JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

バタイユ 中条省平・訳 「マダム・エドワルダ/目玉の話」

2007-10-22 | BOOK
フランスの思想家ジョルジュ・バタイユによる幻想的なエロティック小説「眼球譚」はそのタイトルからめくるめく妄想を書き立てられ一読したいと思っていたのだが、今回古典新訳文庫で「目玉の話」なんて気の抜けたタイトルになって出版された。最初書店で目にした時はこの改題には極めて批判的だったのだけれど、手に取ってみると訳者が告白体に訳すなど工夫を凝らして読みやすそうなのでまずはこちらを読んでみる事にした。

何故、「目玉の話」なんて陳腐なタイトルにしたのかというとこの小説が眼球、卵、睾丸という3つのオブジェの形態上、音韻上類似を介する無意識の連想ドラマである事に依る。卵、目玉、睾丸はフランス語で「ウフ」「ウユ」「クユ」と音韻上の類似があるという。音韻に拘り「玉子」「目玉」「金玉」と訳したわけだ。なるほど・・・

読んでみて、これメチャクチャ良いではないですか。サド侯爵を上回る暗黒エロティック小説じゃないですか。下品とも思える表現を用いて、この美しさはいったい何なんでしょう。詩的、耽美、幻想、美学・・・

まず、猫の皿に尻を浸すシモーヌの視覚的エロティック表現。
マルセルの存在、3P。
マルセルの発狂から「太陽の黒点」での精神病の鉄格子に括られた大きなシーツの旗。はためくシーツに輝く濡れた黒点。この情景には感動さえ覚えてしまいました。
エロの極みは「シモーヌの告解とエドモンド卿のミサ」へと・・・

玉の連想から来るフェチ度の他にもやたら聖水プレーが出てきて変態度も高い。

70年代、学生たちがセンセーショナルなバタイユを熱狂的に受け入れた(多分)様が浮かび上がります。村上龍も相当影響を受けているらしい。私達高校生などは村上龍「限りなく透明に近いブルー」を介してバタイユ体験をしていたと言えるかも。

「マダム・エドワルダ」
きみはひとりぼっちか?寒気がしているか?の序文で始まる。
何が始まるのかと思えば、狂人娼婦のポルノ小説。

すっかりバタイユ、気に入りました。もっと読んでみたいぞ。
性衝動やエロティシズムを表現していく中で本当の意味での孤独を感じられる体験なんてなかなか無かったので・・・

まずは、生田耕作の名訳「眼球譚」
読み比べという酔狂な真似をしてみましょう。

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