和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

「書楼弔堂 破暁」読了。

2023-03-29 13:31:08 | 読書感想文。
書楼弔堂シリーズ第1巻「破暁」読了。


久々の京極夏彦でしたが、凄まじいねこの人。

舞台は明治20数年。

明治維新からの文明開化が根付いた頃ですかね。

――と、百鬼夜行シリーズよりも古い時代設定なのに、

登場人物の主義主張は現代の最先端と遜色ない。

差別を嫌い迷信を嫌い、多様性を重んじる。

この点では現代を舞台にしていると言われても信じそう。


歴史上の人物がバンバン登場するのですが、

その背景や人間関係、功績などは史実通りのようです。

でも、「弔堂」で道を開けたのだ、とするフィクションが

絶妙に混じる。

正直、どこまでがフィクションで、どこからがリアルなのか

学のないいずみには分かりません。


ジョン万次郎と岡田以蔵の関係なんか最高だったね。

物の本によれば、岡田以蔵が処刑されたとされる

慶応元年(1865年)以後にジョン万次郎の警護を行っている、

つまり実は処刑されていなかったのだとされているようです。

そこを上手く突いてきた。

勿論処刑後も生きていた云々は作り話の線が濃厚らしいのですが、

本作ではそのフィクションを是としているのです。

嘘をつくのが上手すぎる。


他にも有名人がたくさん出てきます。

知らない人だな、と思っても、ネットで調べると一発で出てきますよ。

それだけ史実に忠実に書かれている。

でも、巧妙に嘘も混ぜている。

そういう小説でした。


色々調べたくなるから、読むのに時間がかかりました。

でも楽しいんだよね、こういうの。

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