安倍晋三首相が、翁長雄志知事に「報復措置」続けると、「沖縄独立派」をさらに勢いづける可能性がある

2015年01月09日 00時13分08秒 | 政治
◆安倍晋三首相は、一体何をそんなにカリカリしているのか。「国家最高指導者としては、大人げない振る舞いが目立っている」と国民の間で顰蹙を買っている。これは、先般の総選挙で大圧勝して、傲慢になったせいか、それとも国民からの批判に対して、「一言でも悪口は許さない」という権力者特有の完璧主義が原因なのか、あるいは、その両方なのか。
 安倍晋三首相(自民党総裁)は1月6日、自民党本部での仕事始め式で、2015年度予算案に関し「14日に閣議決定したい」と正式表明している。例年は年末までに次年度の政府予算案を編成することになっているけれど、総選挙が2014年12月14日投開票で実施されたため、総選挙後、約2週間で与党税制改正大綱をまとめ、1月9日に14年度補正予算案を決定、2015年度予算案の国会提出は閣議決定の約1カ月後にズレ込む。
 安倍晋三首相は、沖縄県知事選挙(11月16日投開票)で無所属新人の前那覇市長、翁長雄志候補(共産、生活の党、社民各党の支援)が、移設推進を訴えた無所属現職の仲井真弘多候補(75)=自民・次世代推薦=ら3候補を破り、初当選したため、この政府予算案編成の過程で、「露骨な報復措置」に出ている。
◆翁長雄志知事は2014年12月10日就任し、県庁に初登庁、24日には県庁で記者団に「粛々と県民の要望を伝えたい」と述べた後、同日上京し、25日、沖縄選出の国会議員などと面会、沖縄振興策を担当する山口俊一沖縄・北方担当相と会談したのみで、安倍晋三首相、菅義偉官房長官ともに面会を拒否された。
 この間行われた総選挙(2014年12月14日投開票)で,沖縄県は自民党が全滅した。自民党の当選者が1人もいなかった県は沖縄だけだったので、改めて辺野古基地移設等で反発が強まっていることが裏付けられた。
翁長雄志知事は1月6日、サトウキビ交付金関係の政府要請、全国知事会出席のため上京し、7日にJA沖縄中央会とともに西川公也農水相にサトウキビ関係の要請を予定していた。だが、自民党は中央会が要請する党野菜・果樹・畑作物等対策小委員会への沖縄県側の出席を認めないとの方針を示した。
 そのうえ、安倍晋三政権は、2015年度予算案で沖縄振興予算を減額する方針を固めたという。沖縄振興予算は、2014年度は概算要求額を上回る額だったばかりでなく、自民党の石破茂地方創生相が自民党幹事長だったとき、仲井真弘多知事に対しては、米軍普天間飛行場の辺野古への移設と引き換えに「沖縄振興予算を2021年度まで毎年3000億円をつける」と約束していた。それが、辺野古への移設反対を掲げた翁長雄志知事が当選したのを境に、この約束を反故にしてしまったのである。
予算を要求する自民党の会合には例年、沖縄県知事が出席していたにもかかわらず、8日朝、翁長雄志知事の姿はなかった。要するに、出席を拒否されたのだ。
 このことについて、テレ朝newsが1月8日午前11時52分、「“辺野古反対”知事誕生が影響?沖縄振興予算減額へ」というタイトルをつけたニュースのなかで「政権幹部は、会合に知事が出席できなかったことについて、『当たり前だ。立場をわきまえろ』と知事への不快感をあらわにしています。政府は、従来から沖縄の理解を得ながら基地の移設を進めたい考えですが、対立は深まる一方です」と報じている。いかにも大人げない言い方である。
◆しかし、実際に辺野古での飛行場建設が始まった場合、安倍晋三首相は、翁長雄志知事を一切無視して、着工できるのであろうか。このままでは、安倍晋三首相は、「沖縄に寄り添う」と公言してきたことに反する振る舞いをせざるを得なくなる。米国内では、「ジャパン・ハンドラーズ」(日本操縦者)の代表格と目されているハーバード大学のジョセフ・ナイ教授でさえ、「中国は、沖縄の上を飛び越えて行く長距離ミサイルを持っているので、辺野古に飛行場を建設する意味はなくなっている」と発言し始めている。米海兵隊が、陸海軍に対抗して沖縄に独自の飛行場を持ちたいという「米軍内の派閥争い」のために辺野古に飛行場を建設する必要性は、希薄になっている。
 ましてや、オバマ大統領や米国防総省(ペンタゴン)は、沖縄駐留の米海兵隊をグァムなどに移転配置する動きを活発化させている。なのに、この問題をめぐって、安倍晋三首相が、意地を張って翁長雄志知事に「報復措置」を取るというのは、誠に不毛な話なのだ。
 安倍晋三首相が、あまり翁長雄志知事への「報復措置」を続けていると、沖縄県内で次第に大きくなりつつある「沖縄独立派」の勢力をさらに勢いづける可能性があり、安倍晋三首相自身が、日本の安全保障を脅かすことにもなりかねない。
【参考引用】テレ朝newsが1月8日午前11時52分、「“辺野古反対”知事誕生が影響?沖縄振興予算減額へ」というタイトルをつけて、以下のように配信した。
 政府は、2015年度予算案で沖縄振興予算を減額する方針を固めました。普天間基地の辺野古移設に反対する翁長知事の誕生が影響したのでしょうか。
 (政治部・長谷川由宇記者報告)
 沖縄振興予算は、2014年度は概算要求額を上回る額でした。しかし、政府側は、それが異例で、通常は減額されるものだとしています。
 山口沖縄・北方担当大臣:「地方創生始め、いわゆる子育て支援等、どうしてもやらなくてはならない経費がある。非常に今、財務省との折衝のなかで大変、苦労しているという状況です」
 ただ、沖縄県側は、普天間基地の県内移設反対を訴え、野党の支援を受けた翁長氏が知事になったことが予算の減額の一因だとして反発するのは確実です。また、例年であれば、予算を要求する自民党の会合には沖縄県知事が出席していましたが、8日朝はその姿はありませんでした。自民党は、沖縄県側から正式に出席したいという要望が伝えられていないとしています。ただ、政権幹部は、会合に知事が出席できなかったことについて、「当たり前だ。立場をわきまえろ」と知事への不快感をあらわにしています。政府は、従来から沖縄の理解を得ながら基地の移設を進めたい考えですが、対立は深まる一方です。

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