BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

桜巫女 1

2024年04月17日 | FLESH&BLOOD 和風ファンタジーパラレル二次創作小説「桜巫女」
「FLESH&BLOOD」の二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。

性描写あり、苦手な方はご注意下さい。


チリン、チリン―

何処からか、鈴の音が聞こえて来た。
誰かが、自分に向かって何かを言って来たが、聞こえなかった。

「巫女様、起きて下さい。」
「ん・・」
海斗が眠い目を擦りながら布団から起き上がると、傍に控えていた女官達が海斗の髪を梳いた。
「準備はよろしいですか?」
「うん・・」
「では、参りましょう。」
その日は、この集落で一年に一度行われる大きな祭りがあった。
「桜巫女様だ~!」
「桜巫女様~!」
神輿に乗せられた海斗が社の奥から出て来ると、村人達が歓声を上げた。
美しく着飾った海斗が村人達に向かって桜の花弁を散らすと、彼らは一斉に拝んだ。
「ありがてぇ、ありがてぇ!」
そんな様子を、遠くから一人の青年が撮影していた。
「あれが、桜巫女様か・・」
熱気に包まれた神社を、青年は後にした。
「お客様、お帰りなさい。」
「さっき神社へ行って来たが、凄い人だかりだった。」
「まぁ、今日は祭りですからね。」
「桜巫女様というのは、あの集落でどんな存在なんだ?」
「特別な存在なんですよ。桜巫女様は、あの集落にとってなくてはならないものなんです。」
「そうか・・」
その日の夜、海斗は社の奥にある自室で眠っていた。
するとそこへ、一人の男が中に入って来た。
彼は部屋に入ると、躊躇いなく海斗が寝ている布団の中に潜り込んだ。
「ん、あぁ・・」
男の手が海斗の身体をまさぐる度に、彼女は甘く喘いだ。
肉同士がぶつかり合う音、淫らな水音が部屋の中に響いた。
「はぁ、あぁっ・・」
男の熱い楔が己の最奥に打ち込まれ、彼の欲望が迸るのを感じながら、海斗は意識を失った。
「ん・・」
「無理をさせて、済まなかった。」
「いいえ・・」
男は面布越しに、翠の瞳で海斗を見つめた。
彼の名は、ビセンテ。
元は名家出身だったが、訳有ってこの集落で暮らし、海斗の身の回りの世話をしている。
「また夜に来る。」
ビセンテは海斗の部屋から出ると、顔を覆っている布を剥ぎ取った。
海斗を抱く時は、彼女に顔を見せてはならないという“しきたり”を守らなければならなかった。
何故なら、海斗は―この地を守る桜巫女は、神聖な存在だからだ。
(二十一世紀・・わたしが生きていた“時代”よりも何もかも進んでいるというのに、古いまやかしが存在しているとは・・)
神社の石段を少しずつ降りながら、ビセンテは海斗と出会った時の事を思い出していた。
あれは、イングランドとの戦いに敗れ、冷たい海に放り出された。
意識が朦朧としながらも見知らぬ浜辺に辿り着いたビセンテは、そこで海斗に助けられた。

ビセンテは、主に己の命を救ってくれた事に感謝した。

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