河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

翌日の極貧家族

2006年01月24日 | blog
「としこはもう疲れてしもた。パト郎と旅に出ます」
読む人もない置き手紙を書き、大雪の中、としこは愛犬と二人で家を出ました。
もうマッチを買うお金もありません。絵のコンテストも落選でした。
「せめてルーベンスの絵を見たい」そう思ったとしこは大聖堂へと入っていきました。
涙も凍るほどの寒さのカテドラルでパト郎にもたれながら遠のく意識の中、としこはつぶやきました。
「おとうちゃん、おかあちゃん、おじいちゃん、もうすぐおそばへ行きます・・・」
としこを乗せた荷車を引くパト郎、金色のエンゼルが案内する暖かくてごちそうの食べられる極楽へと向かうのです。

「まてーとしこー」「としこちゃーん、おかあちゃんやでー」
「宇宙人にさらわれてパチンコ打っとったら、ブラックホールに入って、出てきたらそこは新橋ホールやったんやー」「銭湯に入ったら、底が抜けてワームホールを通って松竹ホールに行ってしもたんよー」
「としこー、ここで死んだら寝てしまうでー」「寝る前には歯みがきなさい」

「うわーおとうちゃんとおかあちゃんやー」
「うちはルーベンスなんかどうでもええねん。また3人とパト郎とミッチーちゃんとみんなで貧しく暮らそなー」

その夜、裸電球1個に照らされた四畳半の部屋は六本木ヒルズより暖かく、すきま風の吹き込むそのガタガタの扉はライブドアより丈夫に見えました。