新古今和歌集の部屋

新古今増抄 巻第一 藤原公経 霞隔遠樹 蔵書

 

 

一 建仁元年三月哥合に、霞隔遠樹

といふ事を     權中納言公經

于時從二位。内大臣實宗ノ二男。母ハ中納言

基家 十首入 建仁は土御門院ノ年号也。

一 たかせさす六田の淀の柳原みどりもふかくかすむ春かな

増抄云。六田のよど、大和國、吉野郡也。哥の

こゝろは明也。みどりもといふもの字は、かすみもと

けたるてには也。六田のよど成故に、ふかくと下

句にいひたるは、よせある詞也。よどゝいふは、こなた

かなたより川がながれ合か。又は水のふかみを

頭注
此題定家卿ノ難
題ノ百首の題也。
 
 
たかせさすとたなし
舟の事也。たかせと
いひて舟をもた
せたり。
 



云なり。ながれ合ところも、水がふかきものなり。ふか

くある故に、その川の岸のやなぎもよの所よ

りはみどりもふかきとの義なり。惣而ものゝ

ことわり、所によりて、そのしや別ある故なり。

よき所にあればよくなり、あしき所にあれば

あしくなる理也。人もさやうなり。孟母三遷、

又は論語の里仁篇などおもひ合べしとぞ。

 

 

頭注
山城國の淀川も
宇治川、鳥羽川
桂川、泉川の
ながれ合所にて
水せきあひて
よどむなり。よど
むにによりて他所
よりもふかき也。


 

 

吉野川 六田の柳


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