Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

大人たちの思い出の場所を守るのか,それとも子供たちに最高の自然を残すのか

2012-01-26 | 水圏環境教育
二者択一の選択は,我々日本人には難しい。
というか二者択一は存在し得ない。
自然とともに生き,そして「うつ」と「うつつ」の存在を大切にし,移ろいを楽しんできた。

そもそも豊かな自然に囲まれて,自然の恵みを観て,食べて,ゆっくりのんびりと暮らしてきた。
そこに,自然とともに共生する豊かな文化が育まれた。

右か,左か,白か黒か,という明確なものよりも,右でもなく,左でもなく,白でもなく,黒でもないもの。
そうゆうものに憧れを感じ,「移ろい」を風流と感じ,楽しんできたのである。

例えば,日本の伝統的な文化は,自然の力を巧みに使って長い時間をかけて出来上がったものである。
甘いとも言えない,塩っぱいとも言えない,絶妙な味わい。
日本食が典型だ。

白黒をつけようとするのは近代史になってからのことではないか。
わずか100年の近代史の中でできあがったもの。歴史は浅い。そして持続的ではない。

人工構造物を作ることは,自然の脅威から街を守るためには必要なものかもしれない。
しかし,人工物は日本人がこよなく愛した自然観には存在し得ないものである。

「人工物は今作っても,あとで壊せばいいじゃないか」とある大人が語った。
今ある無駄な岸壁も壊せないで大人たちは勝手なことを言う。
それに対して,ある少年は語った「なぜ,そんな無駄なことをするの?絶対許せない。もったいない。自然のままでいい。」と。

自分の家が流されても,友達が流されても失ってはいけないものがある。それは,次世代に語り継ぐ日本の伝統的な文化,自然。それは,子供たちへの財産なのである。少年の言葉を聞きそう思った。