「FLESH&BLOOD」の二次小説です。
作者様・出版社様は一切関係ありません。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
二次創作・BLが嫌いな方はご注意ください。
海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
その昔、世界に様々な種族が存在していた。
人間、人魚、妖精・・彼らは皆、互いを尊重し、共存し合っていた。
そんな中、人間が“産業”という物を発展させた為、次第に妖精やドラゴン、そして人魚達の棲家が徐々に奪われていった。
やがて、人間とドラゴン達は、些細な事で戦を起こした。
ドラゴンは、徐々に人間達の争いでその数を減らしていった。
妖精とドラゴン、人魚達は、それぞれの代表が人間が開く会議に出席し、和平条約を結んだ。
しかし、欲深い人間達は、幾度も彼らの領土を荒らした。
そして、世界には妖精とドラゴンが絶滅し、人魚だけが残った。
だが、その人魚もまた、不老不死の妙薬を目当てに人間達に乱獲され、その生息数を減らしていった。
そんな中、海の底にある人魚の王国で、一匹の人魚が仲間の人魚達と逸れて、広い海の中を彷徨っていた。
(みんな、何処に居るんだろう?)
腰下まである赤毛を揺らしながら、その人魚―海斗は不安そうな表情を浮かべ、只管広い海原を泳いでいた。
「海斗!」
「和哉、どうしたの?」
「急に居なくなったから、心配したんだよ?」
「ごめん・・」
「戻ろう、皆君を待っているよ。」
「うん・・」
海斗が和哉と共に王国へと戻ると、国王・レギオンが彼女の元へとやって来た。
「カイト、そなたの結婚が決まった。」
「え?」
「海斗、おめでとう。」
海斗の母・友恵は、そう言うと彼女を抱き締めた。
急に決まった結婚に、海斗は戸惑いを隠せなかった。
(俺はまだ、結婚なんてしたくない!)
人魚は、その生息数を増やす為、18の誕生日を迎えるまでに結婚し、子を産まなければならないという、掟があった。
「海斗、溜息なんて吐いてどうしたの?」
「うん・・」
「掟は絶対だからね。」
「そんな事、わかっているけどさぁ・・」
「まさかと思うけど、何か変な事を考えていない?」
「べ、別に・・」
海斗はそう言うと、和哉に背を向け、自宅へと戻って行った。
同じ頃、ジェフリー=ロックフォードは『グローリア号』の船長室で何度目かの溜息を吐いた。
「どうした、ジェフリー?浮かない顔をして?」
「いや・・」
「今回は、余り収穫がなかったな。」
『グローリア号』の航海長・ナイジェル=グラハムは、そう言いながら親友にワインボトルを手渡した。
「あぁ・・」
ジェフリー達が襲った商船には、コチニールや絹織物などが積まれていた筈だったのだが、それらは全て商人達が買い占めた後だった。
空の商船を襲い、港に戻ったジェフリー達を待っていたものは、人々の冷やかな視線だった。
「最近、ツイてないなぁ~」
「そうか。」
「考えてもみろ、この数ヶ月間、何のお宝も得られていない。俺達は、運の女神様に見放されたのかもしれないな。」
「そうかもな。」
だが、ジェフリー達が自分達の考えが間違っている事を知ったのは、商船を襲った数ヶ月後の事だった。
「ジェフリー、早く引き上げるぞ!」
「あぁ!」
ジェフリーは敵船の舷側から軽やかに『グローリア号』へと乗り移った時、海面に赤いものが光ったような気がした。
「どうした、ジェフリー?」
「いや、何か居たような・・」
「気の所為じゃないのか?」
(良かった、顔は見られていないな・・)
海斗は海中へと戻りながら、海賊船が遠ざかるのを感じた。
(あの人の瞳、綺麗だったなぁ・・)
海斗は時折光を受けて輝いているサファイアに、金の髪をなびかせた海賊の姿を思い浮かべた。
(綺麗な人だった・・また会いたいなぁ・・)
そんな事を思いながら、海斗は眠った。
「海斗、起きなさい!」
「う~ん・・」
海斗は乱れた髪を手櫛で整えると、母・友恵に連れられ、見合い相手が待つカフェへと向かった。
「お待たせしてしまってすいません。」
「いいえ、こちらも来た所ですわ。」
海斗は、自分をじっと見つめる青年の執拗な視線を感じ、とっさに友恵の背後に隠れてしまった。
「あらあら、恥ずかしがり屋さんでごめんなさいね。」
「いいえ、サイモン、カイトさんよ。」
「サイモンです。」
「じゃぁ、後は二人だけで・・」
突然海斗は気味の悪い青年・サイモンと二人きりにされ、戸惑った。
「君が僕のお嫁さんになるなんて、嬉しいなぁ・・」
サイモンはそう言うと、海斗の手を握った。
海斗は彼の手を振り払うと、カフェから出て行った。
(あんな奴とは、結婚しない!)
「海斗、どうしたの?」
「俺、サイモンさんとは結婚しない!」
「わがまま言わないの!」
友恵と口論になった海斗は、王国を離れ、人間達が居る世界へと向かった。
だが運悪く、彼女は漁師の網に絡まり、身動きが取れなくなってしまった。
(どうしよう・・)
海斗は身を捩って暴れたが、時間が無情に流れていった。
「おい、大丈夫か!?」
海斗が途方に暮れていると、突然頭上から声が降って来た。
俯いていた顔を上げた海斗の目に、自分を見つめる美しいブルーの瞳が飛び込んで来た。
「あなたは・・」
「お前、もしかして、人魚か?」
「はい・・」
“海斗、人間に会ったら気をつけなさい。”
物心ついた頃から、海斗は友恵達から耳にタコが出来る程、人間の恐ろしさを聞かされていた。
「俺を、どうするつもりですか?」
「そんなに怯えるな。お前を取って食ったりはしないさ。」
ジェフリーはそう言うと、海斗の身体に絡まった網を器用にナイフで切り落とした。
「ありがとう・・」
「また、会えるといいな。」
「これ・・小さいけれど。」
海斗は、ジェフリーに自分が首に提げていた涙型の真珠のペンダントを渡すと、海の中へと消えていった。
(可愛い奴だったな・・)
「ジェフリー、その真珠はどうした?」
「可愛い子に貰ったのさ。」
(また、会いたいな。)
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海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。
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その昔、世界に様々な種族が存在していた。
人間、人魚、妖精・・彼らは皆、互いを尊重し、共存し合っていた。
そんな中、人間が“産業”という物を発展させた為、次第に妖精やドラゴン、そして人魚達の棲家が徐々に奪われていった。
やがて、人間とドラゴン達は、些細な事で戦を起こした。
ドラゴンは、徐々に人間達の争いでその数を減らしていった。
妖精とドラゴン、人魚達は、それぞれの代表が人間が開く会議に出席し、和平条約を結んだ。
しかし、欲深い人間達は、幾度も彼らの領土を荒らした。
そして、世界には妖精とドラゴンが絶滅し、人魚だけが残った。
だが、その人魚もまた、不老不死の妙薬を目当てに人間達に乱獲され、その生息数を減らしていった。
そんな中、海の底にある人魚の王国で、一匹の人魚が仲間の人魚達と逸れて、広い海の中を彷徨っていた。
(みんな、何処に居るんだろう?)
腰下まである赤毛を揺らしながら、その人魚―海斗は不安そうな表情を浮かべ、只管広い海原を泳いでいた。
「海斗!」
「和哉、どうしたの?」
「急に居なくなったから、心配したんだよ?」
「ごめん・・」
「戻ろう、皆君を待っているよ。」
「うん・・」
海斗が和哉と共に王国へと戻ると、国王・レギオンが彼女の元へとやって来た。
「カイト、そなたの結婚が決まった。」
「え?」
「海斗、おめでとう。」
海斗の母・友恵は、そう言うと彼女を抱き締めた。
急に決まった結婚に、海斗は戸惑いを隠せなかった。
(俺はまだ、結婚なんてしたくない!)
人魚は、その生息数を増やす為、18の誕生日を迎えるまでに結婚し、子を産まなければならないという、掟があった。
「海斗、溜息なんて吐いてどうしたの?」
「うん・・」
「掟は絶対だからね。」
「そんな事、わかっているけどさぁ・・」
「まさかと思うけど、何か変な事を考えていない?」
「べ、別に・・」
海斗はそう言うと、和哉に背を向け、自宅へと戻って行った。
同じ頃、ジェフリー=ロックフォードは『グローリア号』の船長室で何度目かの溜息を吐いた。
「どうした、ジェフリー?浮かない顔をして?」
「いや・・」
「今回は、余り収穫がなかったな。」
『グローリア号』の航海長・ナイジェル=グラハムは、そう言いながら親友にワインボトルを手渡した。
「あぁ・・」
ジェフリー達が襲った商船には、コチニールや絹織物などが積まれていた筈だったのだが、それらは全て商人達が買い占めた後だった。
空の商船を襲い、港に戻ったジェフリー達を待っていたものは、人々の冷やかな視線だった。
「最近、ツイてないなぁ~」
「そうか。」
「考えてもみろ、この数ヶ月間、何のお宝も得られていない。俺達は、運の女神様に見放されたのかもしれないな。」
「そうかもな。」
だが、ジェフリー達が自分達の考えが間違っている事を知ったのは、商船を襲った数ヶ月後の事だった。
「ジェフリー、早く引き上げるぞ!」
「あぁ!」
ジェフリーは敵船の舷側から軽やかに『グローリア号』へと乗り移った時、海面に赤いものが光ったような気がした。
「どうした、ジェフリー?」
「いや、何か居たような・・」
「気の所為じゃないのか?」
(良かった、顔は見られていないな・・)
海斗は海中へと戻りながら、海賊船が遠ざかるのを感じた。
(あの人の瞳、綺麗だったなぁ・・)
海斗は時折光を受けて輝いているサファイアに、金の髪をなびかせた海賊の姿を思い浮かべた。
(綺麗な人だった・・また会いたいなぁ・・)
そんな事を思いながら、海斗は眠った。
「海斗、起きなさい!」
「う~ん・・」
海斗は乱れた髪を手櫛で整えると、母・友恵に連れられ、見合い相手が待つカフェへと向かった。
「お待たせしてしまってすいません。」
「いいえ、こちらも来た所ですわ。」
海斗は、自分をじっと見つめる青年の執拗な視線を感じ、とっさに友恵の背後に隠れてしまった。
「あらあら、恥ずかしがり屋さんでごめんなさいね。」
「いいえ、サイモン、カイトさんよ。」
「サイモンです。」
「じゃぁ、後は二人だけで・・」
突然海斗は気味の悪い青年・サイモンと二人きりにされ、戸惑った。
「君が僕のお嫁さんになるなんて、嬉しいなぁ・・」
サイモンはそう言うと、海斗の手を握った。
海斗は彼の手を振り払うと、カフェから出て行った。
(あんな奴とは、結婚しない!)
「海斗、どうしたの?」
「俺、サイモンさんとは結婚しない!」
「わがまま言わないの!」
友恵と口論になった海斗は、王国を離れ、人間達が居る世界へと向かった。
だが運悪く、彼女は漁師の網に絡まり、身動きが取れなくなってしまった。
(どうしよう・・)
海斗は身を捩って暴れたが、時間が無情に流れていった。
「おい、大丈夫か!?」
海斗が途方に暮れていると、突然頭上から声が降って来た。
俯いていた顔を上げた海斗の目に、自分を見つめる美しいブルーの瞳が飛び込んで来た。
「あなたは・・」
「お前、もしかして、人魚か?」
「はい・・」
“海斗、人間に会ったら気をつけなさい。”
物心ついた頃から、海斗は友恵達から耳にタコが出来る程、人間の恐ろしさを聞かされていた。
「俺を、どうするつもりですか?」
「そんなに怯えるな。お前を取って食ったりはしないさ。」
ジェフリーはそう言うと、海斗の身体に絡まった網を器用にナイフで切り落とした。
「ありがとう・・」
「また、会えるといいな。」
「これ・・小さいけれど。」
海斗は、ジェフリーに自分が首に提げていた涙型の真珠のペンダントを渡すと、海の中へと消えていった。
(可愛い奴だったな・・)
「ジェフリー、その真珠はどうした?」
「可愛い子に貰ったのさ。」
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