BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

ハロウィン。

2024年10月31日 | 日記
今日はハロウィン
古代ケルト人のお祭り「サウィン」が起源で、「万聖節」と呼ばれる日。
ハロウィンの仮装は、20世紀後半になってから盛んになったとか。
まぁ、基本は子供がするもので、大人が仮装して酒飲んで暴れて軽トラックを横転させたりするようなものではないんですよね、ハロウィンは。
もう10月も終わりなのですね・・
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「読書の秋」というけれど・・

2024年10月30日 | 日記
出来れば一日一冊くらい読みたいなぁと思っていても、中々出来ないんですよね。
まぁ、毎月15~20冊くらい本を読みますが、創作活動もしているので中々時間が取れないです。
スマホを触っている時間を読書に当てたらいいんですよね。
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月影の子守唄 1

2024年10月30日 | FLESH&BLOOD 腐向けハーレクインパラレル二次創作小説「月影の子守唄」

素材表紙は、てんぱる様からお借りました。

「FLESH&BLOOD」の二次小説です。

作者様・出版社様は一切関係ありません。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。

夜の森の中を、一人の少女が走っていた。
彼女はその腕に、産まれたばかりの赤子を抱いていた。

「居たぞ!」
「向こうだ!」

猟犬が吠える声と、男達の怒号が聞こえて来た。
早く、彼らの手が届かない所へ逃げなくては。
必死に萎えそうになる足を動かし、やがてある場所へと辿り着いた。

そこは、魔女が棲むという小屋だった。

少女は、赤子をしっかりと胸に抱き、小屋へと向かった。
小屋のドアを叩く前に、少女は背後から数発の銃弾を受け、倒れた。
「どうしたの、しっかりして!」
「この子を、お願い。」
少女は震える声でそう言うと、小屋から出て来た女性に赤子を託した。
「リリー、どうしたの?」
「イーディス、奥から猟銃を取って来て。」
「ええ。」
リリーは少女ごと赤子を小屋の中へと入れた後、イーディスから猟銃を受け取ると、武装した男達を睨んだ。
「女を出せ!」
「動かないで!」
「女がでしゃばるな!」
リリーは、自分に銃口を向けている男の爪先に向かって引き金を引いた。
放たれた銃弾は、地面にめり込んだ。
「次はあんたの脳天を狙うわよ。」
「クソ、引き上げるぞ!」
男達が去った後、リリーが小屋の中に戻ると、赤子の母親はロザリオを握り締めながら絶命していた。
「可哀想に・・」
「この子、確かウィニフレッド家のクララじゃない?」
「まぁ・・最近見ないと思っていたら、家を勘当されたのね。」
「リリー、この子をどうするの?」
「決まっているじゃない、わたし達で育てるのよ。子育ての経験はないけれど、何とかなるわ。」
「そうね。」
こうしてリリーとイーディスは、赤子を育てる事にした。
17年後、リリーとイーディスが育てた赤子・海斗は、森の中でハーブを摘んでいた。
するとそこへ、リリーがやって来た。
「カイト、大変よ!イーディスが・・」
海斗がリリーと共に小屋へと向かうと、ベッドの中でイーディスが苦しそうに息をしていた。
「イーディス!」
「カイト・・来たのね。」
イーディスは死の間際、海斗に真実を告げた。
「え・・」
「カイト、あなたは、幸せに・・」
「イーディス、しっかりして!」
イーディスを看取った後、海斗とリリーは二人だけで彼女の葬式をした。
―おい、あれ見ろよ・・
―魔女が・・
―あの赤毛は・・
「カイト、帰りましょう。」
「うん・・」
雨が降る中、海斗とリリーが墓地を後にしようとした時、一台の馬車が二人の前に停まった。
「クララ、どうして生きているの?」
馬車から降りて来た金髪の女性は、そう言うと海斗を見た。
「ごめんなさい、あの時わたしが・・」
「奥様、こちらへ。」
馬車の中から、メイドと思しき女性が出て来た。
「一体、誰だったの?」
「あの人は、ウィニフレッド家の奥様よ。最近、認知症になられたとか・・」
「ねぇリリー、これからどうするの?」
「さぁね。とにかく、今まで通りの生活をわたし達は送るだけよ。」
「うん。」
イーディスを亡くしてから、海斗とリリーは心にぽっかり空いた穴を埋めるかのように、忙しい日々を送っていた。
そんな中、海斗はリリーのおつかいでウィニフレッド家へパイを届けに行った。
「あなた、この前の・・」
「奥様はいらっしゃいますか?」
「えぇ。」
メイドに案内され、海斗がウィニフレッド邸の中へと入ると、厨房の方から男の怒鳴り声が聞こえて来た。
「どうして、こんな切り方なんだ?」
「すいません・・」
「もういい、お前はクビだ!」
厨房から若い娘が泣きながら出て来た。
「クララ・・お嬢様?」

背後で皿が割れる音がしたので、海斗が振り向くと、そこには蒼褪めた顔をしたメイド立っていた。

「どうして、あなたは死んだ筈・・」

「ナンシー、一体何をしているんだ!」
厨房から右目に眼帯をつけた男が居間にやって来た。
「幽霊だ、幽霊だ~!」
メイドはそう叫ぶと、居間から外へと飛び出していった。
「あの・・あなたは?」
「お前が、あの魔女の娘か?」
「リリー。“魔女”ではなく、リリーです。俺はカイト、奥様にパイを届けに参りました。」
「俺はナイジェル=グラハム、ウィニフレッド家の料理人だ。」
ナイジェルは、そう言うとウィニフレッド家の奥様、ナタリーの寝室へと案内した。
「奥様、カイトが参りました。」
「入って。」
「失礼致します。」
ナタリーは、ナイジェルと共に寝室に入って来た海斗を見た途端、病人とは思えない素早い動きで寝台から出て彼女の元へと駆け寄った。
「クララ、クララ!」
「奥様、落ち着いて下さい!」
「クララ~!」
ナタリーが医者に鎮静剤を打たれた所を見た海斗は、ナイジェルに彼女の寝室から連れ出された。
「クララという方は、奥様の娘さんですね?」
「あぁ、17年前、行方知れずになった。奥様は、認知症になられてから毎晩クララ様を捜している。」
「そうですか・・」
これ以上気まずい思いをしたくなくて、海斗はウィニフレッド邸から去っていった。
「ただいま。」
「お帰りなさい、カイト。」
「リリー、17年前に何がこの町であったの?」
「そうね、クララお嬢様は、禁じられた恋をしてしまったのよ。」
「禁じられた恋?」
「あなたの父親は、ロンドンに住む貴族よ。誰なのかは知らないけれど、クララお嬢様はあなたを森の中で出産し、山小屋へやって来たの。彼女は、追手に背中を数発撃たれて亡くなったわ。」
「そんな・・」
「あなたの事を、あの奥様がクララお嬢様の姿と重なって見えたのかもしれないわね。」
「そうなの。父親が誰なのか、わからないの?」
「ええ。イーディスの日記に、何か手掛かりが残っているのかもしれないわ。」
リリーはそう言うと、二階にあるイーディスの部屋へと向かった。
「あら、おかしいわね・・」
「どうしたの?」
「イーディスの日記が無いわ。」
「そんな・・」
慌てふためきながらイーディスの日記を探す海斗とリリーを、山小屋の近くから一人の男が見ていた。
その腕には、イーディスの日記が抱かれていた。
「旦那様・・」
「例のものは?」
「どうぞ。」
「給料だ、取っておけ。」
「ありがとうございます。」
男は馬車の中に居る男にイーディスの日記を手渡すと、そのまま町へと向かった。
町を出た馬車は、そのままロンドンへと向かった。
「旦那様。」
「イーディスの日記か?」
「はい。」
「ご苦労。」
ロバート=ティルニーはそう言って執事からイーディスの日記を受け取ると、それを暖炉の中へと放り投げた。
「あ~、寒い!」
「カイト、ジンジャーブレッドをパン屋へ持って行って。」
「わかった!」
クリスマス=シーズンを迎え、町にはクリスマスのオーナメントが飾られていた。
「あらカイト、いらっしゃい!」
「ジンジャーブレッド、持って来ました!」
「まぁ、可愛いわね!全部、あなたが作ったの?」
「はい。」
「そう。ねぇ聞いた、この町の近くにある湖の近くに、貴族の旦那がお屋敷を買ったってさ!」
「へぇ、どんな方なんだろう?」
「小説家の端くれだってさ。」
海斗がパン屋のアーニーとそんな事を話していると、店に一人の青年が入って来た。
深緑のフロックコートに長身を包み、黒のシルクハットを被った男は、鳶色の瞳でナイジェルの姿を捉えると、彼の唇を塞いだ。
その直後、男の身体は床に吹っ飛んだ。
「俺に気安く触れるな!」
「その冷たい瞳が堪らないねぇ!」
「あのぅ、うちに何かご用ですか?」
「お嬢さん、俺がここに来たのはパーティー用のパイを注文したくてね。」
「わかりました。」
「ここで会ったのは何かの縁だ。俺はクリストファー=マーロウ、キットと呼んでくれ。」
「カイトです。山の上にある山小屋に住んでいます。」
「へぇ、こんな可愛い子ちゃんが町に住まないなんて驚きだなぁ。」
「アーニー、またね。」
海斗は足早にパン屋から出て行くと、山小屋へと向かった。
「ただいま。」
「お帰りなさい、寒かったでしょう。」
「うん。パン屋さんで、貴族の人と会ったよ。」
「へぇ、どんな人だったの?」
「鳶色の瞳をした、綺麗な人。クリストファー=マーロウって名乗っていた。」
「クリストファー=マーロウ?今人気の小説家じゃないの!?」
「え、彼の事を知っているの?」
「知っているも何も、『タンバレイン』は名作よ!」
「そうなんだぁ。」
キットがパン屋に来てから一週間後、海斗とリリーが山小屋でひっそりとクリスマスを祝っていると、突然誰かが山小屋のドアを激しく叩く音がした。
「カイト、下がっていなさい。」
リリーは猟銃を構えながら恐る恐る山小屋の入り口へと向かうと、そこには両手を上げたキットの姿があった。
「おおっと、撃たないでくれ。」
「キット、どうしたの?」
「カイト、すまないが一緒に来て貰おうか?どうしても、お前さんに会いたいと言っている人が居てな。」
「わかった。」
「カイト、外は雪が積もっているから、転ばないように気をつけるのよ。」
リリーに見送られ、海斗はキットと共に湖の近くにある貴族の別荘へと向かった。
「町から少し離れているから、馬車で行くぞ。」
「わかった。」
コメント

その愛は、緋く 《壱》

2024年10月30日 | FLESH&BLOOD 転生遊郭パラレル二次創作小説「その愛は、緋く」
「FLESH&BLOOD」二次小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。

海斗が両性具有設定です、苦手な方はご注意ください。

「海斗様、どちらにおられますか~!」
「海斗様!」
東郷海斗は、自分を捜し回る使用人達の目を盗み、ある場所へと向かった。
そこは、夏の暑さを凌ぐ為に海斗が見つけた、秘密の泉だった。
(誰も居ないな・・)
海斗は胸元を覆っていた晒を解き、着物と袴を脱いだ後、冷たい泉の中へと入った。
サラサラと、木の葉が揺れる音が心地良い。
「海斗、見つけたよ。」
「和哉・・」
「勝手に居なくなったと思ったら、ここに居たんだね。」
海斗の幼馴染で許婚の森崎和哉は、そう言うと自分も着物と袴を脱いで泉の中へと入った。
「今日は一体、何が気に入らなかったの?」
「ババアが、勝手に俺の結婚を決めた。俺は・・」
「そんなに僕と夫婦になるのが嫌?」
「そんな訳、ないけれど・・でも、まだ結婚はしたくない。」
「そうだね。」
和哉はそう言うと、海斗をそっと背後から抱き締めた。
「僕は、君が結婚したくなった時に結婚するよ。」
「和哉・・」
「帰ろう。小母様達が心配しているよ。」
「わかった。」
和哉と海斗が東郷家に戻ると、そこには役人に囲まれた海斗の父・洋介の姿があった。
「父さん、どうして・・」
「信じられないねぇ、まさか東郷様が謀反に加わっていたなんて・・」
「そんな人ではないと思っていたのにねぇ。」
洋介は謀反に加わっていた疑いを掛けられ、斬首された。
東郷家は取り潰しとなり、海斗は一人、遊郭へ売られた。
「父上、何とか出来ないのですか?」
「済まない、わたしにはどうする事も出来ない。」
「そんな・・」
和哉は居ても経ってもいられず、屋敷から飛び出した。
「海斗!」
「和哉・・」
彼が海斗を捜していると、彼女は丁度人買いに駕籠に乗せられる所だった。
「必ず迎えに行くから、だから・・」
「和哉・・」
繋いでいた二人の手は、ゆっくりと離れていった。
どうして、こんな事になってしまったのだろう。
揺れる駕籠の中で、海斗は一人、涙を流した。
「着いたぜ、降りな。」
海斗はゆっくりと、駕籠から降りた。
するとそこには、美しく幻想的な風景が広がっていた。
「あの、ここは・・」
「ここは吉原、夜の華達が居る所さ。」
人買いの男は、海斗を一軒の妓楼へと連れて行った。
「おや、来たのかい。」
妓楼の裏口から海斗が人買いの男と共に中へ入ると、そこには煙管を咥えた女が、そう言って二人を冷たく睨みつけながら座布団の上に座っていた。
「この子かい、謀反人の娘は?」
「父さんは謀反人なんかじゃありません!」
「お黙り!ここで世話になる以上、このあたしに口答えするんじゃないよ。」
妓楼・華楼の女将・菊は、そう言った後海斗の頬を叩いた。
「顔は可愛いね。この赤毛は生まれつきかい?」
「はい。」
「着物も上等な物を着ているじゃないか。これだけでも金になりそうだ。」
「俺に触るな!」
「善次、この子の着物を脱がしな。」
奥から屈強な男が現れ、海斗の着物を無理矢理脱がせた。
肌襦袢姿となった海斗は、そのまま裏口から外へと出ようとしたが、男に阻まれた。
「この期に及んで逃げようとするなんて、往生際が悪いね。」
「女将さん、この子はふたなりなんですよ。」
「へぇ・・」
菊は、口端を上げて笑うと、海斗の肌襦袢を脱がした。
晒しまで剥ぎ取られ、生まれたままの姿となった海斗は、羞恥と屈辱で震えていた。
「ふたなりだね。でも、この子は生娘なのかい?」
「へい。」
「ま、武家娘だから読み書きは出来るだろうさ。禿としては薹が立っているけれど、使い物にはなるだろうさ。」
「女将さん、その子かい、新しく入って来た子っていうのは?」
海斗が女将の部屋の隅で震えていると、そこへ一人の遊女が入って来た。
美しい簪や櫛で淡褐色の髪を飾り、鮮やかな着物を羽織ったその遊女は、淡褐色の瞳で海斗を見た。
(嫌な感じ・・)
「ラウル、この子に何か用かい?」
「別に。」
ラウルはそう言うと、部屋から出て行った。
海斗は緋色の着物を着せられ、禿部屋へと連れて行かれた。
「あんた、名前は?俺は凛。」
「海斗。」
「海斗、ここで生き残りたきゃ、芸を磨きな。身体を売りたくなかったら、芸者として生きる道があるよ。」
「本当!?」
「あぁ、うちの紫姐さんは、吉原一の芸者だったんだ!」
「そうなんだ。」
海斗は華楼に売られてから、雑用に追われながらも芸事に専念するようになった。
「女将さん、あの赤毛の子、遊女よりも芸者の方が向いているのと違います?」
「そうだねぇ、うちは置屋も兼ねているから、海斗には芸者になった方がいいかもしれないねぇ。」
華楼一の吉原芸者・紫の助言もあり、海斗は遊女(娼妓)ではなく芸者としてお披露目する事になった。
海斗は、江戸に初雪が降った日に、芸者としてお披露目の日を迎えた。
「見てごらん、あの子が・・」
「武家のお姫様が芸者になるとはね・・」
海斗はお披露目を終えた後、初めて芸者として、「渚屋」のお座敷に上がった。
『へぇ、見事な赤毛だな。』
そう言って海斗に好色な視線を送ったのは、英国海軍将校・アーサー=ハノーヴァーだった。
『下の毛も赤いのか?それ、見てみよう。』
アーサーは、海斗の腕を掴んで自分の膝上に座らせると、彼女の着物の裾を捲り上げようとした。
「嫌だ、やめて!」
海斗はアーサーを平手打ちすると、そのまま部屋を飛び出した。
『おい、大丈夫か?』
『すいません・・』
廊下を走っていた海斗は、アーサーと同じ真紅の軍服を着た男とぶつかった。
『俺についてきな。』

そう言って蒼い瞳を自分に向けた男に、海斗は瞬く間に恋に落ちてしまった。
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花になって 第1話

2024年10月30日 | 火宵の月 夢小説「花になって」

素材表紙は湯弐さん (ID:3989101)からお借りしました。

「火宵の月」夢小説です。

作者様・出版社様とは一切関係ありません。

二次創作・夢小説が嫌いな方はご注意ください。

その日、石倉澪は、いつになくはしゃいでいた。
というのも、彼女は高校生の頃から好きだった少女漫画の聖地・鎌倉の鶴岡八幡宮で筝曲部の奉納演奏に参加する事になったのだった。
澪は奉納演奏前日に憧れの地である鶴岡八幡宮を堪能した後、ホテルへと戻ろうとした時、横断歩道でアクセルとブレーキを踏み間違えた車にはねられた。
虚空を舞った彼女は、全身を襲う激痛で目を覚ました。
「おい、目を覚ましたぞ!」
「今のうちに捕まえろ!」
彼女は辺りを見回すと、そこには時代劇、一昨年の大河に出て来た男達のような服を着ている者達に囲まれている事に気づいた。
「おい、お前・・」
「イヤッハァ~!」
澪は彼らに捕まりたくないがために、急に奇声を上げて走り始めた。
これを火事場の馬鹿力というのだろうか、澪は目を爛々と輝かせながら、鶴岡八幡宮の境内を走り回った。
「ひぃぃ~!」
「妖だ!」
「魔物だ~!」
突然現れた、奇声を上げながら走り回る謎の娘の姿に、周囲は騒然となった。
折しもその日は退魔祈禱が鶴岡八幡宮で行われており、そこには陰陽師・土御門有匡が居た。
「有匡、早くあれを何とかせいっ!」
「はぁ・・」
アドレナリンが過剰分泌され、気分が最高潮に達した澪は、祭壇の前に置かれている和琴の前に座り、こう叫んだ。
「俺の演奏を聴け~!」
彼女はドン引きしている聴衆を前に、好きなアニメソング七曲を和琴で弾いた。
突然の闖入者の出現に、鎌倉にウジャウジャいた魔物もドン引きしていた。
(何あれ?)
(ヤバすぎん?)
(無理だわ~)
魔物達は一晩で居なくなった。
そして我に返った澪を襲ったのは、全身の激痛と強い羞恥心だった。
「うぉぁぁ~、俺を、殺ぜぇ~!」
全て濁点がついた言葉を喚きながら、澪はキラキラ加工されたゲロをその場に吐き散らした。
「おい、落ち着け!」
「推しキャラ、フォ~!」
澪は、自分の初恋を奪った有匡に見つめられ、発狂して気絶した。
「先生、今日も遅いな~」
同じ頃、土御門邸では有匡の妻・火月が二人の子供達、雛と仁、そして有匡の式神達と共に夫の帰りを待っていた。
「まぁ仕方無いわよ~、まぁた色々と退魔祈禱だの何だのと忙しいからねぇ、殿。」
「仕事中毒中には、何言っても無駄よぉ~。」
有匡達の式神こと、式神シスターズの種香と小里はそう言いながら双子を寝かしつけていた。
「ねぇ、火月ちゃん、“あれ”、どうなってんの?」
「え?」
「ほら~、“一年に一人ずつ計画”よぉ~」
「ちょ、お姉さんっ!」
「騒がしいぞ、お前達。」
「あら殿、お帰りなさいませ!あら、その子は?」
「知らん。執権に世話を押し付けられた。」
「ヤァァ~!」
有匡が式神シスターズに鶴岡八幡宮で起きた事を話そうとした時、彼が背負っていいた澪が意識を取り戻して暴れた。
「落ち着け!」
「うぁ、すいません・・」
有匡に鳩尾を殴られ、澪は正気に戻った。
「あの、わたしこれからどうすれば・・」
「暫くここに居ろ。お前のような素性が知れん小娘を野放しにしたら碌な事がないからな。」
「あ、ありがとうございます・・」
こうして、澪は土御門家に居候する事になった。
だが、ひとつ彼女には問題があった。
それは、彼女は歴女でヲタクであったが、幕末と平安時代以外はノーマークであったという事だった。
(今の執権って、誰?)
「あの、ひとつお聞きしたい事が・・」
「何だ?」
「今の執権って・・北条泰時ですか?」
「ハァッ!?」

(俺、死んぢまうストーリー・・)
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