10年近く前に買っていただいたお客様のメモリークラフト5400ですが、「何かバラバラに分解しそうな異音がする!」と言う修理依頼を受けました。
お客様の所に伺った時にはそんな音はしなく、「この辺りから音がした。」とおっしゃるので、ベルトカバーを開けて点検しました。
モーターベルトのテンションプーリーが油切れして回らない様でしたので、洗浄して注油しました。
これで終わりかと思ったのですが、ボタンホールの仕方を教えて欲しいと言う事で操作して見たところ、布が送られず全くボタンホールが縫えません。
5400は文字縫いとか沢山の模様縫いも出来るスーパー模様機能が有るのですが、それも全く模様崩れして縫えませんでした。
良く使う直線縫い、ジグザグ、絶ち目かがり縫いは普通に出来るし、返し縫も正常に働いているようで、こんな症状は見た事が無く、本社サポートに電話して聞きましたが、「布送りが正常に働いていない可能性があるが、分解してどこかいじったので無ければ、そこまで酷い狂いが生じる訳がない。」って回答で、一応の調整方法は教えてもらえましたが、お客様のお宅で簡単に出来る事では無い様でしたので、分解掃除も兼ねて修理でお預かりしました。
このネジを回して調節するのですが、「いきなりぐるぐる回してはいけない。」と言われたので慎重に・・・
サービスマニュアルに調整の仕方が書いてありましたが・・・
三重縫いを選んで、布の代わりに紙を縫うようにして、手ではずみ車を回しながら、二針進んで一針戻るときの位置調整をして行きます。
ぐるぐる回しちゃいけないと言われましたが、正常な位置に戻るまでネジを3~4回転回したかもしれません。
それだけひどく狂っていました。
ネジを回しては縫い、回しては縫いを繰り返し、正しい位置に針が落ちるように成ったら調整終了。
その後外装パーツを外して中にたまった埃を取り除き、各駆動部分の動きを確認しながら注油。
組み立て直して再度試し縫い。
ボタンホールも文字縫いも模様縫いも綺麗に縫えるように成りました。
最後にピカピカに磨いて完了です。
「バラしていじくったのでなければ、そんなに模様崩れの故障が出る訳がない。」とサービスの方は言ってましたが、私はこのミシンの分解調整したのは今回が初めて、お客様は他のミシン屋に見て貰ったことは無いとおっしゃいますから、もしかしたら買った時からおかしかった初期不良だったかもしれません。
私も納品の時に一通りの仕様説明して動作の確認もしたけど、ボタンホールやスーパー模様までは確認しなかったからなー
ミシンは、精密機械なんですね。
ミシンは本当に繊細な機械ですよ。