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表紙素材は、湯弐様からお借りしました。
「ベルサイユのばら」「天上の愛地上の恋」二次小説です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
1878年、ウィーン。
この日、オーストリア=ハンガリー帝国皇太子・ルドルフの成人を祝う皇帝主催の舞踏会がホーフブルク宮殿で開かれていた。
だが、その主役のルドルフは、少し浮かない顔をしていた。
というのも、この舞踏会の目的が、自分の“花嫁探し”だという事に彼は気づいたからだった。
成人してから、ルドルフは周囲から結婚を催促される事が多くなったなと感じ始めていた。
ルドルフは現在19歳、結婚適齢期といっても過言ではない。
ルドルフ本人はまだ結婚などしたくないと思っているのだが、彼はオーストリア=ハンガリー帝国の、唯一の後継者なので、‟帝国の跡継ぎ“を儲ける義務があった。
さっさと舞踏会を抜け出して、愛しい天使の元へと向かおうとルドルフがそんな事を思った時、突然大広間の入口付近が急にざわつき始めた。
「まぁ・・」
「素敵な方ね。」
ルドルフが何事かと入口の方を見ると、そこには一人の女性の姿があった。
首にダイヤモンドを鏤めたチョーカーをつけ、白いドレスを纏った金髪碧眼の女性が、異国風の扇子で顔を扇ぎながら、人気のないバルコニーへと向かってゆくのを、ルドルフは見た。
(暑いな・・それに、人が多過ぎる。)
オスカル=フランソワ=ジャルジュは、人と熱気で溢れたホーフブルク宮殿の大広間をそう思いながら見渡した後、人気のないバルコニーへと移動した。
夜の冷気が自分の頬を心地良く撫でるのを感じた彼女は、暫くそこで休む事にした。
フランスの大貴族の末子として生を享け、女でありながら軍人としてその名を馳せて来たオスカルだったが、5年前にナポレオン3世が崩御し、それに伴いオスカルが所属していた軍隊は解散し、彼女達家族はパリからウィーンへ移住し、日々新たな生き方を模索していた。
そんな中、オスカルは父から一通の招待状を手渡された。
「父上、これは?」
「舞踏会の招待状だ。皇太子様の成人祝うの舞踏会に招待されるのは光栄な事なのだから、必ず出席するように。」
「はい、わかりました・・」
そう言ったオスカルだったが、余り舞踏会に行くのは乗り気ではなかった。
しかし、オスカルの姉達や乳母は朝から何故か張り切り、ドレスの採寸や試着を何度もさせられ、舞踏会が始まる前にオスカルは不機嫌になっていた。
「オスカル、いい加減機嫌を直してくれないか?ばあやが困っているぞ。」
「コルセットでウェストを締め付けられて、ニコニコと笑えるか。」
自室の長椅子の上に座ったオスカルは、そう言って幼馴染であり恋人のアンドレを睨んだ。
「まぁそう言うな。舞踏会が終わったら、ザッハートルテをたらふく食わせてやる。」
「ザッハートルテ?何だそれは?」
「ウィーンっ子が夢中になっている、ガトー・オー・ショコラのようなものだ。」
「そうか、楽しみだな・・」
オスカルはそう言うと、笑った。
そして現在、彼女はホールブルク宮殿で注目を集めていた。
(さてと、そろそろ戻るか・・)
オスカルがバルコニーから大広間へと戻ろうとした時、丁度楽団がワルツを奏で始めたので、彼女は入口まで戻れなくなってしまった。
(困ったな・・)
『麗しの方、どうぞわたしとダンスを踊って頂けませんか?』
困っているオスカルの前に現れたのは、金褐色の髪をなびかせた軍服姿の青年だった。
『はい。』
―まぁ、お似合いのお二人ね。
―皇太子様と踊っていらっしゃるのはどなたなのかしら?
―素敵な方ね・・
『助けて下さってありがとう。』
『また、お会いしましょう。』
ホーフブルク宮殿を後にするオスカルの姿が見えなくなるまで、ルドルフは彼女を見送った。
ルドルフはオスカルと別れた後、そのまま大広間には戻らず、ある場所へと向かった。
そこは、彼が心から愛してやまない天使が居る場所だった。
クロスオーバー二次創作SS、ルドルフとオスカルさまも魅力的でステキです。
身動き取れなくなったオスカルさまをダンスに誘う‥さりげないルドルフも素敵ですね。
舞踏会が終わったら、着替える前にアンドレが用意したお菓子をつまんでお小言もらっていそうです。
「オスカル、コルセット苦しんだろ?」
「味見だ。‥これ美味しいな」
アンドレもオスカルさまの笑顔に負けて、お菓子を追加補充してしまいそう‥(笑)
白鳥いろは
舞踏会終わったら、色々アンドレに愚痴ってそうですね、オスカル様。
「もう二度と行かん。」
アンドレ、オスカル様の愚痴にお菓子を補充しながら聴いてそうです(笑)
コメント、ありがとうございます。
千菊丸