本館からお借りしてきました。
これは、彼試練の天使が描いた作品の中で、わたしが一番好きなものです。愛すべき牙の天使アルギエバの心を、明るく表現してくれている。
しかし、実際の彼の風貌は、これとはあまり似てはいません。この絵は、彼の性質を、人間レベルに変換して描いたというものです。この絵を見ると、彼には似ていないのに、彼の暖かさそのものを感じる、そういう絵になっています。
ではなぜ、試練の天使は、アルギエバの風貌をそのまま描かなかったのでしょうか。それは、そのまま描けば、あなたがたが非常に驚くからです。
わたしたちの姿は、それほど人間とは変わりありません。しかし、一目見て、人間ではないとわかる姿をしています。
たとえば、日本人から見ると、姿はそっくりなのにもかからわず、韓国の人や中国の人が、自分たちとは全く違うことがわかるように、人間も天使を見ると、そっくりなのにまるで違うと思うのです。
アルギエバは、男性として、男性的過ぎる顔をしています。それはそれは激しく美しい。荒々しくも、自己存在として絶妙のバランスがとれている。しかしその顔は、人間の男性としては、ありえない顔なのです。
ですから、試練の天使は、彼の顔をそのまま描かなかったのです。
真実の天使も、人間にはありえない存在ですが、その顔そのままを描いても、それほど人間からかけはなれてはいません。だからそっくりにも描けるのですが。
わたしたちの中には、これはとてもそのままの形では描けないというものもいるのです。
わたしたちは、人間的な姿をしていますが、人間ではないと一目でわかるかたちをしています。それが実に美しいという存在なのです。