細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『ウィンターズ・ボーン』の確かに骨太なヒューマン・ドラマ。

2011年07月23日 | Weblog

●7月22日(金)13−00 六本木<アスミック・エース試写室>
M−087『ウィンターズ・ボーン』Winter's Bone (2010) W.B.P.llc. 米
監督/デブラ・グラニック 主演/ジェニファー・ローレンス <100分> ★★★☆☆☆
ミズーリ州オザークの山奥に住む極貧の一家。
父は刑務所を脱出し蒸発、母は精神病。3人兄弟の長女ジェニファーは健気に一家を支えていた。
しかし父が保釈のために土地を担保にしていたので、一家はその家から退去させられる予告を受ける。
そこで彼女は父を探しに、ひとりで聞き込み捜査を始める。しかし謎だらけ。
ロン・ハワードの西部劇「ミッシング」に似た設定の、現代劇だが、彼女は持っている銃を撃たない。
あくまで自力で、父の居場所を探すのだが、なぜか義弟や周囲の住民たちも、それを妨害する。
一種のサスペンス・ミステリーだが、女性監督のデブラは、娘の視線で事件をシリアス追う。
まったく晴れることのない、厳寒の荒れ地。そして極貧の住民たち。
あのジョン・ブアマンの名作「脱出」のような山奥の奇異な住民達の生活も、われわれのあまり知らない現実のアメリカだ。
ことしのアカデミー賞4部門ノミネートは、この現実を直視した作品の鋭い視線だろう。
非常に暗いが、エンターテイメントを廃して、正確に人間を直視した傑作だ。
いまどきのアメリカ映画では、非常にユニークな存在だ。

■右中間のライナーが意外に伸びて完璧なツーベースヒット。
●10月29日より、TOHOシネマズ・シャンテでロードショー