山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

明日に備えてワラビを採る

2020年05月31日 | 山菜採り
 4月末から療養していたA氏が復帰したようなので連絡を取る。氏曰く、
「湯殿山のタケノコ採りまでには体力を戻したいね。」
だそうだ。気遣い不要のやる気満々状態。こちらまでパワーを貰えそうです。
 それではリハビリに、ということで月山の裾野に山菜の様子見に出掛けることにした。目的地の標高は5~600m。現在通っているS川よりも200m程高い。
 普通に考えれば、「まだ早いんじゃない」と判断する所だが、積雪が少ない今年は違う。雪がないなら、日当たりの良い所から山菜の成長が始まるはずである。だとすれば、多少の収穫は見込める。そんな思惑で出発。
 この採り場では、車止めから暫く登って収穫。一通り採ったら、次の採り場にまた登る。採り終えたら一旦下って別方向にまた登る。この最後の登りが堪えた。地図で読むと、そんなに大したことないはずなのに、自分の身体を重力に逆らって引き上げることが、こんなに辛いとは。年ですかね。・・・それに引き替えA氏は、スイスイと登っていく。どっちが病み上がりだか分からないじゃないですか。口では平静を装いつつ、心の中でひいこら言いながら何とか採り場に辿り着く。
 しかし、目の前に広がるワラビ畑に、目の色がを変わる。戦闘モード、スイッチON!疲れを忘れて収穫を開始。

まだ、身を丸めた物が主体です


日当たりの良い場所ではスクッと伸びてます


喜んで戴きます

さすがに、まだ出始めという感じだけど、高品質です。

そこそこの収穫を楽しめました

 今回のワラビは、下ごしらえと下洗いをして、

下ごしらえと


下洗い完了



桶に漬けていきます

 秋以降に戻して戴く予定。・・・だいぶ山菜の備蓄も整ってきた感じです。
 台所に関しては保存食の備えは、準備が整いつつある感じ。体力に関しては、来たるべき奥山での山菜採りに備えて、リハビリが必要なようです。でも、もう少し身体を慣らせば、今年も奥山での山菜採り、なんとかなりそうという感触かな。
 明日に備えて、もう少し身体を鍛えよう!

神の試練?それとも恵み?

2020年05月30日 | 山菜料理
 長いこと海山渓を歩き回っていると、「もしかしたら、あれは、神様がマタギ達を試していたのではなかったのか。」などと思える出来事も積み重なってくる。
 今現在、元気に暮らしているのだから笑い話で済まされるのだが、冷静に振り返ってみると、命にかかわるような事件も少なからずある。
 思い出される出来事の殆どは、圧倒的な自然の脅威に向かい合わざるをえなかった場面なのだが、その度に自分の弱さを思い知らされている。しかし、その度毎に知恵を振り絞ったり、仲間と協力したりして危機を切り抜けてきた。未だに切れずに繋がっている仲間との絆は、こんな経験を積み重ねていくうちに築かれてきた。
 別の言い方をすると、神様の掌の上でいろんな試練に遭い、試された結果、『その人の真実』(うまく言葉に出来ません)をわかり合えたから現在の絆が構築されてきたのかもしれない。
 そういう意味で、自然と向かい合うことはマタギにとって、自分を知ることであり、人を知ることであり、生き方を学ぶ道場のようなものなのだなと思ったりするんです。

「ちょっとお待ち下さい!」
「どうした?越後屋?」(越後屋、マタギの耳元で)
「恐れながら申し上げます。少々お話が、ゴニョゴニョゴニョ。」
「左様であったか。言われてみればもっともじゃ。・・・もうちょっとフランクにいってみますね。」


 だけど、行動しながら出逢う小さな試練は、四六時中あります。
 なかでも多いのが、新しい獲物や山菜との出会いだ。今現在、マタギが持ち帰る収穫物に対して、家族は、何の疑いもなく調理された物を食べて、「美味しい!」と言って喜んでいる。しかし、これらを確信を持って振る舞うためには、かなりの調査・研究が必要なのだよ。
 先輩諸氏による見立ては勿論、複数の文献をもとにして照合を進めていく。その結果、間違いなしと思える物を調理するのだ。
 そんな中で、初めのうち戸惑っていた食材がこれ。

春山のヒラタケ

 キノコと言ったら秋でしょ、という認識をひっくり返してくれた貴重な存在である。
 今時、スーパーでいつでも手に入るキノコが、マイタケ、シイタケ、ブナシメジ、エリンギ、エノキタケ・・・。いろいろあるんだけど、自然界で春に手に入るのは、シイタケと、このヒラタケぐらいなんですよ(エノキはもっと早い時期)。大抵は、秋の風物です。ところが、山の神様は、時々いたずらを仕掛けてくるんです。
 初めのうちは疑心暗鬼で恐る恐るだったんですけど、大丈夫であることが分かってからは、春の恵みに変わりました(一応、秋にも出ます)。

右上のキノコね


 このキノコ、非常に香りが良いので、お吸い物にすることが多いのだが、今回は、違う料理にしてみましょう。

 ポクポクポクポク チ~ン

  ≪ヒラタケとタケノコの中華風炒め煮≫

 せっかくタケノコがあるんだから、こういうコラボも楽しいはずと思ってのチャレンジです。

 下ごしらえの部
 ・タケノコは茹でて、食べやすい大きさに切り分ける(200g)

このぐらい使いました

 ・ヒラタケは塩水に浸して虫だし⇒その後軽く洗う(200g)
 ・竹輪を縦に切り分ける(2本)

こんな感じ


 調理の部
 ・鍋にゴマ油(小さじ2ぐらい)を敷いて熱する
 ・具材を全て入れて火と油を通す

 ・水50mlと中華だし小さじ1を加えて炒める
 ・水気がなくなってきたら醤油小さじ1を加え、サッと炒めて出来上がり

春と秋の山菜のアンサンブル


 好評でした(ホッと一息)。
 小さな山の神様からの試練が、本物の『恵み』に生まれ変わった一瞬です。
 こんな小さな信頼の積み重ねが家族の絆をも深めてくれるのだと思います。
 また、旨いもの採ってくるから食べようね。

  To be continued!

究極のウド料理!?

2020年05月29日 | 山菜料理
 今回の山業のメインはタケノコなのだが、途中で出逢ったウドがあまりにも美しかった。

白根ウドと呼ばれています

 荷物が重くなりすぎて、欲張りばあさんの葛籠(つづら)みたいなことになってしまうことは分かっているんだけど、「せっかく山の神様が準備してくれたんだから、置いて帰るわけにはいかない!」という山の掟と、マタギの欲タガリ根性とが、収穫をせがむ。
 採るか?しかし、今まで採りすぎているよなあ・・・。その時、
「自分の心に正直になりなさい。今やりたいことに思いっきり取り組むのよ。やらないで後悔するよりも、やってから考えた方がずっとあなたを成長させてくれるはずよ!」
心の中に住む天使が背中を押してくる。
よし!採りましょう!!先ずは自分に正直に。家族の喜ばせ方は、あとで考えればよい。まずは採る。そして自分の幅を広げていくのだ。
 で、持って帰ると・・・
口では言わないが「また、ウド?」という家族の気配を感じないわけではない。
・・・やっぱりね。
 しかし、ここなのだ!ここでウド料理の新たな地平を開拓するのだ!

 ポクポクポクポク チ~ン

  ≪ウドの刺身≫

 下ごしらえの部
 ・ウドを洗って汚れを落とす
 ※枝葉の付け根に汚れがつきやすいので丁寧に
 ・薄い酢水にさらしておく
 ※いつまでも綺麗です

 調理の部
 ・皿などにとった味噌をつける
 ※味噌の量はお好みでどうぞ

このままガブリ!

 シャキッとしてジューシー。ウドのきど味がうっすらと口中に広がります。たまりません!
 他の野菜や山菜にも通じるんですけど、日光に当たらずに土の中で成長したウドは、本来の旨みだけを教えてくれるんです。
 ああ~、旨い!
 魚の究極の料理が刺身だと思うんだけど、新鮮な山菜だって同じ。これぞ究極のウド料理って感じです(意外と単純な結末になったかな?)。
 そうは言っても、日光に当たって色づいたた部分もありますよね。こちらは、イタリア料理風に仕上げます。以前、塩漬けウドで紹介してるんだけど、生ウドでは初挑戦です

  ≪ウドのオリーブ炒め≫ 

 下ごしらえと調理の部
 ・刺身と同様に汚れをしっかりと落とす
 ・5センチぐらいの長さに切って

 ・火の通りが良くなるように、6~8等分の細切りにします
 ・ベーコンを短冊に切り分けます
 ・フライパンにオリーブオイル大さじ1弱を熱し、ベーコン投入
 ・続いてウドも投入して、火と油を通していきます
 ・塩ひとつまみと顆粒だし適量を加えて炒め続けます
 ・なんとなくなんですけど、全体に火が通ったかなと思う頃に粗挽きコショウを加えてもう一炒め

出来上がり

 かなり美味しかったです。もし、材料が手にはいったら、だまされたと思って作ってみて下さい。ああ、旨かった!
 残ったウドは、

  桶に並べて

  塩を振り掛けて

  重しをして
 果報は寝て待てでございます。
 総括!ウドを持ち帰って良かった!!
 やっぱり、行動してみればこそ喜びの裾野は広がっていくものなんですね。天使様、ありがとう!
 ※ただし、自然破壊につながる乱獲はいけません。これ、前提条件ね。
 次は、ワラビとタケノコとキノコなどですね。さあ、腕によりをかけますよ!

 To be continued!

リラ冷えの山中で思う

2020年05月28日 | 山菜採り
 先週のタケノコ採りから1週間が過ぎた。また、S川に向かう日がやってきた。
 同一地点での山菜採りの場合、普通は訪れる度に季節が進み、1週間前とは違った自然の顔を見ることができる。それが一番の楽しみと言ってよい。この変化の鍵を握るのが、『気温』と『降雨』である。
 ここまでの1週間を振り返ると、『降雨』は文句なし。『雨後の竹の子』なんて言葉があるくらい、山菜の成育には重要な条件が一つ揃ったことになる。
 ただ、『気温』が問題ですね。5月も下旬に入ったというのに寒い寒い。一度は止めた暖房を再開しなくてはならないような状態だった。
 この時期の寒さの戻りを『リラ冷え』と言うそうな。初夏を告げるリラ(ライラック)が花盛り。なのにどうして?というイメージかな?
 山の中には、リラは咲いていないけど、タケノコが花(?)盛りであってほしい。『タケノコ冷え』で収穫なし、なんてことになっていないと良いなという思いで山に入る。

山中のフジも咲き始めました

 山フジの花の咲き具合は、3分咲き?ほぼ平年並みだ。ここまで早め早めと進んできた季節の進みにブレーキがかかった感じ。
「う~ん。」
少々、首をかしげてしまう。山菜たちは、予想していたほど成長していないかもしれない。
「お~い。これ何だ?」
相棒のM氏が呼ぶ。行ってみるとビックリ。

ヒラタケさん こんにちは

先週も通った場所なのに、全然気付かなかった。もしかしたら、キノコによくある話なのだが、この冷え込みで顔を出したのかもしれない。少々いただいていくことにします。
 続いて、恒例のウドの名産地、土崖。

美しい!

 本命は上流のタケノコなんですけど、採らないわけにはいきません。2人して、夢中になって採ったので、リュックが重たくなってしまいました。

「2番出」も混じっているようなので、今シーズンはここまでにしておいた方が良さそうです(これ以上採ると根や茎が細っていく)。

フキノトウたちも役目を終えそうです


オオナルコユリ

シオデが山菜の女王なら、このオオナルコユリは山菜の皇太后と言ってよいでしょう。美味しいです。
 ・・・なんだかんだ言っても、季節の変化を楽しめてますよ。
 本命のタケノコはと言うと、



密接・密集をさけているんでしょうか、1本ずつです

パラパラと生えているものを、足で稼ぎながら採ってきたという感じです。

本日のタケノコ


 植物の成長は、人の思惑に媚びることはない。日差しと気温と降水とに身をゆだねて、時がきたら自ら成育を始める。この辺りが、本日の観察のまとめになるかな。自分自身の成長もかくありたいと思うマタギであります。
 ・・・『欲タガリ』の思惑通りには成長してくれなかった山菜たち。と言うことは、また、ここで楽しめるかもしれませんね。

  To be continued!

たこ焼き食べたい!

2020年05月27日 | 日記とレシピ
 ある御仁のブログを読んでたら、旨そうなたこ焼きの画像が目に飛び込んできた。
「ああ!食べたい!!」
ムラムラと食欲が湧いてくる。
 考えてみると、暫く食べていない事に気付く。例年だとマタギは、3月から4月の間にタコ釣りに出掛ける。そして、釣り上げたタコを使って色々な料理を創っているのに、今シーズンは、全くタコ釣りをしないままに初夏を迎えてしまっていたのだ。そのタコ料理の中の一品にたこ焼きが入っていたのだよ。

昨年の獲物のタコちゃん

 食べたい思いは募るばかり。
「よし!つくりましょう!!」
 本来、マタギはアジを買うことがない。だって、釣り師としてのプライドが許さないんだもの。
「アジは、買う物ではない。魚と知恵比べをして獲得すべき物だ!」みたいな、変なプライドね。このため、家族に迷惑をかけている魚介や山菜は少なからずあると思うんです。タコも同様なんですけど、背に腹は替えられぬ。無念じゃが出掛けるか・・・。
「代官様、よいご決断です。『武士は食わねど・・・』などという諺がございますが、本当の知者は『期を見てせざるは・・・』でございます。」
「そう思うか、越後屋。」
「左様でございますとも。代官様は、些事には振り回されぬお方でございますから。」
「越後屋。主は、いつも良いことを言う。よし、それでは、買い出しに出掛けよう!・・おっと、マスクを忘れずにな。」

 プライドよりも食欲が勝ってしまった。狩猟民族としてのプライドは捨てて、一般消費者の心持ちになろう。近所のスーパーで、ミズダコの切り身と長芋と紅ショウガに加えて揚げ玉まで買ってきてしまった。
 小ネギと、桜エビは、台所にあったので、それを使います。

  ≪たこ焼き≫

 下ごしらえの部
 ・卵2個に長芋80gを摺り下ろし、だし汁500mlを加えてよく混ぜる
 ・薄力粉120gを網じゃくしで濾しながら、ダマにならないように混ぜる
 ※ここに醤油とみりんを少々加えます(この味付け、結構重要です)
 ※生地完成!(これで32個分になりました)
 ・タコ、小ネギ、紅ショウガは細かく切っておく
 ・それぞれを、振り掛けやすいように別々の容器に分けてスタンバイ

準備OK


 調理の部
 ・キッチンペーパーにサラダ油を染み込ませ、たこ焼き器全体に塗る
 ※ケチらない。ケチるとへばりつく(うちだけかな?)
 ・点火後、タコを1個ずつ並べてから生地を回しかける
 ・それぞれの凹に具材を乗せていく

ああ、いい雰囲気!ここからが正念場!!

 ・何となく固まってきたら、ちょっといじってみます
 ・動くようなら、クルッと回して、もうひと焼き

一丁上がり!


とりあえず一回分

 ここまで来たら、みんなを呼びましょう(この前に呼んでも楽しい)。
 お好きなトッピングで戴きます!

「越後屋。主の言葉があればこその料理じゃ。食すが良い。」
「それでは、僭越ながら、ありがたく戴きます。」
モグモグ・・・
「おおっ、これは! 代官様、絶品にございます!!」
「ほう、そうか。どれどれ?」

 あああ!これよこれ!!これを食べたかったんだよね。感動!

 越後屋と家族と、手を取り合ってランチを楽しむマタギでした。

 To be continued!