細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『朝食、昼食、そして夕食』ある一日の恋と食材の意外な美味。

2013年01月31日 | Weblog

●1月30日(水)13−00 六本木<シネマートB1試写室>
M−011『朝食、昼食、そして夕食』18 comidas (2009) スペイン映画
監督/ホルヘ・コイラ 主演/ルイス・トサル <107分>配給/アクション・インク ★★★☆
ポルトガルとの国境に近いスペインの小さな街、サンティアゴ・デ・コンポステラ。
美しい世界遺産の街の、ある1日のスケッチ。
それぞれの家の朝食のシーンで、その食材と一緒に家庭の事情も紹介される。
タイトルは、18の食事、というが、6つのシチュエーションが、微妙に重なりつつ変化する人間達の心も描く。
どこといって主演格の家庭はなく、ストリート・ミュージシャンの歌と共に時間が経過する。
まるでスペインの、ある1日の人情の移り変わりを、カラフルな食材で調理して見せるのだ。
一種の「輪舞」のようなオムニバスだが、それぞれの恋や夫婦愛も微妙な歪みを見せて、その描写が意外にいい。
夫婦の不和。浮気の決別。兄弟のカミングアウト。父親の死。・・・。それでも人間は食事をする。
それぞれのドラマが、スペイン料理の食材と調理のカットをはさみ、展開していく。
まったく関係のないように描かれたエピソードが交錯する。その意外性も、いい味なのだ。
あのショーン・コネリーが出演したオムニバス・ホームドラマ『マイハート、マイラブ』を思い出した。
お料理好きのひとには勉強になるだろうが、意外にいい味の人間ドラマ。
それぞれの食卓の味が違うように、その生活も、見かけと違った味がある。
ちょといい小品に巡り会った気分だ。

■バスター気味のバントが前進守備のサード頭上のヒット。
●4月27日より、新宿K”sシネマなどでロードショウ