Episode5 釣り人往来1
連盟の役員をしている間に驚愕するような人たちの話は沢山聞いた。そのうちの一部を以下に。
新婚旅行は伊豆諸島に行き新妻をそのままに自分は釣りばかりしていた。ところがあまり釣れないので旅行先を急遽三宅島に変更して釣ばかりして帰ったという。また新婚以来、自分の給料を家のために入れたことはない。ただ釣りとパチンコのためだけに消費しているのが彼の自慢だった。ところが驚いたことに彼の息子も同じような男でその話を嘘ではないと言っていた。奥さんは教師でひたすら彼のために働いているという。
Episode6 釣り人往来2
本業は職人さんの人だった。釣行から家に帰った時、また別の釣友が来て今からまた四国へ釣りに行こうという。「よっしゃ!」と二つ返事で奥さんに弁当を作ってくれといって一路四国の磯へ。磯の上で奥さんの手作り弁当箱を開けて驚いた。ごはんとそのおかずには何と家の表札が入れられていた。磯の上が家であるという奥さんの何とも強烈なメッセージであったが、本人は笑い話にしていて懲りた様子は全くなくその後も同じような釣行をしていた。
Episode7 釣り人往来3
住所が車の人の話。比較的知性のあると男と思っていたが、私生活はほぼ釣り具と寝床となった軽自動車での生活だったようだ。三重県の渡船屋さんの息子さんの家庭教師をして、釣り人が残した撒き餌を使って軽乗用車で寝泊まりし磯釣りに通うのである。まともな家庭や仕事も持てなく健康管理もできないため病を得て最後は惨めであったと聞く。割合気持ちのやさしい人だっただけに残念だった。
Episode8 釣り人往来4
その他男女群島が住所という名人もいた。彼らは本当に釣りが好きで中毒でもあったと思うが自分自身も危ないものであると感じた。
その名人とトーナメントで対戦したことがある。最初のポイントで釣れないので声を掛けると交代してもいいですよという。暫く釣りをやめて名人の釣法を見学することにした。すると自分が今まで釣っていたポイントで次々と釣るではないか。とても勝負にならないと思った。暫くして名人は釣りをやめて磯の上で二人で話をした。
いろんな話の過程で今も覚えているのは、もし自分がこの釣りをしていなかったらビルが二つ建っていただろうという淋しそうな顔だった。
自分自身そういう方に若い時にクラブへの入会を勧められたことがある。その時は気持ちが動いたが断った。大釣連の役員をしている時、たまたま縁があってその方のおうちに呼ばれて行き、あの時入会しなくて本当に良かったと思ったものである。
(佐藤談話)
この文章は面白いですね、たいがいみんなが知っている釣り人です。磯の上での、弁当箱、この方なんかはいまだに釣りを介護の人と一緒に行ってるというもう90に近い人、元気で何よりです。ひとのふりみて我がふりなおせとは?
表札が男女群島とは?彼も今も元気で釣りしておられるやめられんのやろな・・・家族とは離れないと言っていたのに、今は独り身のようです、残念!