分どり合戦!
今から55,6年前、私が高校生の時に友人に言われたことが忘れられません。
彼は「人生は所詮分どり合戦だ」と言いました。
彼についてはその言葉しか思い出しません。
高校生の時私はその言葉に何か強い印象を受けました。
以後70歳を超える時までその通りだと思ってきました。
税金をどう使うかもある意味「分どり合戦」です。
高齢化と共に伸びる医療費はもはや分どり合戦の様相を呈してきました。
令和6年度医療費改正は医療崩壊につながる恐れ
今病院の8割は赤字ですが、今回の改正案ではマイナス改定の可能性が有ります。
さすがの医師会も今回は危機に迫るものがあり必死です。
実際令和4年度の医療費改正で精神療法が5%切り下げられましたが、仕事はコロナも入り1.5倍の忙しさです。
収入はかえって減っている感が有ります。
今でも毎日2~3回は防御着に着替えなければならない
プレハブまで結構外は寒いぞ!!この後は心療内科の新患で時間がかかる
他の患者さんは今日も2時間待ちです。
高齢で早く閉院したいが、子育て中の従業員がいるので死ぬまでやらなければならない状態に追い込まれています。
ちなみに開業医の寿命は70.8歳、60代の死亡は30~40%です。
実際後輩や同級生の開業医が死亡している状況もあり、まるで死神が後から走っている若い後輩を食いながら私に追いついてきている感じです。
たしか法句経に「我やさき 人やさき けふともしらす あすともしらす」という人生の儚さの白骨の章が有りますがそんな感じです。
そう言った感じの中、医療従事者が金銭に困れば、医療従事者は自己防衛に走り「医は算術」に変身し、
まずは人員がカットされるでしょう。給料を上げるどころではありません。
いま日本では医療従事者数は介護を含めて全労働者の13.5%です。900万人います、家族を含めると相当なものです。
これらの人が困窮すれば経済にも計り知れない影響が出るでしょう。
医療医従事者は馬鹿々々しくなり他産業に逃げて、医療劣化のしわ寄せは患者にも来て、ある意味では医療崩壊です。
金の切れ目が縁の切れ目
以前私が企業の産業医をしていたころ笛や太鼓で迎えられましたが、
バブル崩壊、リーマンショックと会社が傾くや態度が一変しました。
リストラ時代に突入し社員の見方をする産業医は会社にとっては目の上のたん瘤です。
社長、総務部長、事務長と辞めれコールでした。もちろん昇給などほとんど在りません。
金の切れ目が縁の切れ目だと、心から学ばせて頂いた時代でした。
そのころ病院でバイトをしていましたので、病院に来るとほんとに心からホッとしていました。
やはり利益一本やりの企業と違って、医療従事者は愛というか精神的なレベルが高いと思っていました。
食客的立場の病院からリストラされる
しかしながら小泉首相の十年間の医療費抑制、さらにそれからも継続で医療も厳しくなりました。
そして私もそのほっこり病院からリストラされました。
そこでは患者を診るだけでなく、人材紹介までしてやって高く評価できる食客的仕事もしていたのに、
病院の経営が苦しくなり、余分な人材はカットであっさりと食客待遇でもある病院から首にされたのです。
また友人がガンになり6か月後の厳しい治療を乗り越え治り復帰したとたんのリストラ宣告です。
オイオイ、これでは病院も企業よりひどいぜという感じでした。
最近は仕事が無い先輩などから「非常勤で雇ってくれないか」という電話も有ります。
高齢の医師は開業していなければ仕事が無く経済的に困る医師もいます。
大学に長くいたりすると老後のお金が有りません。
これからの医師は若いころからお金に敏感でないと老後はキツイかもしれません。
金の切れ目が縁の切れ目、医療の世界も貧すれば根本は企業と何の変りもないのです。
衣食足りて礼節を知る(貧すれば鈍する)
医療従事者がこれ以上貧困になれば精神的に激変します。
やがて患者に波及し日本人の心は疲弊する。
病期になったらなった時にとか自分は病気にならないと思っている人がいますが、
なった時は想定以上の悲劇です。やはり予防が大切です。
医療従事者が貧して鈍したらもっと悲劇になります。
もう薬も有りません
私の机の前に貼られた警告
薬が有りません。長い医師の生活でこんな事はありませんでした。
これはあくまでも私の勝手な予測ですが、民間薬局が買い占めて処方薬が作りにくくなっている。
あるいは薬会社がもうからない製造ラインは放棄し始めたのではないかと思います。
もう長期間続けられている薬価切り下げの影響は骨髄まで来ているのではないでしょうか。
以前はもらっていたカレンダーやボールペンさえ薬会社からはももらえず。
タクシー会社やガス会社が立派なカレンダーをくれます。
もう薬会社にも貧すれば鈍する時代が来ているのではないでしょうか。
若い女性の自殺が増えている
皆さんは近年自殺が増加しだしたことはマスコミ等でご存じと思いますが、
特に若い女性の自殺が目立ちます。
今日たまたまかたずけていたら、自殺した患者さんから貰った花束に添えられた手紙が出てきました。
本当に現在心療内科精神科医療は厳しい所に有ります。
精神療法は下げられましたが、切ったり貼ったりするのが医療だけではありません。
病が重く診療を待つことも、苦しくて出来なくなる患者もいます。
だから診療を今までの1.5倍の速さでやりますが、キツイキツイ!
わたしは長時間労働面接を良くしていますが、初めて知りました。
きついのは仕事の時間が長いかではなくその人が仕事を急いでいるかどうかです。
自分の診療体験を通して知りました。
うつの方は自殺しないように参考にしてください
コロナでは儲けたという見方はしないでほしい
コロナで儲けたお金で賃上げをという話も有りますが、
何か考え方がおかしいのではないでしょうか。
以前担当の老人ホームがコロナのクラスターになり大変でしたが、
大学病院に行った一人を除いて50人以上を全員助け隔離期間終了になりました。
当時入院できず、ほとんどホームで治療しました。
高齢多忙睡眠不足の中自分も罹るかもしれないのに、儲けだけではエネルギーは出ません。
この他にも学校の校医や公務員などの高ストレス面談なども有ります。
以前は日曜当番、土曜の急患当番も有りましたが、医師会に高齢だからと泣きついて今年から免除してもらいました。
開業医の寿命が70歳のゆえんです。もうはるかに超えてるぜ!!
神よ救いたまえ・・・