室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

怒濤の一週間 其の1

2008-03-14 15:54:38 | Weblog
三月やよいの第1週目は、まさに”怒濤の一週間”となりました。
一週間の関西旅行の帰りの新幹線内で書いたメモから・・

3/3 ひなまつりコンサート、朝8時高津の保育園にクラビノーバ運搬、搬入。ゲネプロ後10時開演。11:40片づけて帰る。帰宅後、早めに出て、京都から来るヤンネ&ヴィレを迎える品川駅に早めに着き、下調べ。新幹線改札が4つもある事が分かり、愕然とする。5時前到着の彼等を北口の在来線乗り換え口で待っていたが、案の定そこには現れず、京浜東北線ホームでやっと落ち合う。川崎のミューザへ行きリハーサル。「9時には練習を終えたいね・・」と云いながら、10時ぎりぎりまで練習。フィンランド・タンゴの3曲とラ・クンパルシータ、ジェラシーだけだったが、とにかく注文の多いバンドネオンのヴィレに「こんな調子でわらしは持つんやろか~?」と早くも関西弁で内心心配する。

3/4 朝9時に瀬谷の保育園に父に送ってもらい、歌の指導。1週間分の荷物をつめたスーツケースを転がして赤坂プリンスへ向かう。JR新橋駅は辛うじて下りエスカレーターを見つけらてらが、地下鉄に降りるのにエレベーターもエスカレーターも無く、泣きながらスーツケースを持って階段を降りる。途中、年輩のご婦人が「手伝いましょうか?」と声をかけて下さるも、まさかお願い出来ず。新橋駅、なんとかせい!
 
 赤坂プリンス・クリスタルパレスで国際文化交流パーティのリハーサル。ピアノの音が全ミュートがかかっていて変! っと思ったら、「共鳴盤にヒビが入っているせい」と調律師から説明を受けた。珍しいこっちゃ。 どのみちPA付きなので、多少リバーブを入れて頂く事にした。3時頃、お昼券を持ってホテル内の中華飯店でランチ。流石に美味しい。 この頃にはベースのジュンコ嬢ともうち解け、チームらしくなった。
 
 本番まで少しピアノに触りたかったが叶わず、集中力に賭けることに・・。さてあと小一時間で本番、という時に、ヴィレ君、左手の小指の先を水平に切ってしまい、出血! ハサミで紙を切っていて誤って切ったらしく、ジュンコ嬢の水絆創膏で、とりあえず応急処置。何とか本番を乗り切る。セッティングされていたミュージシャン・ビュッフェに出遅れた私達は、部屋に付いていた夕食券を集めて、ヴィレ君の部屋に集合して2万円分のルームサービスで盛り上がる! いきなり本番だったけど、愉しくできたね! 愉しいびーたになりそうだ!

3/5 早朝7時の新幹線に乗るため、ロビーに6時半集合。タクシー1台に荷物を詰め込み、運転手さんを急かせて間に合う。ヤンネが「関西に比べて東京のタクシーは不親切だ。今日の人はマシだけど。一昨日の運転手さんは一言もしゃべらず、荷物を全く手伝わず、ありがとうも言わなかった」と言うので「外人と見て、英語できなくてビビったんぢゃない?」と答えた。
 
 ココは何処? 京都・・状態で、タクシーで本番の幼稚園へ向かう。ヤンネとパパのサポーターの方のチャペル付き幼稚園のチャペルが開場。十字架の真下に豪華七段飾りのお雛様が飾ってありました。ここで弦楽チーム(フランス育ちのしほちゃん、ドイツ留学経験者の山本さん、語学学者のアメリカ人ウィリアム君)と合流。皆が午前中、幼稚園のよい子に演奏を聴かせている間に、私は別室のベーゼンドルファで個人練習させて頂きました。洟をかんでいたら、外は雪がちらつき、一時は真横に降り、「吹雪か?」 午後の大人向けコンサートに参加。フィンランド・タンゴとクンパルシータだけのつもりが、オブリビオンを演奏している弦楽5人とバンドネオンに、指が勝手にポロンポロン・・と参加していた。

 皆で近所のケーキ屋さんへお茶しにでかける途中に”もち吉”を発見! うちが近頃贔屓にしているお煎餅屋さんで、地元に2軒あり、今回も楽屋菓子に用達して来ているのに、京都にも有るとは! 全国展開やめて下さい

 チャペルご自慢のオルガンを触らせて頂き、現場をあとにして、打ち上げへ・・。京都の中でけれど、何処かは分からない。居酒屋ですねん。この時は、咳がひどくなり、朝からの軽い頭痛に加え、お腹も変で”べりば!” でも一人で去る訳にもいかず、とりあえず うがい薬を買いに走ってくれた世界一親切なジュンコ嬢、ありがとう! 京都でホテルに泊まったのは私一人だった。コープ・イン京都。正露丸をレセプションでもらい、凌ぐ。

3/5 コープ・イン京都の朝食、最高! 道路を隔てた目の前のおばんざい屋さんの佇まいを唯一「京都どすな~」と鑑賞。 10時、ヤンネのマネージャー、明子さんのお迎えで、スーツケースを預け、身体だけ阪急電車で伊丹へ向かう。何かに「気をつけて下さい」と言われた記憶はあったのだけれど、何に気をつけるのか分からなくて、十三での乗り換え時に、そこにいた特急に乗り、塚口を通り過ぎて西宮に着き、Uターン。ヤンネ&ヴィレ・チームも同じ事をしていた。

 ヴァイオリニストの友人、みさ子さん登場! 彼女はタンゴ・ダンスと出会い、それからタンゴを演奏したくなり、度々相談を受けていたのだけれど、今回のヤンネ・タンゴ・バンドでクリニックの企画がある事を話したら、喜んで遙々やって来た。12時から2時間、伊丹アイフォニックの練習室で、ヤンネ&ヴィレ&私で演奏を見せて、そこへ参加、更に細かいタンゴ独特のヴァイオリンのテクニックをヤンネに教わっていました。みさ子さんの大満足顔を見て、皆も喜びました。

 尼崎に移動して、ピッコロ・シアターの隣のお蕎麦屋さんで昼食。私は京都で有名な”ニシンそば”を注文。あ、もう此処は京都じゃなかった・・。 ピッコロ・シアターのリハーサル室で別のリハをしていたジュンコ嬢のリハが終わるのを待って(というより、そのマンドリンのグループの練習時間の余り分でリハーサルさせて頂いたらしい)そこで9時まで、今までまだ練習していない、残りの曲のリハーサル。前日の京都での本番の合間に、ヴィレと、お互いのタンゴ感の違いについて話し合う事ができて、お互いに”歩み寄り”が出来る態勢になりつつあったので、この日あたりからは、スムーズに出来る感じになりました。4人の練習をずっと見ていたみさ子さんに終わり頃、セカンド・ヴァイオリンのパートに参加してもらい、みさ子さん、大変喜ぶ。喜ぶみさ子さんを見て、皆も喜ぶ。

 9時に練習を終えてから移動。西宮で、以前、鯛しゃぶしゃぶを頂いた”はなゆう”という割烹を訪ねて行ったけれど、すでに閉店時間で、マネージャー・明子さんと同郷の方の焼き鳥の店”あしだ”へ行った。それから六甲アイランドのプラザホテル神戸へ。チェックインは11時半だっただろうか・・。雨が降り出した。

3/7 いよいよ神戸での本番の日。2時からの開場ゲネプロまで自由時間なので、10時から地元にお住まいの舘野ファンの小柳さん宅で、ピアノを触らせて頂く。舘野泉さんのお若い頃のポスターなど、色々なお写真やサイン等が壁にきれいにいっぱい貼ってあるお宅。今日は、本番は何だったかな~? と思いながら、とりあえずまだ不安な曲を優先的に練習。約2時間弾かせて頂き、ホテルの下のスーパーで自分で詰めるお弁当を買って部屋に戻り昼食。

 何色の衣装にしたらいいのか分からず、衣装は持たずに隣の(ビル自体はくっついている)オルビス・ホールへ行く。半分円盤型の不思議な、斬新なホール。楽屋が寒い。いくら設定温度を28℃にしても、決して16.5℃以上にならない。 ステージ裏の通路だけ温風が天井から降りてくる。バック側が半円のせいか、天井が向きだしのパイプになっているせいか、客席ではステージ上よりも響かない。弦楽四重奏のゲネプロの時に配置を試したりしたけれど、チェロの向きを客席になど、少し変えた他は、なるがままに任せることに。

 Finlandia in 神戸のタイトルどおり、前半はシベリウスのフィンランディアを様々な演奏形態でやるのをメインに、私も最初のシベリウスの”Valse triste”に参加。これは聞きやすい綺麗な曲。舘野泉さんのソロやお弟子さんの平原あゆみさんとの連弾や、あゆみさんの懇親のフィンランディア独奏。 後半が、弦カルによる楽しい”ボニータ”などの後、私たちのタンゴ。ご挨拶をヤンネがした後、曲目の紹介は私が担当。本番中は”エヘン虫”も陰をひそめるから不思議。

 本番後、楽屋に訪れる方々としばし談笑した後、ホテルに戻り(隣はほんま、便利や~)サッと着替えて18階の打ち上げ開場へ。10:10に始まったのに「10:30までです」と言われるが、実際は11時半までやっていた。みさ子さんは、どうしても早い新幹線で帰らなければならず、11時頃、ホテルを取った新神戸へ向かって行った。