非水産・海洋系大学であるI大学において水圏環境教育に関する講義(「水圏生物と環境」)を4日間にわたって実施した。
大学生は人文系環境科学を専攻する大学2年生~4年生である。テキストには第二版となった魚類環境生態学入門を指定し、学生たちにレポートをまとめていただき,実物の教材を交えた講義を行った。4日朝8時40分~夕方16時15分までの講義は大変有意義なものであった。
学生たちの感想を聞くと,「環境問題に関する解決法について学んでいるいるが,実際の水圏生物についてここまで深く学んだことはない。水圏環境問題を叫んでも,どれだけの人々が水圏環境に興味を持ち理解しているのか。残念ながら決して多くないだろう。このような講義はぜひ,多くの人々に履修を勧めたい」と水圏環境に関する知識や理解がいかに我が国で普及していないかがよくわかる感想であった。ちなみにこの大学は沿岸部に世界有数の漁場を有しているが,水圏に関する授業は本格的に開講されていない。
水圏環境教育の教材製作のフィールド実習も行った。近くにきれいな川があるが一度も訪れたことがない学生がなんと多いことか。受講生の8割は初めてのようである。はじめて網を握り夢中になって魚を捕まえた。きれいなピンク色をしたひれを持つヤマメである。体調は5cm前後,元の守る会の方によると天然魚のようである。おそらく近くに産卵場があるのであろう。
このような学びに適した水圏環境が整っている大学は決して多くない。清冽な水圏環境を生かした教育活動に,これからもいっしょに取り組んでいたいものである。
また,内陸の大学では「日本は島国である,海はすべてをつないでいる」といってもあまりピンとこないようだ。むしろ,「海川森人すべてをつなぐのが水圏環境だ」とするとしっくりいく。
一通り魚類環境生態学について学びながら、解剖実習も行った。これは,カタクチイワシの煮干し。魚眼,耳石,さいは,心臓,脳などの観察が可能だ。(観察方法は里海探偵団が行く!に紹介されている)
初めての内部形態観察に真剣に取り組んでいた。食育の一環として食べながら観察した。