室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

音楽の変遷

2006-05-02 15:32:53 | Weblog
 色んな音楽をやっているせいか、色んな事を考える。
クラシック音楽は、かつて教会音楽が中心であったのが、世俗音楽が主導権を握るようになり、社会体制と共に変容しながらも、一貫した歴史の流れの中で存在意義を確立してきた。これは、人類が花を見て「美しい」と思う間は続くもの、と思われる。ジャズは19世紀の終わり頃にアメリカの黒人の生活の中から芽生えてきたものが、20世紀のメディアの発達と共に発展した音楽だ。タンゴはヨーロッパからの移民が多かったアルゼンチンで複合的に生まれたが、やはりメディアの発達と共に発展した。日本に於いては、昭和20年代~30年代に大人になった世代に受けて、どちらも大ブームとなった。現在、その方達がお元気で良き愛好者であるので、40~50年経ってその後も様々なジャンルの音楽が台頭しようとも、その時代を自分たちのものとして、ジャズもタンゴも活きている。
 今から、20年、30年、40年、と時代が流れたら、音楽はどうなるのだろう?昨夜、今の二十歳前後の人達が愛好する音楽の番組を少しだけ見た。沖縄系”h”の発音が残るバラードもあるが、ラップが相変わらず目に付く。ラップはメッセージ性が強く、言葉が具体的なので、分かり易くはあるのかもしれないが、音楽としては、ラップでない部分にしかメロディを感じることはできない。「これが自分たちの音楽だ」と思う人々がいるのだろうが、一過性のものに思われてならない。日本人が「リズムを克服する」手法としては使いやすいのかもしれない。が、彼らは、将来これを「なつメロ」にするのだろうか?