「FLESH&BLOOD」二次小説です。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
「海斗様、どちらにおられますか~!」
「海斗様!」
東郷海斗は、自分を捜し回る使用人達の目を盗み、ある場所へと向かった。
そこは、夏の暑さを凌ぐ為に海斗が見つけた、秘密の泉だった。
(誰も居ないな・・)
海斗は胸元を覆っていた晒を解き、着物と袴を脱いだ後、冷たい泉の中へと入った。
サラサラと、木の葉が揺れる音が心地良い。
「海斗、見つけたよ。」
「和哉・・」
「勝手に居なくなったと思ったら、ここに居たんだね。」
海斗の幼馴染で許婚の森崎和哉は、そう言うと自分も着物と袴を脱いで泉の中へと入った。
「今日は一体、何が気に入らなかったの?」
「ババアが、勝手に俺の結婚を決めた。俺は・・」
「そんなに僕と夫婦になるのが嫌?」
「そんな訳、ないけれど・・でも、まだ結婚はしたくない。」
「そうだね。」
和哉はそう言うと、海斗をそっと背後から抱き締めた。
「僕は、君が結婚したくなった時に結婚するよ。」
「和哉・・」
「帰ろう。小母様達が心配しているよ。」
「わかった。」
和哉と海斗が東郷家に戻ると、そこには役人に囲まれた海斗の父・洋介の姿があった。
「父さん、どうして・・」
「信じられないねぇ、まさか東郷様が謀反に加わっていたなんて・・」
「そんな人ではないと思っていたのにねぇ。」
洋介は謀反に加わっていた疑いを掛けられ、斬首された。
東郷家は取り潰しとなり、海斗は一人、遊郭へ売られた。
「父上、何とか出来ないのですか?」
「済まない、わたしにはどうする事も出来ない。」
「そんな・・」
和哉は居ても経ってもいられず、屋敷から飛び出した。
「海斗!」
「和哉・・」
彼が海斗を捜していると、彼女は丁度人買いに駕籠に乗せられる所だった。
「必ず迎えに行くから、だから・・」
「和哉・・」
繋いでいた二人の手は、ゆっくりと離れていった。
どうして、こんな事になってしまったのだろう。
揺れる駕籠の中で、海斗は一人、涙を流した。
「着いたぜ、降りな。」
海斗はゆっくりと、駕籠から降りた。
するとそこには、美しく幻想的な風景が広がっていた。
「あの、ここは・・」
「ここは吉原、夜の華達が居る所さ。」
人買いの男は、海斗を一軒の妓楼へと連れて行った。
「おや、来たのかい。」
妓楼の裏口から海斗が人買いの男と共に中へ入ると、そこには煙管を咥えた女が、そう言って二人を冷たく睨みつけながら座布団の上に座っていた。
「この子かい、謀反人の娘は?」
「父さんは謀反人なんかじゃありません!」
「お黙り!ここで世話になる以上、このあたしに口答えするんじゃないよ。」
妓楼・華楼の女将・菊は、そう言った後海斗の頬を叩いた。
「顔は可愛いね。この赤毛は生まれつきかい?」
「はい。」
「着物も上等な物を着ているじゃないか。これだけでも金になりそうだ。」
「俺に触るな!」
「善次、この子の着物を脱がしな。」
奥から屈強な男が現れ、海斗の着物を無理矢理脱がせた。
肌襦袢姿となった海斗は、そのまま裏口から外へと出ようとしたが、男に阻まれた。
「この期に及んで逃げようとするなんて、往生際が悪いね。」
「女将さん、この子はふたなりなんですよ。」
「へぇ・・」
菊は、口端を上げて笑うと、海斗の肌襦袢を脱がした。
晒しまで剥ぎ取られ、生まれたままの姿となった海斗は、羞恥と屈辱で震えていた。
「ふたなりだね。でも、この子は生娘なのかい?」
「へい。」
「ま、武家娘だから読み書きは出来るだろうさ。禿としては薹が立っているけれど、使い物にはなるだろうさ。」
「女将さん、その子かい、新しく入って来た子っていうのは?」
海斗が女将の部屋の隅で震えていると、そこへ一人の遊女が入って来た。
美しい簪や櫛で淡褐色の髪を飾り、鮮やかな着物を羽織ったその遊女は、淡褐色の瞳で海斗を見た。
(嫌な感じ・・)
「ラウル、この子に何か用かい?」
「別に。」
ラウルはそう言うと、部屋から出て行った。
海斗は緋色の着物を着せられ、禿部屋へと連れて行かれた。
「あんた、名前は?俺は凛。」
「海斗。」
「海斗、ここで生き残りたきゃ、芸を磨きな。身体を売りたくなかったら、芸者として生きる道があるよ。」
「本当!?」
「あぁ、うちの紫姐さんは、吉原一の芸者だったんだ!」
「そうなんだ。」
海斗は華楼に売られてから、雑用に追われながらも芸事に専念するようになった。
「女将さん、あの赤毛の子、遊女よりも芸者の方が向いているのと違います?」
「そうだねぇ、うちは置屋も兼ねているから、海斗には芸者になった方がいいかもしれないねぇ。」
華楼一の吉原芸者・紫の助言もあり、海斗は遊女(娼妓)ではなく芸者としてお披露目する事になった。
海斗は、江戸に初雪が降った日に、芸者としてお披露目の日を迎えた。
「見てごらん、あの子が・・」
「武家のお姫様が芸者になるとはね・・」
海斗はお披露目を終えた後、初めて芸者として、「渚屋」のお座敷に上がった。
『へぇ、見事な赤毛だな。』
そう言って海斗に好色な視線を送ったのは、英国海軍将校・アーサー=ハノーヴァーだった。
『下の毛も赤いのか?それ、見てみよう。』
アーサーは、海斗の腕を掴んで自分の膝上に座らせると、彼女の着物の裾を捲り上げようとした。
「嫌だ、やめて!」
海斗はアーサーを平手打ちすると、そのまま部屋を飛び出した。
『おい、大丈夫か?』
『すいません・・』
廊下を走っていた海斗は、アーサーと同じ真紅の軍服を着た男とぶつかった。
『俺についてきな。』
そう言って蒼い瞳を自分に向けた男に、海斗は瞬く間に恋に落ちてしまった。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。
二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
「海斗様、どちらにおられますか~!」
「海斗様!」
東郷海斗は、自分を捜し回る使用人達の目を盗み、ある場所へと向かった。
そこは、夏の暑さを凌ぐ為に海斗が見つけた、秘密の泉だった。
(誰も居ないな・・)
海斗は胸元を覆っていた晒を解き、着物と袴を脱いだ後、冷たい泉の中へと入った。
サラサラと、木の葉が揺れる音が心地良い。
「海斗、見つけたよ。」
「和哉・・」
「勝手に居なくなったと思ったら、ここに居たんだね。」
海斗の幼馴染で許婚の森崎和哉は、そう言うと自分も着物と袴を脱いで泉の中へと入った。
「今日は一体、何が気に入らなかったの?」
「ババアが、勝手に俺の結婚を決めた。俺は・・」
「そんなに僕と夫婦になるのが嫌?」
「そんな訳、ないけれど・・でも、まだ結婚はしたくない。」
「そうだね。」
和哉はそう言うと、海斗をそっと背後から抱き締めた。
「僕は、君が結婚したくなった時に結婚するよ。」
「和哉・・」
「帰ろう。小母様達が心配しているよ。」
「わかった。」
和哉と海斗が東郷家に戻ると、そこには役人に囲まれた海斗の父・洋介の姿があった。
「父さん、どうして・・」
「信じられないねぇ、まさか東郷様が謀反に加わっていたなんて・・」
「そんな人ではないと思っていたのにねぇ。」
洋介は謀反に加わっていた疑いを掛けられ、斬首された。
東郷家は取り潰しとなり、海斗は一人、遊郭へ売られた。
「父上、何とか出来ないのですか?」
「済まない、わたしにはどうする事も出来ない。」
「そんな・・」
和哉は居ても経ってもいられず、屋敷から飛び出した。
「海斗!」
「和哉・・」
彼が海斗を捜していると、彼女は丁度人買いに駕籠に乗せられる所だった。
「必ず迎えに行くから、だから・・」
「和哉・・」
繋いでいた二人の手は、ゆっくりと離れていった。
どうして、こんな事になってしまったのだろう。
揺れる駕籠の中で、海斗は一人、涙を流した。
「着いたぜ、降りな。」
海斗はゆっくりと、駕籠から降りた。
するとそこには、美しく幻想的な風景が広がっていた。
「あの、ここは・・」
「ここは吉原、夜の華達が居る所さ。」
人買いの男は、海斗を一軒の妓楼へと連れて行った。
「おや、来たのかい。」
妓楼の裏口から海斗が人買いの男と共に中へ入ると、そこには煙管を咥えた女が、そう言って二人を冷たく睨みつけながら座布団の上に座っていた。
「この子かい、謀反人の娘は?」
「父さんは謀反人なんかじゃありません!」
「お黙り!ここで世話になる以上、このあたしに口答えするんじゃないよ。」
妓楼・華楼の女将・菊は、そう言った後海斗の頬を叩いた。
「顔は可愛いね。この赤毛は生まれつきかい?」
「はい。」
「着物も上等な物を着ているじゃないか。これだけでも金になりそうだ。」
「俺に触るな!」
「善次、この子の着物を脱がしな。」
奥から屈強な男が現れ、海斗の着物を無理矢理脱がせた。
肌襦袢姿となった海斗は、そのまま裏口から外へと出ようとしたが、男に阻まれた。
「この期に及んで逃げようとするなんて、往生際が悪いね。」
「女将さん、この子はふたなりなんですよ。」
「へぇ・・」
菊は、口端を上げて笑うと、海斗の肌襦袢を脱がした。
晒しまで剥ぎ取られ、生まれたままの姿となった海斗は、羞恥と屈辱で震えていた。
「ふたなりだね。でも、この子は生娘なのかい?」
「へい。」
「ま、武家娘だから読み書きは出来るだろうさ。禿としては薹が立っているけれど、使い物にはなるだろうさ。」
「女将さん、その子かい、新しく入って来た子っていうのは?」
海斗が女将の部屋の隅で震えていると、そこへ一人の遊女が入って来た。
美しい簪や櫛で淡褐色の髪を飾り、鮮やかな着物を羽織ったその遊女は、淡褐色の瞳で海斗を見た。
(嫌な感じ・・)
「ラウル、この子に何か用かい?」
「別に。」
ラウルはそう言うと、部屋から出て行った。
海斗は緋色の着物を着せられ、禿部屋へと連れて行かれた。
「あんた、名前は?俺は凛。」
「海斗。」
「海斗、ここで生き残りたきゃ、芸を磨きな。身体を売りたくなかったら、芸者として生きる道があるよ。」
「本当!?」
「あぁ、うちの紫姐さんは、吉原一の芸者だったんだ!」
「そうなんだ。」
海斗は華楼に売られてから、雑用に追われながらも芸事に専念するようになった。
「女将さん、あの赤毛の子、遊女よりも芸者の方が向いているのと違います?」
「そうだねぇ、うちは置屋も兼ねているから、海斗には芸者になった方がいいかもしれないねぇ。」
華楼一の吉原芸者・紫の助言もあり、海斗は遊女(娼妓)ではなく芸者としてお披露目する事になった。
海斗は、江戸に初雪が降った日に、芸者としてお披露目の日を迎えた。
「見てごらん、あの子が・・」
「武家のお姫様が芸者になるとはね・・」
海斗はお披露目を終えた後、初めて芸者として、「渚屋」のお座敷に上がった。
『へぇ、見事な赤毛だな。』
そう言って海斗に好色な視線を送ったのは、英国海軍将校・アーサー=ハノーヴァーだった。
『下の毛も赤いのか?それ、見てみよう。』
アーサーは、海斗の腕を掴んで自分の膝上に座らせると、彼女の着物の裾を捲り上げようとした。
「嫌だ、やめて!」
海斗はアーサーを平手打ちすると、そのまま部屋を飛び出した。
『おい、大丈夫か?』
『すいません・・』
廊下を走っていた海斗は、アーサーと同じ真紅の軍服を着た男とぶつかった。
『俺についてきな。』
そう言って蒼い瞳を自分に向けた男に、海斗は瞬く間に恋に落ちてしまった。