久しぶりにべこぼー(安部公房)を堪能しました。
古本屋の店頭ワゴンにて100円。
この方の長編ってあんまり読んでなかったんだよね。
今更ながら読んでいこうかと思ったりする。
安部公房は時にこれ見よがしの暗喩が鼻を付くこともある。
この作品もそういう面は目を瞑って・・・
現代都会人の不安がどーの、存在という危うさがどーの・・・
これは探偵の物語にしているところが良く、ハードボイルド感覚で読む。
この探偵は「ぼく」ということもありハードボイルドにはちょっと届かないハーフボイルドか。
それは左翔太郎でした。
特に依頼人の弟が突然殺されてしまうまでの面白さ。
その後少しトーンダウンするも後半、冒頭の描写が再度登場してからのぐるんぐるんな怒涛の迷宮。
捜索する「ぼく」が失踪した「彼」と同化するというか、この木乃伊取り的迷宮に溺れてとても気持ちよ良い。
脇で登場するキャラも優れていて、依頼人の女、その弟。
物語に深い関わりは見せないものの別居している「ぼく」の妻の登場場面が秀逸。
「ぼく」がまた失踪した「彼」との共通性を持っている事が現される。
また安部公房の女の描写には何処と無く悪意が感じられて好きなんですね。
登場キャラの魅力から映画化された作品にも関心が持てるわけだけど、勝新太郎、中村玉緒、市原悦子、渥美清ですか・・・なんか微妙。
先に読む事ができたので、また機会があれば映画の方も・・・
勝新といえば「刑事K」という、不思議な作品もありましたね。
文春新書の伝記ですか。憶えておきましょう。
勝新の映画はあまり見ていないんですけど、人物には興味ありますね。
情報ありがとうございます。