夏の夕暮れはずっと空色が残ったまま、なかなか闇へと変わらない。
母が出て行った去年の夏、私はクラブの合宿だったから、家を出て行く母の姿は覚えていない。でも服の色は水色ではなくて、この空色だったと思う。
涙が出てきたのは、母の思い出のせいではなくて、空がまぶしいせいだろう。
悲しみというのは水溶性だと、誰かが言っていたが、そうであってほしい。
あと何回か泣いて、水に溶けた悲しみが蒸発して、雨上がりの虹になればいい。
母が出て行った去年の夏、私はクラブの合宿だったから、家を出て行く母の姿は覚えていない。でも服の色は水色ではなくて、この空色だったと思う。
涙が出てきたのは、母の思い出のせいではなくて、空がまぶしいせいだろう。
悲しみというのは水溶性だと、誰かが言っていたが、そうであってほしい。
あと何回か泣いて、水に溶けた悲しみが蒸発して、雨上がりの虹になればいい。