、何分だか忘れた(ひたすら見てただけ)

 みんなで味見してみたら、文句なく旨い!この日のデザートになりました。そして、翌朝。何種類かのチョコレートをレンチンして塗ってみました。

     プレーンとブラックとホワイトとピスタチオ

 このままでは遺恨が残りそうなので、切り分けておきます。

       皆さん、全種類、最低1個ずつは食べられますよ

 非常に好評でした。マタギの感想としては、どれも美味しいんだけれど、ピスタチオが秀逸でしたね。

 いやあ、面白かった!

 たまたま留守番していたところに八百屋さんが来て、たまたま頼んだ豚コマをトンカツにして、残った生地をたまたま焼いてみたらこうなってしまった。

 こういうのを瓢箪から駒って言うのかな。

 こんな瓢箪、もっと落ちていないかなあ。そうしたら、また、遊んでしまいますよ。


ごめんね(さんぽうた174)

2023年01月28日 | いきもの

   ごめんね   ゆきばれ Dean

 

ごめんね

ほんとうは

まいにち あいたいんだ

 

でも

かみさまは

ゆるしてくれないみたい

 

きみは きたかぜのこ

ぼくは たいようのこ

いっしょには いられない

 

だから

ときどきしか

あいに これない

 

ごめんね

きみが たいせつなんだ

 

       寒気が緩んで

       久しぶりに太陽が顔を出しました

       枝先の雪は、それは美しく

       それこそ芸術作品のよう

 純白の雪と、冬の日差しとが絡み合って織りなす造形です。

 ただ、日が当たった枝からは、次々と雪が落ちていきます。

 これは、日光の力。仕方がないよね。

 でも、聞こえてきたんです。

 

 ゴメンね

 

 そうか。

 そう思っていたんだ。

 このことに気づくと、寒波が残していった白銀の世界と、やっと顔を出した日光とが愛おしく思えてきました。

 はかなく美しい出会いだったんですね。

 束の間の雪晴れの日の出来事でした。


本能の叫び?肉食いてぇ!

2023年01月27日 | 日記とレシピ

 肉食いてぇ!

 突然、メラメラと燃え上がる欲望の炎。

 自分でもよく分からないのだけれど、コテコテの肉料理を食べたくなってきた。こういう時には、人にも自分にも説明抜き。行動あるのみ。

「今夜は肉料理。任せて!」

ちょっと強い声(多分、表情も)で妻に話すと、何も言わずに同意してくれた。何を作るかは、そのあと考える。

 さて、コテコテだったらあれでしょう。

    ≪スペアリブ≫

 これが旨いんだよなあ。バラ肉の旨みが凝縮された骨付き肉。これをトロットロのテリッテリに焼いて煮詰めた料理。

 本気で味付けして、本気で調理してみます。それでは、スタート。

 3軒のスーパーを巡ったけど、スペアリブについては、やっぱり肉に特化したYO店のものが最高のようでした。

       心が高ぶっているせい?1㎏買っちゃった

 下ごしらえ・調理の部

 ・ニンニク3個を薄切りにして

 ・オリーブオイルを熱したフライパンに肉と一緒に入れてクレイジーソルトを回しかけます

 ・丁寧に焼き目をつけながら肉の面を変えていきます

       既にすごく旨そう!

 ・全面に焼き目が入ったら、ヒタヒタレベルまで水を入れてローリエ3枚も加えて加熱します

 ・沸騰するとアクが浮いてくるのでそれを掬って

 ・圧力なべに引っ越し

 ※今回は量が多かったからフライパンを使ったけど、可能ならここまで全て圧力なべで

 ・調味料も入れて加圧8分

 ※今回使った調味料:醤油はちみつ各大匙3、酒みりんリンゴ酢各大匙2、顆粒出汁小さじ2ぐらい、あらびき胡椒少々

 ・圧力鍋のピンが下がるまで他の食材を準備しながら待ちます

 ・ピンが下がったら蓋を開けて加熱。時々揺すりながら水分を飛ばします

 すごくいい香りが、台所中に広がります。

       そろそろいいかな?(蓋を開けてから20分くらい)

 ※焦げ付かないように、よく見ながら。途中1回裏返しました(既にトロトロなので気を付けて)

 

       皿に盛り分けて

        戴きます!

 ・・・!!!

 これですよ!この味!!

 見た目、テリ照り。食感、トロトロ。そして味、スペアリブ本体の獣っぽさをハーブと香辛料の香りがそれこそスパイスを利かせて和らげ、肉本来の旨みを引き立てています。出汁と醤油みりんとはちみつの味がくどくならないように、リンゴ酢のスッキリとした甘味と酸味が効いて、絶妙なバランスに仕上がりました!   家族全員、大絶賛でした。

 ああ~、ご馳走様でした!

 やっぱり、時々は、本能の赴くままに料理を作ってみるのもいいことですね。

 今回もネットに載っている何人かの名人の方々のレシピを参考にさせていただきました。

 感謝です。ありがとうございました。

 もしかしたら、二度とできない奇跡の料理だったかも。

 でも、また作りたくなるでしょうね。その日のために、この記録を残しておきます。