由紀さおり「生きがい」
今、黄昏の町、あなたはどこを歩いてるのかしら
どこへ急ぐの人ごみの中
あなたと別れてからの20年
私は今でもずっとあなたと生きているのよ
あなたが帰る場所はここよ
ずっと待っていたのよ
とし子は坂道を下るバスのテールランプが
にじむのを見送っていた
どこへ急ぐの人ごみの中
あなたと別れてからの20年
私は今でもずっとあなたと生きているのよ
あなたが帰る場所はここよ
ずっと待っていたのよ
とし子は坂道を下るバスのテールランプが
にじむのを見送っていた
「これからどうする」
「僕は会社に行ってみるよ、どこの会社に勤めているのかは
わからないけどね」
「じゃ俺は彼女に会いに行ってみる
俺は今まで20年間、全力で走ったことなんかなかったんだ
一度、全力で走ってみるよ
20年間を失ったことで、はっきり見えた気がするよ
おまえも遅刻しないように走って行けよ」
「お互い、全力少年ってところだね」
「僕は会社に行ってみるよ、どこの会社に勤めているのかは
わからないけどね」
「じゃ俺は彼女に会いに行ってみる
俺は今まで20年間、全力で走ったことなんかなかったんだ
一度、全力で走ってみるよ
20年間を失ったことで、はっきり見えた気がするよ
おまえも遅刻しないように走って行けよ」
「お互い、全力少年ってところだね」
夜中に突然目覚ましが鳴り出した
時計を見ると2029年10月22日11時になっている
一瞬慌てる
この時計は絶対正確な電波時計なのだ
今は2029年だったのか
いったいどこの世界の電波を受信したのだろうか
失われた20年間はどこに行ったのか
元々無かったのだろうか
生きてるっていうのは記憶のことなのか
生まれた瞬間に記憶喪失になって
次に気づいた時80歳だったら
その人は結局存在しなかったことになるのか
誰の記憶にも残っておらず
病院のカルテも真っ白
医者も覚えていない
自分自身も何も覚えていない
覚えていてくれるのは長門裕之だけか
時計を見ると2029年10月22日11時になっている
一瞬慌てる
この時計は絶対正確な電波時計なのだ
今は2029年だったのか
いったいどこの世界の電波を受信したのだろうか
失われた20年間はどこに行ったのか
元々無かったのだろうか
生きてるっていうのは記憶のことなのか
生まれた瞬間に記憶喪失になって
次に気づいた時80歳だったら
その人は結局存在しなかったことになるのか
誰の記憶にも残っておらず
病院のカルテも真っ白
医者も覚えていない
自分自身も何も覚えていない
覚えていてくれるのは長門裕之だけか
「44歳だとすると、俺達は今の時代じゃ会社員やってるのか」
「そうだねえ、普通にいって会社員、何か才能があれば今頃アーティストかな」
「今日は月曜日だぜ、とすると、どこかに出勤しないといけないのか」
「とにかく、車を置いて、電車に乗ってみよう」
「えっ、JRさくら夙川、って、こんな駅出来たのか!
イコカって何だ!切符は国鉄駅員がハサミで切るんじゃなかったのか
チャージ金額200円って最初から何でこんなに金額が少ないんだ」
「あっ、その200円っていうのは、『自分の才能の金額』らしいよ
その金額の多い人は余った分で音楽作ったり、小説書いたりできる
200円じゃ、やっぱりサラリーマンやったほうがいいね、公務員ならもっといい」
「くそっ、20年前にイコカが有れば、自分の才能の金額がわかったのになあ
44歳で200円じゃ発泡酒とチロルチョコ買ったら終わりじゃねえか!
坂崎幸之助とデュオ組むこともままならねえぜ、まったく」
注:関西でのイコカは関東ではスイカ、東海ではトイカという名称らしいです
「そうだねえ、普通にいって会社員、何か才能があれば今頃アーティストかな」
「今日は月曜日だぜ、とすると、どこかに出勤しないといけないのか」
「とにかく、車を置いて、電車に乗ってみよう」
「えっ、JRさくら夙川、って、こんな駅出来たのか!
イコカって何だ!切符は国鉄駅員がハサミで切るんじゃなかったのか
チャージ金額200円って最初から何でこんなに金額が少ないんだ」
「あっ、その200円っていうのは、『自分の才能の金額』らしいよ
その金額の多い人は余った分で音楽作ったり、小説書いたりできる
200円じゃ、やっぱりサラリーマンやったほうがいいね、公務員ならもっといい」
「くそっ、20年前にイコカが有れば、自分の才能の金額がわかったのになあ
44歳で200円じゃ発泡酒とチロルチョコ買ったら終わりじゃねえか!
坂崎幸之助とデュオ組むこともままならねえぜ、まったく」
注:関西でのイコカは関東ではスイカ、東海ではトイカという名称らしいです
「タイムワープしたって、何年後に来たんだろうな」
「カーラジオつけてみてよ」
♪さー不思議な夢と遠い昔が好きなら~♪
「タイムマシンにお願いって、昔の歌だよな」
「いや、ボーカルの声が違うよ、これは木村カエラだよ」
「木村カエラって誰だ?
それより、おまえ、白髪が増えてるぞ」
ひょっとして、20年タイムワープして
そのまんま歳もとったんじゃないか」
「それじゃタイムワープの意味無いじゃん
じゃ僕ら44歳ってか」
「カーラジオつけてみてよ」
♪さー不思議な夢と遠い昔が好きなら~♪
「タイムマシンにお願いって、昔の歌だよな」
「いや、ボーカルの声が違うよ、これは木村カエラだよ」
「木村カエラって誰だ?
それより、おまえ、白髪が増えてるぞ」
ひょっとして、20年タイムワープして
そのまんま歳もとったんじゃないか」
「それじゃタイムワープの意味無いじゃん
じゃ僕ら44歳ってか」