世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

胡蝶蘭

2014-03-10 06:48:39 | 画集・線刻派

かのじょの残した作品のひとつです。

かのじょは生前、美女の道の道標として、胡蝶蘭を熱く見つめていました。

古びて来ても、形も色もほとんど損なわず、りんとして咲き続けている。滅びていくときはひそやかに、いつの間にか消えている。
自分も胡蝶蘭のように美しく生きたいものだと、かのじょはよく胡蝶蘭を飽くことなく眺めていました。

しかし、かのじょは胡蝶蘭のようにはなれませんでした。ヒナゲシのように、はかなく消えて行った。

あなたがたは、胡蝶蘭が一体何をしているか、どんな花なのか、まったく知りません。知らぬままに、ただ美しいからと、その美しさが長く持つからと、平気で飾っている。

ヒナゲシよりも、ずっと恐ろしいのですよ。胡蝶蘭は。かのじょでは、とても胡蝶蘭にはなれない。

なお、わたしは、試練の天使でも、サビクでもありません。この第3館は、しばしわたしが管理していきます。

だれかと名乗ることはしませんが、ちがうものだということはわかっていてください。
このようにして、しばらくこちらでやってみましょう。もちろん、あなたがたが重いと感じたら、すぐに試練の天使と交代します。

わたしたちはこれからも、様々なことを試みてゆきます。




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豆のさやの船

2014-03-10 03:43:12 | こものの部屋・第3館


      



「特別なんですよ。醜女の君がおやさしいから、こんなにたくさんくださるんです。ほんとはこんなことに使ってはいけないんですよ」少年は念をおしながら、老婆に白い袋を渡しました。その中にはぎっしりと月珠がつまっていました。老婆は大喜びで、それを一つ口の中に入れ、飴のようになめ始めました。老婆によると、それはそれは、涙の出るほどおいしいのだそうでした。







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