Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

Communicating ocean science for informal audience

2009-03-02 | ローレンス科学館
生物学教室の向かい側では,UCバークレー校の大学生25名を対象にCommunicating ocean science for informal audienceが実施された。これは,社会教育における海洋科学コニュニケーション論である。

 この授業では,講義で理論を学んだあと科学館に出向き,MAREプログラム(海洋教育の教材)を用いて,教育方法を学ぶ。本日は第6回目で構成主義が大きなテーマだ。 ヒトの学びはどのようにしておこなわれるかという講義である。(ちなみに,参加学生は,全ての学部が対象であり,理学部や人類学科など多彩である。)
 
 まず,構成主義の概念について説明する。人間は興味のあるものから学んでいく。そのあとに,質問を設けると,学生から,雨あられのような質問が飛び交う。質問をしながら,お互いに学んでいく。
 
 人間はどのような経験が学習に効果的なのだろうか?という質問を講師が投げかける。そこで,月の満ち欠けの実験を行う。なぜ,月の満ち欠けは起こるの?(この実験でミスコンセプションを実感する)

 視聴ビデオでは「どのようにして季節が出来るのか?」ハーバード大学の学生に尋ねている。このビデオでどれだけ優秀な学生でもミスコンセプションを持っていることを理解する。どうして学びには,既有概念が大事なのか?どうして既有概念がよくないのか,を議論する。既有概念をどのように扱うといいのだろうか?どのように学習者の既有概念に近づけるといいのか?

 バークレー校の海洋学者が講師となり,潮汐はなぜ起こるのかを説明。学生たちは,その話を聞いたあと,どのような教材を作れば効果的なのだろうか,と議論を深める。そして。1. 太陽と月と地球の模型, 2.模造紙と鉛筆, 3.紙でつくった太陽と月と地球の模型, 4.大きな地球のボールと長いロープ, の4つの班に分かれ検討をした。

 このあと,MAREプログラムが紹介され,その中から自分が好きな教材を選び,実際に来館者に教える実習が始まる。すべての講義の流れが,ラーニングサイクルにもとづいていることに注目したい。

Today's lecture is 6th of Communicating ocean science for informal audience. Today's topic is that What is constructivism ?How do you illicit prior knowledge?
(Instructor, Dr. Lynn Tran )

小学生を対象とした生物学の授業

2009-02-28 | ローレンス科学館
 ここは,LHS内の教室。先生が手に持っているのは,大きなヘビ。子どもたちもはじめて見る巨大なは虫類に興奮している様子だ。これからはじめてヘビを触るのであろう。

 授業は,先生(Educator)とバークレー校の大学生がアシスタントとして担当するようだ。アシスタントをする学生の中には,子どもたちの喜ぶ笑顔に轢かれてEducatorとして就職したいという希望を持つようだ。
 
 3つの教室が用意され,生物,化学,物理地学の授業をいつでも受けることが出来る。全ての授業は,ラーニングサイクルにもとづいたIBLメソッドによって行われる。おそらく次のような流れであろう。

 第1段階として間近で見せる前に,教室の前の方で,導入が始まる。みなさんはヘビを見たことがあるかな?ヘビはどんな特徴があるのかな?どんなところが好きなのかな?と質問を投げかける。次に,第2段階目の探究の場面,実際に間近で触ることになる。触ってみてどんな感じだったかな?何か発見したことは?どんな特徴があるかな?第3段階目は概念の革新である。ここではじめて,は虫類の説明がなされる。第4段階目で,それでは他の生き物はどうかな?と今の学習をさらに深めていく。

 この授業では,子どもたちの科学する心,発見の喜びを上手く引き出すことに主眼が置かれており,生き生きとした姿がとても印象的である。

 向かい側にある教室では,大学生を対象としたEducator養成コースCommunicating Science の授業が展開されている。LHSのEducatorによって(教授職でないが,学生に授業を教える事が出来るポスト),午前中は25名を対象にCommunicating ocean science for informal audience,午後は30数名を対象にCommunicating scienceが行われていた。

 

1968年, ローレンス科学館誕生!

2009-02-01 | ローレンス科学館
 サンフランシスコの夜景は,このローレンス科学館から撮影したものである。サンフランシスコ湾を一望する場所,バークレーヒルズのほぼ頂上にこの施設がある。なぜ,ここにあるのか?なぜ,このような名前なのか?ローレンスとは誰なのか?そして,何をやっているところなのか?いろいろと疑問がつきないだろう。

 まず,ローレンスという名前について,ローレンスは世界で初めて原子核の加速器を発明したバークレー校の物理学教授。1939年,カルフォルニア大学で初めてノーベル賞を受賞した。オッペンハイマーと一緒にマンハッタン計画にも関わった一流の物理学者である。しかし,若くしてこの世をさる。1958年,享年57歳である。

 当時のバークレー校の学長は,ローレンスの名を冠した建物を造ることを提案する。ローレンスの友人ハービー・ホワイトらはその一つ,ローレンス科学館の設立実行委員会の委員長を引き受ける。英語ではLawrence Hall of Science (LHS)という。

 ハービーは物理学者でもあるが,学校教育の重要性を痛感し学校の教員向けのテレビ番組を受け持っていた。また,委員のメンバー(バークレー校の学長,フォード社社長,カルフォルニア大学の総長,原子力委員会委員長など)も,ローレンス科学館は物理学研究のためではなく,教育のための施設にしたいと強く願った。

 そこで,ハービーはローレンスの人物を紹介するコーナーとともに科学博物館を作ろうと決意し,世界中の博物館施設を回ったようだ。ロスやシカゴ,ボストン,フィラデルファア,ドイツなど。

 そして,ハービーは自分の計画をあちらこちらにいって話をした。多くの人々から重要な情報やアドバイスを得た。それは,科学教師のためのトレーニングの施設である。そして,考えたのが,科学の教室や高校生の実験室,格安でできる実験器具の販売,テレビスタジオ,講義室,etc.そして,これれを科学教師と結びつけることを考えたのである。

 バービーは,大学の理事次のように提案した。
 1 教えるための実験室ー教育のモデルを立てること。物理,科学,生物学それぞれについて実験できるもの。そして,大講義室,講義室,ギャラリー,格安でできる実験器具の販売,テレビスタジオ。
 2 近代的な科学博物館
 3 ローレーンスのノーベル賞を記念したコーナー
 理事たちは,これらの提案に大変興奮し喜んでくれたという。

 1959年から準備委員が設置されて,建物の様々な検討,デザインの公募等を経て,1968年に5月20日,科学教育のための建物が設立された。現在,職員数は300人,バークレー校に設置された科学教育研究,教材開発,博物館の総合的な科学教育館が誕生した。現在では,世界中で使われるハンズオン教材の理論 Inquiry Based Learning もここバークレーで誕生し,科学館から様々な教材が発信されている。

After E. Lawrence died, from 1959 Heavy White considered to make new science museum and propose the chancellor of University that not only science museum and Novel Prize memorial corner but also laboratory, classroom, auditorium,TV studio, experiment kit store for teacher training and teach science for students. This is one of the origin of model that the education and science collaborate.

サンフランシスコ湾の夜景

2009-01-30 | ローレンス科学館
 どこか、落ち着く。それは生まれ育った風景に似ているからだろうか?
 ここバークレーには,カリフォルニア大の本部であるバークレー校がサンフランシスコ湾を望む小高い山の斜面に位置する。ちょうど宮古市黒森山の頂上から黒森町一帯が大学の敷地になっているようなものだ。また,この山の一部は住宅地となって,サンフランシスコ湾を眺めることができる。私の住んでいる場所は,100年前に住宅の開発が始まった。現在は木々が茂っているが,当時は全く生い茂っていなかった。ちょうど,黒森神社を中心として宮古湾に面した斜面一帯に住宅が整備されたようなかたちである。300mの標高が続く,道路は急斜面の場所もある。長崎や神戸,市内の鍬ヶ崎,小沢のようなところであろうか。海が見えるのはなかなか気持ちがいい。山と海に囲まれてどこに何があるのかがわかりやすいのも,一因かもしれない。