細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『野蛮なやつら』のジャンキーで荒っぽい二枚舌。

2013年01月13日 | Weblog

●1月11日(金)13−00 半蔵門<東宝東和試写室>
M−005『野蛮なやつら』Savages )2012) universal pictures / relativity media
監督/オリバー・ストーン 主演/テイラー・キッチュ <129分> 東宝東和配給 ★★★
オスカー監督のオフ・ビートなお遊びアウトレイジス・バイオレンス。
政治色のマジな映画に飽きたのか、また「Uターン」や「ナチュラルボーン・キラー」のようなサベージものだ。
しかしドン・ウィンズローの原作映画化はいいが、彼をシナリオ・ライターにしたせいか、迷走が目立った。
ロスの郊外で、麻薬の栽培と組織販売に成功した若いテイラーと親友のアーロン・テイラーは、絆が強い。
ただの友人ではなく、豪邸に住み、恋人も共有しているのだ。
ま、「明日に向かって撃て」のインスパイアーなのか、「冒険者たち」へのオマージュなのか。
この恋の三角関係が、ついメキシコの麻薬カルテルとブツの交換をした縺れから、恋人が誘拐拉致される。
あとは悪者同士の騙し合いの国境を越えた騙し合いの死闘となる、「ノー・カントリー」のようないつものパターン。
ハゲになったジョン・トラボルタや、べニチオ・デル・トロ、サルマ・ハエックなどの名優達がワキで勝手にキレまくる。
その演り放題のペースに圧倒されて、肝心の主役3人が若すぎて存在感がまるでない。
しかも悪者同士の荒野の大戦争は、奔放なワイルドバンチのような西部劇風になり収拾がつかない。
壮絶な殺し合いで、全員死滅のエンディングは予想通りだったが、実は別のハッピーなエンディングも用意されている。
これは、原作者のサービスらしいが、ああああ、オリバーも老いたり。
もうタランティーノのように毒舌は活きない。
デザートを2種類用意されても、メインディッシュが不味ければ、印象に変わりはないのです。

■強打したフライは高く上がりすぎて、ライト守備位置。
●3月8日より、東宝シネマ みゆき座などでロードショー