世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

エデンより・3

2014-03-13 06:27:57 | 夢幻詩語
       *

 エデンには、たくさんの鳥や動物たちがいました。泉から溢れ出る小川には、たくさんの魚もいました。アダムとイヴには、鳥や獣や魚たちのいうことが、わかりました。だから、いつも、アダムとイヴは、鳥や獣や魚たちと、自由に話したり、おもしろい遊びをしたり、時には軽いけんかもしたりなど、していたのです。

 森にはおいしい木の実がたくさんあって、いつでも食べることができました。アダムとイヴは、森の木の実を分け合いました。鳥や動物たちにも、ちゃんと分けてあげました。

 ラファエルは、森にたわわに実る木の実の種類や、味や、効き目などを、アダムとイヴに教えました。

「この赤い実は、食べると体が暖かくなるから、寒い時に食べなさい。この紫色の実は、とても甘くて、つらいことがあった時に食べるといいんだよ。そしてこの黄色い実は、すっぱいけれど、消毒に効くんだよ。けがをしたりしたときに、食べなさい」

 アダムとイヴは、ラファエルに教えてもらったことを、一生懸命、覚えました。そしてそれを、鳥や動物たちに教えてあげたりもしました。分け合うことがどんなに大切なことか、うれしいことかということも、天使に教えてもらっていたからです。

 ところで、森には、一本だけ、青い実のなる木がありました。天使ラファエルは、それだけは決して食べてはいけないと、アダムたちに教えました。
「なぜ、食べてはいけないんですか? とってもおいしそうだけどな」
 たずねるアダムに、ラファエルは教えました。
「この木の実はね、長い時をかけて熟すんだよ。赤く熟すまでには、まだ相当時間がかかるのだ。これは大切な知恵の木の実でね、食べると、大切な真実の一つがわかる。けれども、熟さない青いうちに食べてしまうと、それはかえって君たちの毒になってしまうんだよ。だから、この実が青いうちは、決して食べてはいけない」
 ラファエルはこんこんと教えました。イヴが言いました。
「わかりました。赤くならないと、食べてはいけないんですね」
「そうだよ。約束はちゃんと守っておくれね」
 ラファエルは言いました。


明日につづく





コメント (1)
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タンザナイト

2014-03-13 04:13:55 | こものの部屋・第3館


      



わたしの左手には小さなフクロウの形をした銀の腕時計がありました。時計と言いますが文字盤も針もなく、ただカチカチという音がするたびに、タンザナイトの青い目が左右にせわしく動くのです。その体内には瑠璃や水晶のような、闇と光の歯車の仕掛けがあって、それは時の中で割れることも腐食することもなく、正確に永遠を数えます。そしてときどき思い出したように、フクロウは、ほう、といって何かを知らせるのです。でもそれが何を知らせているのかは、わたしには全くわかりません。






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