周囲を高層ビルに囲まれてこの大学エリアだけが,空が大きく悠然とした佇まい。周囲のマンションに住む方々の憩いの場所となっている。今日はテストのため人通りがなく「歯医者さんから今日は学校は休みですか」と質問を受けた。
FMヨコハマのKeep Green & Buleに出演し,水圏環境リテラシーを高める「海街コミュニティ・スクール」についてお話をさせていただきました。
2006年から取り組んできた「水圏環境リテラシー教育推進プログラム」。以来20年経過し,水圏環境リテラシーの意味もそしてその重要性もこの時代にはなくてはならないことを,年を経るごとにそして今まで以上に強く感じています。
そして,収録を聞き,その思いが強くなりました。
第1回目の今日は,なぜ水圏なのか,そしてリテラシーとは何なのか,について,DJMITSUMIさんのかけあいで,わかりやすく解説しています。水圏というと馴染のない言葉なので難しく感じるのですが,「地球を覆っている水」という意味です。そして,水は地球を覆っているだけでなく,深海から大気圏まで循環し,回っているその現象を捉えた言葉でもあります。その意味で水圏は特別な役割を果たしています。そして,環境はある物体(主体)とその周囲(客体)との相互作用を表現した言葉です。人と水圏との相互作用のことを水圏環境と取らることができるでしょう。
そしてリテラシーとはもともと読み書き「識字」できる能力という意味ですが,水圏環境リテラシーとは,人と水圏との相互作用を理解し,活用できる力と捉えています。
ここで,大切になってくるのが人と水圏との相互作用です。アメリカの海洋教育者の方々と日本の海に関わる教育者の方々にアンケートを取る,海の捉え方に大きな違いがあることに気づきます。それは,その地域に住む人々の水圏への関わり方,接し方が異なっているためなのです。さて,どのように異なっているのでしょうか。ぜひ,この続きはFMヨコハマをお聞きください。
DJのMITSUMIさんの的確な質問と前田さんの総括で大変聞きやすい内容に仕上がっております。DJのMITSUMIさんそしてディレクターの前田さんにはお世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。お時間のある方はぜひ,こちらのURLにアクセスをしてみてください。
https://www.fmyokohama.co.jp/blog/article?id=7648&url=https%3A%2F%2Fwww.fmyokohama.jp%2Fkeep%2F2025%2F02%2F1-71.html (FMヨコハマ許可申請中)
2月13日(木)に東京大学猿渡敏郎先生をお招きして行う講演会「魚類生態環境学の不思議を探る~涸沼のシラウオから深海魚のシーラカンスまで~」ですが、初回参加の方は参加費無料となります。
オンライン参加も可能ですので、お忙しい折かと存じますが、ぜひご参加ご検討のほど、どうぞよろしくお願いします。
記
日本水圏環境教育研究会主催
講演会「魚類生態環境学の不思議を探る~涸沼のシラウオから深海魚のシーラカンスまで~」
講演者/東京大学大気海洋研究所 資源生態分野 助教 猿渡敏郎先生(農学博士)
1 日時:2025年2月13日(木) 17:00〜18:30(受付16:30〜)、18:30〜20:00 懇親会
2 場所:ハイブリッド(東京海洋大学5号館410番講義室 o rオンライン)
3 目的:猿渡先生が取り組まれてきた、涸沼のシラウオや深海魚のシーラカンスをはじめとした魚類の生活史と進化に関わる研究のお話をお伺いします。 実はまだ未解明のことが多い魚類の生態を知り、私たち人間の暮らしとの深い関わりについて考えます。
4 対象:どなたでも参加可能です。
5 参加費:会員・学生は無料、一般 2,000円(初回参加の方は無料) 懇親会:3,000円(学生無料)
6 申し込み方法:下のフォームに送信をお願いします。オンライン参加の方には、Webリンクをお送り致します。
https://forms.office.com/r/JdSPCZrTeF
7 〆切:2/12(水)24:00
オンライン参加も可能ですので、お忙しい折かと存じますが、ぜひご参加ご検討のほど、どうぞよろしくお願いします。
記
日本水圏環境教育研究会主催
講演会「魚類生態環境学の不思議を探る~涸沼のシラウオから深海魚のシーラカンスまで~」
講演者/東京大学大気海洋研究所 資源生態分野 助教 猿渡敏郎先生(農学博士)
1 日時:2025年2月13日(木) 17:00〜18:30(受付16:30〜)、18:30〜20:00 懇親会
2 場所:ハイブリッド(東京海洋大学5号館410番講義室 o rオンライン)
3 目的:猿渡先生が取り組まれてきた、涸沼のシラウオや深海魚のシーラカンスをはじめとした魚類の生活史と進化に関わる研究のお話をお伺いします。 実はまだ未解明のことが多い魚類の生態を知り、私たち人間の暮らしとの深い関わりについて考えます。
4 対象:どなたでも参加可能です。
5 参加費:会員・学生は無料、一般 2,000円(初回参加の方は無料) 懇親会:3,000円(学生無料)
6 申し込み方法:下のフォームに送信をお願いします。オンライン参加の方には、Webリンクをお送り致します。
https://forms.office.com/r/JdSPCZrTeF
7 〆切:2/12(水)24:00
2025年8月4,5,6日(東京),7,8,9日(糸魚川市)にてアジア海洋教育学会を開催します。
発表会は東京にて,エクスカーションは世界ジオパークである糸魚川市にて開催します。詳細はHPにて。
1 基調講演:東京大学大気海洋研究所 道田豊名誉教授(ユネスコIOC議長)
2 教育と科学・技術の若手専門家(小中学生含む)の情報共有とネットワーク化を図る
3 スケジュールは,8月4日夕方集合事前ミーティング,8月5日&6日 本会議,7,8,9日 2泊3日@新潟県糸魚川市
4 会議では,ストランドごとに各地域の問題,課題解決の取組について発表し,その後みんなで時間をかけて議論する
1)小中高生が取り組む海と生活をつなげる探究活動
2)大学生が取り組む海洋リテラシー教育と研究活動
3)若手専門家が取り海洋リテラシー教育・研究とエンパワーメント
4)インフォーマル,フォーマルな教育機関におけるユネスコ海洋リテラシー教育の展開
(海洋リテラシーテーマ)レジリエンス,気候変動,水産資源,水産養殖,海水温上昇,海水面上昇,ブルーカーボン,アクアポニックス,エネルギー資源,関係価値,生物多様性,等々
1)小中高生が取り組む海と生活をつなげる探究活動
2)大学生が取り組む海洋リテラシー教育と研究活動
3)若手専門家が取り海洋リテラシー教育・研究とエンパワーメント
4)インフォーマル,フォーマルな教育機関におけるユネスコ海洋リテラシー教育の展開
(海洋リテラシーテーマ)レジリエンス,気候変動,水産資源,水産養殖,海水温上昇,海水面上昇,ブルーカーボン,アクアポニックス,エネルギー資源,関係価値,生物多様性,等々
5 AMEA with ECOPs TOKYO宣言(オーシャンディケード2030の目標達成に向けて何ができるのか,その可能性を皆さんで議論して宣言にまとめます)を出す
6 森川海街こどもサミット優秀者によるプレゼン,全国公募のポスター展示
中高生海洋生物学シンポジウム「海を探る、海を調べる。キャリアと研究 VIII」
シンポジウム概要
主催: 海洋生物学アウトリーチ研究会、成蹊学園サステナビリティー教育研究センター
共催:国立科学博物館
後援:自然史学会連合
協力:朝日学生新聞社
協賛:日能研
開催日時:2025年2月1日(土)13:00-17:30
開催方式:Zoomを用いたオンライン開催。
対象:中学一年~高校三年
参加費:無料
事前参加申し込み制:先着順
定員:250名
参加申し込み方法:こちらのURLからGoogleformに必要事項を記入して申し込んで下さい。
https://docs.google.com/.../1FAIpQLSdqpIhzy7emJI.../viewform
あるいは、jhsmarinebio@gmail.comまで、氏名、フリガナ、学年、学校名をメールで送ってください。
プログラム
2025年2月1日(土)
13:00 開会の挨拶 猿渡敏郎 (東京大学大気海洋研究所、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
13:15 海洋と水生生物を “かがくあそび” で考える
山村紳一郎 (和光大学、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
14:00 休憩
14:10 みんな違ってそれでいい。十魚十色、魚の一生
猿渡敏郎 (東京大学大気海洋研究所、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
14:40 休憩
14:50 地域の自然史を知る:沿岸魚の地域集団とその起源
松井 彰子(大阪市立自然史博物館)
15:20 休憩
15:30 側線系をとおして探る魚類の進化と適応
中江雅典(国立科学博物館、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
16:00 休憩
16:10 バイオロギングと安定同位体比で探るクジラの暮らし
青木かがり(帝京科学大学)
16:40 ブレイクアウトルームでの講演者との交流会
山村先生の部屋: 地球のこと、理科実験のこと、工作のことなんでも相談室
猿渡先生の部屋: 魚の人生相談室
松井先生の部屋: 地域の自然相談室
中江先生の部屋: 魚の感覚相談室
青木先生の部屋: イルカ・クジラなんでも相談室
ずかんくんの部屋: 海の生き物のイラストの描き方
17:20 閉会の挨拶 藤原 均 (成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
コンビーナー
猿渡敏郎(東京大学 大気海洋研究所、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
中江雅典(国立科学博物館、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
山村紳一郎(和光大学、成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
藤原 均 (成蹊学園サステナビリティ教育研究センター)
問い合わせ先
〒277-8564 千葉県柏市柏の葉 5-1-5
東京大学大気海洋研究所
猿渡敏郎
jhsmarinebio@gmail.com
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/70/993d3f931a9dd60bbed87bc778c0278f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/ba/9e7fa246a6eba7bf20f6f597277002e9.png?1736385391)
昨年は,大変お世話になりました。皆様のご厚情に心より感謝申し上げます。
2023年4月に立ち上げた「東京海洋大学コミュニティ・スクールネットワーク推進本部」。東京海洋大学水圏環境教育学研究室が拠点となり、学校、企業、行政、一般市民とともに、地域の子どもたちの探究活動を支援する全国的なネットワークです。
4月:スペイン・バルセロナにて開催された、3000人が集う国連海洋科学の10年会議に日本のエキスパートとして出席。フランス、ロシア、イギリス、イタリア、スペイン,イギリス,中国,台湾の方々ととも海洋リテラシー教育のあり方について議論を交わしました。
6月:ユネスコIOCより日本代表として招待を受け、海洋リテラシー国際会議に参加。次年度の国連海洋会議で採択する海洋リテラシー推進のための「ベネチア宣言」を議論しました。
6月,10月:港区ブルーカーボン事業を推進するため、フィールド調査、講演会を行いました。
11月:「海洋リテラシーを向上させるアクアポニックスSTEAMプログラムの開発,運用,評価」(佐々木,澤田,2025)が、シュプリンガーから出版されることになりました。今年6月に開催される国連海洋会議にても発表される予定です。
12月:第2回森川海街こどもサミットを開催しました。サミットは、東京海洋大学が所在する森川海街の「港区」に集い、台湾、日本(基隆、盛岡、埼玉、東京、千葉、神奈川、小浜、糸魚川、大阪、柏島、南さつま市、港区)の子どもたち(高校生以下)が集い、身近な水辺での探究活動の成果を発表し合いました。主体的に取り組み、地域への理解や愛着を深め(関係価値)、科学的に探究する「エージェンシー」※を養うことが目的でした。
子供達の探究活動の発表はいずれも素晴らしい発表でした。それぞれの森川海街への想いを持ち,その想いが大きな何かの形を築き上げようとしている様子を感じ取ることができました。主体性、関係価値、科学的探究力を養う海洋リテラシー教育として世界最先端の取り組みです。
子どもたちの探究活動をはぐくみ育てること、それが私達大人のやりがい・生きがいであり,ミッションだとあらためて思いました。
今後も、皆様とともに海洋リテラシー教育を推進し世界の子どもたちのエージェンシーを高める取り組みに力を注いで参りたいと思います。
本年が、皆様にとりまして幸多き一年となりますよう、心からお祈りいたします。引き続きまして、ご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願い致します。
※エージェンシーとは、変化を起こすために、自分で目標(仮説)を設定して、振り返り、責任を持って行動する能力を指します。
琵琶湖周航の旅
われは湖(うみ)の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧(さぎり)や さざなみの
志賀の都よ いざさらば
・・・・・
この歌詞は,1917年に第三高等学校(京都大学)2年生の小口太郎氏が作ったものだという。小口氏は水上部(ボート部)に所属し,大津市を出て3泊〜4泊の旅程で,漕手6人舵手1人からなるフィックス艇に乗船して琵琶湖を一周する琵琶湖周航の時に思いついたものだという。1960年代に大ヒットし今もなお多くの人達に親しまれている。
では,なぜこの歌が100年経過してもなお,人々に愛され続けているのであろうか。私は,今回大津市に3泊し,琵琶湖の中心部に船で移動し水質調査を行い,そして琵琶湖周辺の酒蔵で作られた数種の地酒をいただき,そして滋賀県民と語り,琵琶湖の魅力に気づいたのだ。その魅力とは何か,これから心象を綴っていきたい。
佐々木家の氏神 沙沙貴神社を訪ねて
まず一つ目は、佐々木氏の始祖である沙沙貴(ささき)神社だ。今から20年度ほど前になるが,北海道大学でのサイエンスコミュニケーションの研究会でお会いした国立政策研究所の研究者から「佐々木さんの氏神は近江八幡市の沙沙貴神社ですよ。」と伺っていた。実は佐々木姓は,東京では決して多くない。同じ岩手県内でも盛岡も多くない。しかし,宮古や山田には多い。なぜなのだろう。沙沙貴神社に行けば,何か情報が得られるのかな?いつかは訪問したい,そう思っていた。いよいよその日が来た。
今回は,日本理科教育学会の参加発表の途中に立ち寄ってみた。学会の発表会場は琵琶湖湖畔の大津市を訪問した。大化の改新後に遷都された「大津京」があった場所。謎が多い場所だ。大津市へ向かう途中,東海道新幹線米原駅で東海道本線に乗り換えて安土駅で下車。琵琶湖畔の平坦な土地に閑静な住宅街が広がっていた。19時を過ぎており周辺は薄暗がりの中,遠くに鎮守の森が見えてきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/6a/a93179d844c42928cf3f42c36dfca789.png)
歩いて20分ほどで到着。真っ暗で遠くがよく見えないが,鈴虫の音だけが四方から鳴り響いている。門前には大きな石垣が組まれていて,広々とした空間が広がっていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/dd/feeadc70797cbb1ba2038f50e63c574d.png)
門の中にはいると案内板があった。そこにはこう書かれていた。「沙沙貴神社は,延喜式に掲載されている式内神社で,第1座に少名彦明神(すくなひこのかみ),第2座に大毘古神(おおひこかみ),第3座仁徳天皇(おおささきのすめらみこと),第4座宇多天皇(うたのすめみこと),敦實親王(あつみのみこと)を佐々木大明神と申し上げる。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/e7/b3eb84102c37405612a5ce6dbf4cef9e.png)
少名彦明神は神代の昔よりお鎮まりの産土(うぶすな)の神,大毘古神は,古事記日本書紀そして万葉集に登場する豪族「沙沙貴山君」の始祖という。沙沙貴山君(ささきやまぎみ)は,この地域を支配した豪族のようだ。また,仁徳天皇は,沙沙貴の地に由緒深い祭神と書かれていて,「おおささきのすめらみこと」と読む。仁徳は漢字読みで、和式では「おおささき」だ。宇多天皇は,敦實親王とともに宇多源氏佐々木の始祖という。ここから佐々木氏がスタートした。佐々木義経(のりつね)は,佐々木初代当主であるという。
近江佐々木氏と岩手とのかかわり
鎌倉殿の13人にも登場した源頼朝の挙兵を助けた佐々木4兄弟(長男・定綱、次男・経高、三男・盛綱、四男・高綱)の先祖ものここの出身だ。佐々木4兄弟は義経とともに源平合戦で戦った。奥州藤原氏とのつながりもあり、義経と佐々木4兄弟は太いつながりがあったようだ。彼らの祖父は,佐々木家歴代当主であり、宇多天皇の子孫であるという。4人兄弟の父親である佐々木 秀義は、 1112年生まれ。両親は、 佐々木爲俊、 安倍宗任の娘 (佐々木季定の室)、祖父母: 佐々木経方、 安倍宗任、曽祖父母: 佐々木義経(のりつね)、 安倍頼時、 清原氏 (安倍宗任の母) というから、東北にゆかりのある家系でもある。しかしながら、奥州合戦に従軍し、自らの先祖を滅亡させることになったのは残念ではある。とはいえ、この合戦を機に佐々木家の一門は東北地方に移り住んだ。たどり着いた地域の一つが、ここ下閉伊地域だ。
佐々木氏と義経伝説との関わり
一方で、義経伝説が宮古を中心に語り継がれてきた。義経は清和源氏、佐々木一族は宇多源氏であるが、義経と静御前の間の子供は佐々木四郎太郎義高と言い伝えられている。義高が実在しているとすれば,義経とゆかりのある佐々木一族が養育していた可能性がある。
佐々木氏は宇多天皇の流れをくむ由緒ある氏であるが,その佐々木氏の末裔が、住んでいた地域を「みやこ」と呼ぶようになったのは、当然のような気もしないでもない。義経が住んでいたので当時の天皇からみやこの名称を賜ったとの言い伝えがあるが,いずれにしろ源平合戦以降のことであり,佐々木氏一族は何らかの理由で宮古に定着し歴史を刻んだことであろう。
なぜ,下閉伊地区に佐々木氏が多いのか
地元滋賀県の小学校の先生たちと話をする機会があった。「佐々木さんはクラスに、何人ぐらいいるのか。」と訪ねてみた。実は意外と少ないようだ。今はどうかわからないが、当時山口小学校や宮古第一中学校ではクラスに4,5人はいたような気がする。その話をしたところ、滋賀の先生たちは驚いていた。宇多天皇直系の子孫が滋賀県から遠く離れた地で生活していたのだ。子供心にどうして佐々木は多いのか、不思議でならなかったが,何かを成し遂げるために,住み続けたのではないか。その子孫が,1000年近くその信念を貫き通した。その信念とは何か,考えるだけでワクワクする。
水圏環境教育研究会公認の水圏環境教育推進リーダーが地元の明日のために立候補いたします!
2008年に初めて行った水圏環境学習会推進リーダー講習会にて,坂口忠顧問からいただいた,「なあどかすっぺす 明日の子供たちのために さんりくESD閉伊川大学校」をスローガンに掲げ,閉伊川や八木沢川を拠点に水圏環境学習会を継続的に取り組み,現在,さんりくESD閉伊川大学校の第2代校長として活躍を続けています。90%以上が森林,清冽な河川の恵みを持ち,水産資源の宝庫の海,これらの恵みを最大限に生かし生活するすべての人々のウエルビーイングを高める政策が求められています。その要になるのは,人と自然とのつながりある価値「関係価値」を最大限に引き出すことです。地方都市にはまだまだ可能性が秘められています。国際的な評価を受けている宮古市の水圏環境学習会を重要な政策として位置づけさらに発展していただきたいと強く願います。
JTB教育旅行事業部からの招待
JTB大阪教育旅行事業部からの招待を受け,大阪羽曳野市と道頓堀川を訪問した。JTB大阪は,昨年度から鉄団子を使った浄化実験を開始した。もともとはGO GREEN CUBEを立ち上げた故山下崇さんがはじめた取り組みだ。昨年急逝した後,山下さんが地元の高校生,羽曳野市,大阪市の行政とともにおこなっていたGO GREEN PROJECTをJTBが継続拡大して取り組んでいる。GO GREEN PROJECTでは,全国各地から使い捨てカイロを回収して無毒の添加剤を加えてプレスしたCUBEを製造する。このCUBEには鉄と炭が入っていて水中で電気を発生させながら水中の有機物や有毒な硫化水素などを鉄イオンに吸着させることができる。故山下さんの要請を受けて,本研究室が技術の監修を行っている。現在,GO GREEN PROJECTの権利を譲り受け,GO GREEN JAPAN(愛知県海部郡 あまぐんと読む)がCUBEの製造・販売を行っている。
世界遺産の墓山古墳の浄化活動
世界遺産墓山古墳の外堀の浄化活動のために大阪府羽曳野市を訪れた。世界遺産であるにもかかわらず,大阪にある古墳群の外堀の水は悪臭が酷いという。理由は生活排水が流れ込むからだ。多くの古墳は宮内庁が管理していて誰一人立ち入ることが出来ない。しかし,水質管理の法律もなく,生活排水や農業用水は垂れ流しである。関心が低い上に,排水を垂れ流す,悪臭が酷くなる,の悪循環で今や古墳の水質は改善されないままになっている。
JTBのKさんのご案内で,まず最初に立ち寄ったのが羽曳野市役所。市役所は墓山古墳の北側に位置していて外堀の堤の斜面すぐ横に建てられていた。墓山古墳は4世紀に作られたものだという。
世界遺産のすぐ横に市役所があることに意味を感じ取った。地元の人々にとって中心的な場所なのだ。市役所の裏側の外堀の堤の斜面を登ると市役所の職員の駐車場と教育委員会の展示室があった。その先に,周囲をフェンスで囲まれた外堀が見えてきた。臭いは全くしなかった。ただ,水の色があざやかな緑色。世界遺産の管理をしているYさんに案内され,墓山古墳の堤を1周しながら外堀の様子を観察した。外堀の周囲にはびっしりと個人の家が立っていて,生活排水を流している塩ビパイプが各家から突き出していた。見た感じでは生活排水が流れ込んでいないようだ。農地が南側にあった。農業用水を地下水から組み上げていた。それが外堀に流入していた。水自体はきれいである。魚の稚魚が泳いでいた。しかし,生活排水も流れ出している。農薬や肥料が流入している可能性がある。
桃山学院中学高校のS教諭にもインタビューした。昨年から故山下さんとともに世界遺産墓山古墳外堀浄化プロジェクトをスタートした。スタートする前には,相当な臭いが漂っていたようだが,今年になって全く臭いがしなくなったという。臭いが取れたという地域住民から感謝の言葉を頂いているという。しかし,水面の水草がなくなり,今年は植物プランクトンが大増殖しているという。今年は水量が少なく,表面水温は30度を超えている。鉄を入れたことで植物プランクトンが増えたかどうかが,プランクトンの同定によって明らかになるのではないか。二酸化炭素を大量に吸収している可能性がある。
(補記)
最初に目に止まったのは,大阪は古墳が多いということだ。大阪平野の平坦な空間に高さが40mほどの小高い山が点々とある。ちょうど山口川沿いの黒森山の団子山のような大きさ。その山は鬱蒼とした森林で囲まれ一見すると古墳だと思えない。なぜ古墳が多いのか。なぜ,わざわざ古墳を作ったのか。何らかのメリットがあるために作ったのであろう。人間が住みやすいような快適になるように作ったものだと思う。単なる天皇をたてまつるためのものではない。おそらく,平和の象徴としての古墳なのだ。大和民族というが山とともに生きることに和らぎを感じとる人々だったのではないか。そうすると山と川と海に恵まれた場所は平和な場所ということか。
初めて訪問した道頓堀川
GO GREEN PROJECTのもう一つの取り組みが,道頓堀川浄化作戦だ。JTBでは,修学旅行生の教育メニューとして,CUBEを使って道頓堀川の浄化活動を計画しているという。道頓堀川のイメージはどうだろうか。私の中では,ドブ川で悪臭を放ち落水したらお腹を壊す,というイメージであった。初めての道頓堀川,意外と水が綺麗であった。大変な驚きだった。道頓堀川のテラスの一番の下流側になんとバイカモが生息していた。バイカモとは湧き水のようなきれいで透明な水が流れないと生息できない。そして,バイカモの周囲に付着した珪藻をボラが美味しそうに食べていた。閉伊川でも余り見ることが出来ない。閉伊川のサケのふか場から流れ出しているクリークや,閉伊川支流の長沢川で見かけたことがある。
さらに,さらにアマモがポツン,ポツンと見えていたのだ。地元の方々もわかっていたかと思うが,参加してくれた桃山学院高校の生徒さん地元の生徒さんも初めての事実であると驚いていた。道頓堀川の水面をよく見るとちぎれたアマモが点在していた。
継続して観察することで,必ず新しい事実が生まれてくる。また,修学旅行生の参加によって道頓堀川のイメージは大きく変わるだろう。これかの活動の中心になってくれる高校生たちに期待を寄せた。
川越女子高校さんのヌカエビの調査活動の取り組みを見た。
在来種を保全することは,自分たちの人間の命を守ることにつながる。これからの展開に期待したい。
人間は,可能性を信じ,何でも出来ると思っているが,実はそうではない。人間の力には限界がある。いつか,必ず母なる地球に戻る。命は,地球に帰る。人生の最後に抱かれる母なる自然に,私達はどれだけ目を向け,耳を傾けているのか。
海,川,森に生活する生き物は私達人間とと繋がって生きている。
自然とそこに住む生き物に目を向け,耳を傾けることは,自分たちの人間の命の行く末を理解することにつながる。