メープルシュガーとシナモンティーからのスピンオフストーリー
「蟲蟲蟲蟲(むしよん)」
春の天気の良い日、遠くの海に蜃気楼が見える事がある。あれは、海の底の貝が漏らした、ため息が浮かび上がり、島や建物や船の姿が見えるのだという。貝は巻貝ならばうずまき形に、二枚貝ならば同心円に年輪を刻んでいく。
それが、ふとした春の日に貝の思い出として、今までの記憶が海上に浮かび上がるのだという。
それと同じ事は陸上にもある。雨上がりの街を歩くと、カビくさいような懐かしいような古い図書館のような匂いが立ち込めているのに気づく。それは、地中のダンゴ虫が今までに吸い込んだ思い出を一気に放出してるのだという。
その街に住んでいた人々のこれまでの夢や希望や失恋や挫折を地中のダンゴ虫たちは吸い取っている。それを、雨上がりの気持ち良さにふと、ため息とともに吐き出してしまうのだという。
夢が多かった街の上空には、その時にきれいな虹が現れるという。
「蟲蟲蟲蟲(むしよん)」
春の天気の良い日、遠くの海に蜃気楼が見える事がある。あれは、海の底の貝が漏らした、ため息が浮かび上がり、島や建物や船の姿が見えるのだという。貝は巻貝ならばうずまき形に、二枚貝ならば同心円に年輪を刻んでいく。
それが、ふとした春の日に貝の思い出として、今までの記憶が海上に浮かび上がるのだという。
それと同じ事は陸上にもある。雨上がりの街を歩くと、カビくさいような懐かしいような古い図書館のような匂いが立ち込めているのに気づく。それは、地中のダンゴ虫が今までに吸い込んだ思い出を一気に放出してるのだという。
その街に住んでいた人々のこれまでの夢や希望や失恋や挫折を地中のダンゴ虫たちは吸い取っている。それを、雨上がりの気持ち良さにふと、ため息とともに吐き出してしまうのだという。
夢が多かった街の上空には、その時にきれいな虹が現れるという。
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