11月9日の「シューイチ」。
宮崎駿監督がアカデミー賞の名誉賞を受賞されたのに関連して、
黒澤明監督との対談(1993年)がちょこっと放送された。
時代劇を作りたいという宮崎さんに、
シェークスピアを日本の時代劇でやったらどうですと黒澤監督。
なにか思案がありそうにもごもごしている宮崎さんが、
「室町(時代)はどうですか?」と切り出すまでの間(ま)が、ことばのやりとりよりも面白い。
黒澤監督がたばこに火をつけるライターの音まで意味ありげに聞こえる。
黒澤監督のシェークスピアというと、
戦国時代版マクベスの「蜘蛛巣城」だね。
画面もストーリーもどろどろに暗くて、同じ黒澤作品でも
「隠し砦の三悪人」や「椿三十郎」などの痛快時代劇とはまるで違う、
爽快感ゼロの映画だ。
けど、単純に善悪で線引きできない混沌とした物語は、
宮崎さんの「もののけ姫」とも相い通ずる。
この「蜘蛛巣城」のラストがすごい。
主君を殺して城主になった武将(三船敏郎)が、
最後は自分も家来に殺されるのだが、
反旗を翻した兵たちが三船に向かって一斉に矢を射るシーンがある。
壁に矢がぶすぶす刺さる中を三船が逃げまどうのだが、
雨あられの矢はどうやって撮ったんだろう?
今ならCGを使うだろうけど、当時(1957年)は
そんなものないしなあ。と思っていたら、
なんと弓道や流鏑馬の名人を集めて、ほんとうに射っていたらしい。
最もシンプルだけど、最も危険。どうりで鬼気迫るわけだ。
この、生身の体温が伝わってくるようなところが、古い映画のおもしろさかな。
こういう、黒澤監督の撮り方と、自分は町工場のオヤジと言い切る
宮崎さんの現場へのこだわりに、執念に似た共通点を感じるのだった。
宮崎駿監督がアカデミー賞の名誉賞を受賞されたのに関連して、
黒澤明監督との対談(1993年)がちょこっと放送された。
時代劇を作りたいという宮崎さんに、
シェークスピアを日本の時代劇でやったらどうですと黒澤監督。
なにか思案がありそうにもごもごしている宮崎さんが、
「室町(時代)はどうですか?」と切り出すまでの間(ま)が、ことばのやりとりよりも面白い。
黒澤監督がたばこに火をつけるライターの音まで意味ありげに聞こえる。
黒澤監督のシェークスピアというと、
戦国時代版マクベスの「蜘蛛巣城」だね。
画面もストーリーもどろどろに暗くて、同じ黒澤作品でも
「隠し砦の三悪人」や「椿三十郎」などの痛快時代劇とはまるで違う、
爽快感ゼロの映画だ。
けど、単純に善悪で線引きできない混沌とした物語は、
宮崎さんの「もののけ姫」とも相い通ずる。
この「蜘蛛巣城」のラストがすごい。
主君を殺して城主になった武将(三船敏郎)が、
最後は自分も家来に殺されるのだが、
反旗を翻した兵たちが三船に向かって一斉に矢を射るシーンがある。
壁に矢がぶすぶす刺さる中を三船が逃げまどうのだが、
雨あられの矢はどうやって撮ったんだろう?
今ならCGを使うだろうけど、当時(1957年)は
そんなものないしなあ。と思っていたら、
なんと弓道や流鏑馬の名人を集めて、ほんとうに射っていたらしい。
最もシンプルだけど、最も危険。どうりで鬼気迫るわけだ。
この、生身の体温が伝わってくるようなところが、古い映画のおもしろさかな。
こういう、黒澤監督の撮り方と、自分は町工場のオヤジと言い切る
宮崎さんの現場へのこだわりに、執念に似た共通点を感じるのだった。