山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

涼を求めてブナの森散歩

2024年06月24日 | 山菜採り

 本日は、夏至を過ぎて最初の休日。

 どうする?

 発芽というか、芽吹き系の山菜は、先日のN沢での月山筍採りで終了と言ってよいでしょう。

 だとすると、夏から秋にかけてのキノコ採りや、木の実が実る秋まで、しばらくお休みという選択肢も大あり。

 何てったって、巷では、超高温による熱中症アラートに加えて、県内全域にクマ警報が発令されているんだから。

 ただねえ、明日以降は本県も雨模様。

 いよいよ梅雨入りしそうなんですよ。

 だったら、その前に、もう少しだけ山遊びをしてもいいんじゃないかな、と思うのですよ。

 念のために言っておくと、本県のクマさん達は、今のところ、人の気配が分かっていたら場所を譲るぐらいの常識を持ってます(少なくとも山の中では)。

 だから、あらかじめしっかりと人間の存在を知らせておけば、襲われることはないと考えています(必要があったら別の機会に詳しく書きます)。

 となれば、問題は暑さ

 こちらは簡単に解決できます。

 海抜の高いところで得意の朝仕事をすればいいってことだ。

 ということで、日の出時刻を活動開始時間に設定して、H沢に出掛けることにしました。

 この沢は、S川と同じように、何でも採れるオールマイティーの山菜採り場。

 ただ、海抜が高い分だけ、春の始まりも遅いのだ。

 さすがに芽吹きの山菜は終わっていると思うけど、収穫は別にしても、さぞ気持ちよかろう。

 それでは、涼を求めて森林浴に出かけてみましょう!

 そうして、到着してみると、やっぱり、下界とは異次元の涼しさ。

       ブナの森が気持ちいい!

       迸る水は冷たく

       何度訪ねても癒される

       ヤグルマソウが花盛り

       ミヤマザクラ?

       さすがにエゾアジサイは、まだ

       サンカヨウは実になっていました

 そんでもって、

       アオミズです

 茎を戴く山菜です。アオミズは、食べ頃になっていたので、適量、戴きましょう。

 こうなるとやっぱり、アカミズも欲しいね。そちらの方も、少々戴いて・・・。

 これで、目的達成です。

 森林浴と、ちょっとの収穫。

 これだけで、あとは何もいりません。

       再びブナの森を引き返し

 車まで戻ると、

       ムラサキツメクサかな?

 春の終わりを惜しむように咲いていました。

 多分この辺りでは、間もなくマツヨイグサが咲き乱れるはずです。そうなると真夏です。

 ああ、気持ちよかった!

 やっぱり、早朝のブナ林には癒される。

 山の神様、気持ちの良いひと時をありがとうございました。

 また、遊びに来ますね。


筍の聖地 お三度参り

2024年06月21日 | 山菜採り

 本日は、月山筍の聖地N沢筍詣での3回目になる。

 前回との大きな違いは、『中3日』での出発になったこと。

 この短いインターバルになったのは、マタギの勤務日程の都合で、どうにも動かしようがない。

 そうなると心配なのが、自身の体力の回復

 前回、大量のタケノコを背負って歩き続けてみて、局所的な痛みや怪我はなかったものの、フラフラになって帰還したことは事実。

 そこから、しっかり回復できるかどうかが不安材料だった。

 でも、そこは2回続けたタケノコ修行。3日目には、ほぼ疲労回復した。

 やっぱり、繰り返しは大事だわい。

 そうして、もう一つの懸念材料が、タケノコを持ち帰った後の台所

 一部は瓶詰め保存にしたものの、近日中に調理しなければならないタケノコが、まだ大量に残っているのだ。

「この前の残りがいっぱいあってよう。今日採って帰ったらどうなるか心配なのよ。」

「俺もそう思って、この前の分から、良さそうなものを人に配って、残りを瓶詰めにしてきたんだ。」

 なるほど、流石はA氏。先の見通しを立てて行動している。勉強になりました。

 さて、N沢の様子はというと、

「やっぱり、裏山でのクマ騒動から、こっちさも人来ねぐなってのう。今日もガラガラだ。」

検問所の爺さんも諦め顔のようだ。

 ここのクマは、人との棲み分けが出来ているから、よっぽど変なことをしなければ騒動にはならないと思うんだけどなあ。

 さて、歩き始めて30分弱で最初の休憩地に着いた。

        もうすぐ夜明 タニウツギは満開

 ここまで追い越しも追い越されも全くなかった。珍しいことだ。

       渡渉点周辺の雪も全くない

 この辺りも、つわもの達が急登を前に気合を入れ直す場所なのだが、誰もいない。

       遥かに庄内平野を望み、第二の休憩所へ

       対岸の山の雪渓はほとんど消えている

 ここにも人はいない。

 本当に人がいないのう。

 この先は沢歩きが中心になる。

       ようやくスノーブリッジが現れた

 頑丈そうだったスノーブリッジも大分小さくなってきたので、末端部分と沢の上は慎重に渡る。

 前回の結果に加えて、この雰囲気だと、雪渓の消え際が一番の狙い目になりそうな気がする。

       いいタケノコだ

       伸び加減でもウラ折りにしていただきます

 ちょっと厄介なのが、

       他の植物が伸び始めたこと

 出始め、短めのタケノコが見つけづらいです。

 筍採りの大原則が、地面に這いつくばって見ること。そして、下から上に向かって見ることなんです。

 ところが、この強靭な竹林が、束になって邪魔しに来るんです。

 ここからは、竹藪対マタギの死闘ですね。

 全力で竹藪をかき分け、身体を獲物に向かって移動させる。

 それをさせまいと、竹藪と蔓植物が連携して邪魔してくる。

 非常に辛いのが、この格闘が、雪崩の落ちた上の急斜面で行われているということなんです。

 ちょっと間違うと、せっかく登った斜面からずり落ちてしまう。

 そうならないために脚力・腕力・背筋・腹筋を総動員しての戦いです。

 そして、なんとか満足のいく収穫になったところで、

「あと、降りるぞう!」

「分かったあ!」

なんとか安定できる場所を見つけて、収穫物をリュックに移したら下ります。

 こんな採り方が、今回のマタギたちのタケノコ採り。

 上の平に行くと、採り方が全然違ってくるんだけど、これで十分に満足できるから続けています。

 さて、川底周辺まで発生範囲が広がってきていることが予想できたので、それらしい場所でも収穫を重ねて下山です。

 「おい。サンカヨウじゃないか?」

「どれどれ?おお!」

 マタギは、疲れて周辺を観察する余裕がありませんが、A氏にはその余裕があるようです。

       今年初めて見た

       やっぱり美しい

 余裕のA氏は、出始めのウドも少々収穫しておりました。マタギは、もう十分です。

       ツガザクラも咲いています

 下り基調で1時間余り、

       再び庄内平野の見える坂の入り口に

 ここまで来たら月山筍礼拝の旅も最終盤です。あとは、1時間弱、気を抜かずに下るだけです。

 今年も無事に月山筍採りを終了することができそうです。

 N沢の山の神様、沢山の喜びを、今年もありがとうございました。

 来年になるか、来週になるか分からないけれど、これからもよろしくお願いいたします。


N沢筍採り修行Ⅱ

2024年06月17日 | 山菜採り

 本日はN沢での筍採り、2回目である。

1回目が筍の出始め。

それから1週間ほど経っているから、そろそろ最盛期に入る頃。

今回の筍採りもワクワクだ。

 そして、ドキドキも小さくない。

前回感じた右膝の違和感が心配で、専門の方に聴いたり情報を集めてみたりした結果、サポーターで膝を保護して、どうなるか様子を見ることにした。

 装着して2日で痛みが消えたので、外して行動してみるとすっかり違和感がなくなっていて、走ってみたり、大きな段差の上り下りをしてみたりしても問題なし。

 これなら何とかなるかもしれない。

まあ、無理をしないでという前提条件が付きますね。

 それでは、出発!

 今回もA氏と一緒です。

 検問所では、

「裏の山で熊のニュースが出たら、途端に来る人少なくなったのお。ようやく昨日あたりから増え始めたけんど、まだまだ(筍採りの人は)少ないのお。」

だそうだ。

 確かに、車止めには20台ほど。この時期としては、すごく少ない。

 午前3時半。まだ、少々暗いのだが、今回は二人ともヘッドランプを持っているので、闇の中を出発した。

        最初の休み場に着いた頃、空も明るくなってきた

 途中で、山形在住という親父さんと一緒になった。

こういう場面では、お互いのペースを見極めて、どちらが先に行くのか決めるのだが、今回の場合、どうも、大差がない感じ。

 だとすると、同行ですね。

 この同行が、意外と楽しい。

 山の現状について情報交換したり、過去の経験がもとになって話が盛り上がったりする。

 今回は、渓流釣り談議が楽しかった。

 そんなに年齢が違うわけではないから、殆どは『昔話』が中心になるんだけど、お互いの心に残っている源流の記憶が、かなりの割合で重なるんです。

 こういう昔話をしているうちに、

       渡渉点を過ぎて

       急坂を超えて

 2番目の休憩所に辿りつきました。

 ここで親父さんとはお別れ。

 親父さんは、奥の平をめざすそうだが、我々は沢を登って前回の採り場に向かう。

       スノーブリッジがほとんど消えた沢

 ほとんど夏と言ってよい渓流をのんびり登っていくと、

        大きなスノーブリッジが沢を覆っている

 もう少しで採り場だ。

 沢を離れて目的の笹薮をめざす。

       おお、出てますね

       でも、ちょっと伸び加減かな?

       まあ、このぐらいなら上等よ

 1時間少々かな。

 笹薮を上に下に右に左に移動しながら採ってみて分かったこと。

 タケノコは、この広い笹薮全体に満遍なく出ているということ。

 採ったタケノコをハケゴへ。ハケゴが重たくなったらリュックへと移動を繰り返していくうちに、ウルトラマタギのカラータイマーが点滅を始めました。

 まずい!

 このままだと帰れなくなる。

「お~い。あと降りるじゃあ。」

「OK!」

 気がついたら、かなりの高さまで登っていることが分かったんだけど、もう後の祭りです。

 既に重たくなっているリュックに、身体のバランスが奪われます。慎重に急斜面を下るしかありません。

 それなのにだなあ。降りていく手元足元に、すごく上等なタケノコが出ているんですよ。

 これを採らないわけにはいかないでしょう。

 ここからは、泥沼状態になってしまいました。

 そうして、無事に採り場の入り口に戻ったときには、ホッとしました。

       何とか帰ってきたぜ

       朝日が渓底まで届き始めました

 ここからは、主に下り基調になるんだけど、

       ああ、坂道まで辿り着いた

       ああ、リュウキンカが笑っている

       ああ、最初の休み場はタニウツギの盛りだ

 今回は、ひざの痛みではなくて、背負っている荷物に振られる身体をかばいながら、なんとか車に戻ることができました。

 ほんっとうに嬉しいですね。無事に帰り着くことができたのって。

 この山業は、レジャーなのか?それとも、修行なのか?

 正直なところ、その両方ですね。

 類まれなる高品質筍を収穫する喜びは、何物にも代えがたい。

 一方で、こんなにきつい山遊びなんだけど、それを求めている自分がいるんです。

 この二つの欲求をかなえてくれるN沢の山の神様、ありがとうございました。

 もう1回ぐらい遊ばせてもらえますか?


ワクワクドキドキ!N沢筍採り

2024年06月10日 | 山菜採り

 「ところで、何時ごろ出発する?」

「まだ、そんなに人も多くないから,ちょっとゆっくりで(午前)2時過ぎぐらいか。」

「OK、じゃあ、よろしく。」

 いよいよ今年初、N沢でのタケノコ採りになる。

 この沢への入渓では、同行者がA氏になる。

 何度か紹介しているが、ここでの山菜採りは、山菜採りの技術よりも、行って帰るための体力がものを言う世界だ。

 とにかく行程が長い。

 しかも、高低差も大きい。

 さらに加えて、タケノコが採れた時の荷物の重さに耐えなければならない。

 今年は、この難業に耐えられるか、ドキドキする。

 一方で、その苦労の先に待っている月山筍はどんな具合か。ワクワクもするのだ。

 この難業に耐えられる体力を持ち、渓の状況についてもよく知っているA氏は、とても頼りになるパートナーだ。

 検問所で入山料を払い、今日の様子を尋ねる。

「少ないのお。駐車場の真ん中に停められるさげの。」

 最盛期になると、とんでもない数の山師が集う採り場だが、まだ少し早いようだ。

 確かに、駐車場にある車は十数台。

 可愛いものだ。

 身支度を整えているうちに少し明るくなってきたので出発する。

「とにかく、マイペースな。早い時、声掛けるべ。」

「OK」

 逆に言うと、オーバーペースが怖いのだ。

 複数で行動するときはもちろん、この山域のように、前後に別の集団が入っている場合には、特に注意が必要だと思う。ペースが乱れやすいのだ。

 自分の体力に合ったペースで歩くことが、こういう長丁場の山菜採りでは必須なのだ。

 歩き始めてから40分強、N沢の渡渉点に辿りつく。

       沢の流れが見える

 この時期にしては早い方だろう。スノーブリッジが崩れ落ちてしまっている。

       この雪上の汚れ通りに歩いてはいけない

 この状態になってしまうと、雪渓の状態が日に日に変化していくので、安全な場所を自分の目でしっかり確認してから渡らなければならない。

 1時間弱で『小屋跡』と呼ばれる休憩スポットに着いた。

       きれいな清水

 ここには、澄んだ清水が流れているので、水分の補給にはもってこい。

 そして、

       雪の量は少なめ

 山の様子も、ある程度把握できる。

       食べ頃のコシアブラが出てるけど採りません

 一息入れたら、いよいよ道中の後半戦。

 海抜高度を上げるにつれて雪が増えてきました。

       この辺まで来ると歩きやすい

 さて、そろそろですかね。竹林に潜り込む。

       おおっ、出てるじゃないの!

       かなりの高品質ですよ!

       さすがはN沢

 ハケゴが満杯というわけだはないのだが、重たくなって身体が振られるようになってきた。

 2回ほどリュックに詰め替えをしたところで、

「結構採れたね。」

「どうする?」

「上は、出てないみたいだから終わりにするか。」

「あいよ。」

       沢に降りると眩しい日差し

       この辺りはフキノトウが出始め(採りません)

       ミズバショウとリュウキンカも眩しい

 帰り道、下り基調だから楽なはずなのに、スピードが出せない。

 荷物の重さに、体のバランスが保てないのだ。

 というか、それに加えて、右膝に若干の違和感を覚える。

 ここは、慎重に行くべきだろう。

       遥かに庄内平野。ここを下り切れば少し安心

       ムラサキヤシオも間もなく花時を終えそう

       木漏れ日とセミの合唱の中を下る

 午前9時前、無事に駐車場に戻ることができた。

 ああ、よかった。

 そして、楽しかった。

 ドキドキはすっかり治まり、その代わりに喜びでいっぱいだ。

 山の神様、沢山のお山の恵みをいただきました。そして、今回も無事に戻ることができました。

 ありがとうございます。


すっかり夏山菜の季節です

2024年06月04日 | 山菜採り

 昨日、ワラビをたっぷり採ってきたのに、今朝も山菜採りに出かける。

 こちらは、以前から予約の入っていた山菜採り。M氏と一緒だ。

 ただ、行き先がS川。

「S川よさらば!」みたいなことを語った舌の根も乾かぬうちに、また出かけることにしたのには、それなりの訳がある。

 一つ目が、S川上流部の右岸の様子が気になっていたこと。

 この方面には何度も出向いているのだが、右岸側の山菜の出が悪い。

 理由を考え、調べた結果、北斜面だからという結論に達した。

 日当たりが悪ければ温度が上がらず、雪消えも遅れるから山菜の発生が遅れるのは仕方がないこと。

 しかし、竹林そのものは立派なんですよ。

 だったら左岸よりは遅れても、いいタケノコが芽吹くはずだ。

 そのことを確かめたかったんです。

 そして、もう一つが、まだ、ミズを全く採っていなかったこと。

 夏の山菜の代表と言ってよいミズ(ウワバミソウ)なんだけど、タケノコシーズンになると、どうしても「この次でいいや」という気持ちになってしまうんです。

 だって、タケノコは待ってくれないけれど、ミズは1か月でも2か月でもマタギたちを待っていてくれるんだもの。

 ま、言い訳はさておいて、新鮮なミズを採りたくなった。そして、食べたくなったってことです。

 20日ぶりに入ってみたS川上流部は、

       意外と藪が茂っていなかった。沢の水量も減っていない

       斜面の雪は、ほぼなくなって、緑に包まれてます

       雪が消えると新たな発生も。勿論、いただきます

 この川は、上流でも下流でも高品質のウドが採れます。

 タケノコは、

       このぐらいなら上等!

 さすがに伸び加減のものが多いけど、十分に美味しいはずです。

 右岸を中心に探りながら下っていくと、いつしか前回の終了地点である『三段のタケノコ畑』に着いてしまった。

 ここでは、結構丁寧に探ってみたけれど、収穫は僅か。

「今年は、今度こそこれで終わりだな。」

「うん。また来年ということだ。」

 引き返すことにする。

 タケノコを諦めると、ようやく他の山菜に心が傾き始める。

       ミズは、その名の通り瑞々しい状態

       もう花を咲かせているものも少なくない

       群生しているし、丈が長いので、すぐにハケゴが溢れるのでリュックに移す

 必要分を採ったら、

       フキも欲しい分だけ戴く

 我が家では、塩漬けスペースがなくなったので、今週食べる分だけ戴きました。

 間もなく、

       渓底まで日差しが降り始めた

「下流が真東。と言うことは、やっぱり右岸が北(向き)斜面だ。」

「山菜も、ちゃんと太陽の言うこと聞いて出てくるもんなんだな。」

 太陽の力が改めて実感できた感じ。

 それにしても、

       なんという眩しさ

       なんという鮮やかさ

 真夏の訪れを前にした爽やかな初夏の日差しに心癒されながら、入渓地点に向かう。

 山の神様、また来てしまったのに、嫌な顔もせず、嬉しいお土産をありがとうございました。

 今度こそ、また来年まで、さようなら。