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歳三が高校受験を控えた頃、世間はバブルが弾け、彼の父親が経営している工場は倒産の憂き目に遭っていた。
当然高校進学などできるはずもなく、歳三は高校受験を断念した。
経済的な理由もあったが、勉強が嫌いだった歳三は中卒でも何とかやっていけるだろうと思っていたのである。
それの考えが甘かったことについて、すぐに思い知らされることとなったのは、就職活動を始めたときだった。
“うちでは中卒はちょっとねぇ・・”
“最低でも高卒でないと・・”
“資格も何もないなら、ねぇ・・”
全て八方塞りで、歳三は夜の歓楽街でホストとして働き始めた。
酒は全く飲めなかったが、その分トークで客を喜ばせ、指名客を増やしていった。
モデル並みの美しい顔立ちと長身を生かして、歳三はいつの間にかナンバーワンホストとなった。
だが、そのホストクラブも警察のガサ入れで潰れた。
裏で薬の取引をやっていたと、後から店のボーイから聞いた。
さてどうしようかと思ったとき、親友の近藤勇が高校を受験しないかと言い出してきたのは、去年の暮れだった。
「冗談よせよ。今更・・」
「まぁ、一応受けてみろよ。」
まぁどうせ落ちるだろうと思って受験した歳三だったが、何と合格してしまった。
(何だか入りづれぇなぁ・・)
入学式がそろそろと始まろうとしているというのに、歳三は桜の木の陰から校門を見つめたまま動かなかった。
引き返そうとかと思ったその時、誰かが自分の肩を掴んできたのがわかった。
「トシさん、トシさんじゃないっすか?」
あれ、いつの間にか続いてるよ(笑)