河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

時を駆けるたたみ人間

2006年08月04日 | blog
セミの声はどことなく違っていた。リエゾンするように鳴いている。まるでフランス語・・・夏への扉を開けると、そこはラベンダー香るプロバンスだった。
パパとママがまだ楽しく暮らしていた3年前のアルルの家に戻っていたのだ。
夏草の匂いとおだやかな風、セミが鳴く糸杉の木。あの頃はまだ幸福な時間がゆっくりと流れていた。
たたみ人間の私でもプロバンスでは自由に暮らせた。なぜならフランスにたたみは無いから。
でもアンチョビってあだ名が付いてしまった。
どうやら「たたみいわし」と「アンチョビ=かたくちいわし」を話のオチにしようとして失敗したようだ。

極貧家族:その129

2006年08月04日 | blog
どのくらい眠っただろうか。目を開けると、あたりは薄暗くなっていた。うつぶせに寝ていたので、ほっぺたに畳のもようがしっかり付いてしまった。「怪奇タタミ人間」である。
時計を見ると「7時」この時計は24時間表示なので・・・朝の7時・・・12時間以上も寝てしもた。学校遅刻やーーー大変やーーーーーーーーーーーーーー
ぼーっとした頭で考えたら、今は夏休みだった。
セミの声がやたらとうるさかった。


極貧家族:その128

2006年08月03日 | blog
夏の夕暮れはずっと空色が残ったまま、なかなか闇へと変わらない。
母が出て行った去年の夏、私はクラブの合宿だったから、家を出て行く母の姿は覚えていない。でも服の色は水色ではなくて、この空色だったと思う。
涙が出てきたのは、母の思い出のせいではなくて、空がまぶしいせいだろう。
悲しみというのは水溶性だと、誰かが言っていたが、そうであってほしい。
あと何回か泣いて、水に溶けた悲しみが蒸発して、雨上がりの虹になればいい。

極貧家族:その127

2006年08月03日 | blog
「わーアイスやー、ソーダアイスやねぇー」
「・・・」
「あれ、なんで食べへんの、溶けてしまうよ」
「あのなー、このアイスの水色、お母ちゃんの服の色やねん。去年の夏、お母ちゃんが、コーナンに行くゆうて、そのまま帰ってこんかったやろ」
「その時着てはったワンピースの色がこの色やった」
「そうか、そやったら、このアイスがお母ちゃんや思って、ガリガリかじったり。ほんまアホなお母ちゃんやったなあ」

としこの足元にぽつりぽつり落ちるアイスのしずくが水色の涙のようで少し切ない夏の夕暮れであった。

極貧家族:その126

2006年08月02日 | blog
「なあお姉ちゃん、なんでうちとこは貧乏なん?」
「としこちゃん、じゃあ貧乏ってどういう意味なの?」
「そら、貧乏っていうたら、ガレージにBMWが無いとか、プラズマテレビが無いとか、財布に100万円が無いとか、お父ちゃんの給料が12万やとか、ビール買わずにその他の雑酒サントリージョッキ生買うとか、とにかく物が無くてお金が無いことや」
「でも貧乏やったら、盆と正月にアイス食べるのがものすごくうれしかったり、止まっていた電気がついたりしたらうれしいやんか、それってリッチとちがう?」
「うん、なんとなくわかるけど、やっぱりうち、お父ちゃんがBMWに乗ってて月給が200万円のほうがリッチやと思うねん」

極貧家族:その125

2006年08月02日 | blog
「お姉ちゃん、なんか食べさせてえな」「冷蔵庫にスイカもやしがあるやろ、それに醤油かけてご飯に乗せて食べとき、かつおぶしもあるし」「うち、毎日スイカもやしはイヤや、アイス食べたい」「アイスは高いねん100円するねんで、盆と正月だけのもんや」「けどとなりのあっちゃんとこなんか毎日アイスモナカ食べてるし、時々コーヒーゼリーも食べてはる」「明日おねえちゃんがコーヒーゼリー作ったるさかい、しんぼうしとき。コーヒー無いけど麦茶で作ったるわ。ゼリー無いけど魚の煮こごりあるし」
「お姉ちゃん、これコーヒーゼリーとぜんぜんちゃうで」「でも魚の味するしなんかフランス料理の前菜みたいやなあ!すごいリッチや!金持ちになったみたいやなあ」

手振れ

2006年08月02日 | blog
手振れも墓場の火の玉みたいでいいなあ
平日のハーバーランドは廃墟かと思っていたら、けっこうな人出で一安心。
中国?の観光客もいたけれど、香港の夜景に比べたら寂しいもんだろうなあ・・・