きやう
鞏
ろの
路
かん
感
くはい
懷
りようん
呂温
馬嘶
白日暮劔
鳴秋氣来
我心渺無
際河上
空徘徊
むまいなゝいてはくじつくれ、けん
なつてしうきゝたる。わがこゝろ
ひやうとしてかぎりなし。かじやう
むなしくはいくはいす
たびぢをまいひ/\
あるいているかけふもはや
なくれにおりつるも、つかれ
ていなゝき、秋の夕風
てさむ/"\おひたるけん
も◯やなりかする。
久しくたびにいる事
かなとおもへ共も、たより
なくはてしもなき
たびくれ一かぎりなく川のほとりを
うちもとつている也。
鞏路感懷 呂温
馬嘶いて白日暮れ、
剣鳴って秋気来る。
我が心渺(びょう)として際(かぎ)り無し。
河上空しく徘徊す。
意訳
私の乗る馬がいなないて、太陽も暮れて、
私の剣がなって、秋の粛殺の気が来たのが判る。
私の心は、果てもなく遠く、限りも無い。
黄河の南岸のほとりを、ただ空く彷徨うだけだ。
※鞏 河南省鞏県。洛陽の東北。黄河の南岸にある。
※剣鳴って 秋の粛殺の気が迫って、剣が音を鳴らすと信じられていた。
※渺 遠く遥かな事。
唐詩選画本 巻第五 五言絶句