河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

極貧家族:その128

2006年08月03日 | blog
夏の夕暮れはずっと空色が残ったまま、なかなか闇へと変わらない。
母が出て行った去年の夏、私はクラブの合宿だったから、家を出て行く母の姿は覚えていない。でも服の色は水色ではなくて、この空色だったと思う。
涙が出てきたのは、母の思い出のせいではなくて、空がまぶしいせいだろう。
悲しみというのは水溶性だと、誰かが言っていたが、そうであってほしい。
あと何回か泣いて、水に溶けた悲しみが蒸発して、雨上がりの虹になればいい。

極貧家族:その127

2006年08月03日 | blog
「わーアイスやー、ソーダアイスやねぇー」
「・・・」
「あれ、なんで食べへんの、溶けてしまうよ」
「あのなー、このアイスの水色、お母ちゃんの服の色やねん。去年の夏、お母ちゃんが、コーナンに行くゆうて、そのまま帰ってこんかったやろ」
「その時着てはったワンピースの色がこの色やった」
「そうか、そやったら、このアイスがお母ちゃんや思って、ガリガリかじったり。ほんまアホなお母ちゃんやったなあ」

としこの足元にぽつりぽつり落ちるアイスのしずくが水色の涙のようで少し切ない夏の夕暮れであった。