遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

木桶の味

2008-04-03 21:37:30 | 
奈良の銘酒梅の宿の純米吟醸です。生モト(きもと:『モト』は酉偏に元)造りの逸品です。ちょっといろんなお酒に慣れてないと難しいかも知れません。木桶でモトを調製しているだけあって、お酒の色は黄色くてほのかに木の香りが心地よく香ります。酸味も感じますが、全般にドライな造りで辛口好きの人にはたまらん美味さでしょう。でも、警告しておきますが・・・普通の純米吟醸じゃないですよ。
以前、山廃の時にも説明しましたが、モト(または『酒母』ともいいます)は、乳酸菌と麹カビと酵母によって造られます。要するにモトとしては酵母があればいいので、現在はしっかり分離調整された酵母の培養液と醸造用の乳酸を添加することで醸造が行われます。これが『速醸モト』。生モトはその蔵の桶にいる乳酸菌と酵母を使うもので、昔ながらの醸造方法です。これは『腐造』のリスクを伴う方法なのですが、良い木桶を持っている蔵にはぜひこういう伝統的な方法を保存していただきたいものです。もちろん、速醸系のモトを否定はしません。近年、高度の完成度を感じさせるレベルの高い吟醸酒が広く出回るようになったのは、微生物学の理解と応用技術の進歩のおかげであります。天然なら何でも美味しいと勘違いしている人がいますが、協会酵母も元々酒蔵で分離された酵母で、それらの中から厳選された優等生なのです。美味しいかどうかを決めるのはあくまでも自分の感覚。感覚を育てるには経験しかないのですよ。ラベルに書いてある情報も大切だけどねー。

最近、自分の周りでいろんなものが壊れていくと愚痴ってますが、今日はコンタクトレンズを片方ダメにしてしまいました。いつの間にかポロンと落ちていたようで、机の上で今日の夕方干からびていました。マンスリーのソフトコンタクトなので、早すぎですが次のヤツを卸して使います。とほほほほ・・・・。

本日のお酒:梅の宿 純米吟醸 生モト(『モト』は酉偏に元)
コメント
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