映画レビューは基本的には、【観劇レビュー&旅行記】の方で書いていますが、昨日の山田洋次監督の受賞記事に続いて、【アバター】についての読売新聞の記事を、こちらのブログで紹介します。
この種の内容をを読売新聞が取り上げて記事にしていることが興味深い!
要するに映画【AVATAR】を
米国の保守派・軍関係者・一部のキリスト教会幹部が「反米、反軍の映画だ」と批判している
というお話。
そりゃあれだけ無謀な侵略を自然神ナビィを信仰するパンドラ星に対して行い、その司令官の命令の内容が
【「先制攻撃が必要だ」「衝撃と 畏怖 ( いふ ) を与える」などと、ブッシュ前政権の戦略そのままのセリフを口にする】(読売)
となれば、当然ブッシュ政権以来米軍が世界各地で行っている戦争とダブらせて見るのも当たり前の話です。
【映画の脚本も担当したキャメロン監督は、ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューで、「この映画は我々が戦っている戦争を反映している。兵士は不当に戦場に送られている。この映画で目覚めてほしい」】(読売)
と語っているというから、保守派などがそういう思いを巡らすのも致し方ないであろうが、それが実際に行ってきた侵略であるのだから言い逃れできない。
日本で映画【YASUKUNI~靖国~】が自民党政府高官や右翼が大騒ぎしたおかげで当初の期待を数十倍?(数百倍か?)上回る興行収入と上映大幅延長をもたらしたのと同じように、米国の反対派が騒げばますます【AVATAR】人気も沸騰するに違いないでしょう。
映画やTV番組のコンセプト(考え方)を権力やその周辺から批判するのは裏目に出るということをくれぐれも認識しておいて欲しいものです。
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「アバターは反米・反軍映画」保守派いら立ち
読売新聞 2010年1月31日(日)13:05
【ロサンゼルス=飯田達人】世界興行収入の記録を更新中の米映画「アバター」(ジェームズ・キャメロン監督)について、米国の保守層などから「反米、反軍の映画だ」といった批判が相次いでいる。
3D(立体)技術を駆使した娯楽大作が思わぬ論争を巻き起こした底流には、アフガニスタンやイラクでの長引く戦争に対する米国民の 厭戦 ( えんせん ) 気分と、それに対する保守派のいら立ちがある。
◆教会からも
映画の舞台は22世紀の星パンドラ。希少鉱物を狙う人間たちは、美しい自然と共生する先住民ナヴィと戦う。元米海兵隊員ら軍服の人間は、圧倒的な軍事力で自然破壊をいとわない悪役として登場、「先制攻撃が必要だ」「衝撃と 畏怖 ( いふ ) を与える」などと、ブッシュ前政権の戦略そのままのセリフを口にする。
保守派の論客ジョン・ポドホレッツ氏は自身のサイトで「観客は米兵の敗北に声援を送るようになる。強烈な反米的内容だ」と非難。現役海兵隊員のブライアン・サラス大佐は隊員向け新聞に「軍の未熟さや凶暴さが異常に強調され、誤解を与える。ひどい仕打ちだ」と記した。
保守派らの反発には、長期化する戦争から民意が離れている現状への焦りが読み取れる。CBSテレビなどの昨年末の世論調査では、アフガニスタンでの戦況が「良くない」と感じる人は60%に達した。
自然の中に神が宿るという、キリスト教などの一神教とは相いれない信仰をナヴィが持っている点にも批判が出ている。
保守派コラムニスト、ロス・ドーサット氏はニューヨーク・タイムズ紙で、「映画は、神と世界が同一という汎神論的な考えに共鳴するキャメロン監督の長い弁明」と指摘。カトリック教会の一部からも汎神論の思想が広まることへの懸念の声が出ている。
◆監督は反論
近年のハリウッドの大ヒット作は、ヒーローが活躍する単純な作品が多かった。これに対し、アバターが戦争、宗教、環境など米国の国論を二分するようなテーマを含んでいるのは事実だ。
映画の脚本も担当したキャメロン監督は、ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューで、「この映画は我々が戦っている戦争を反映している。兵士は不当に戦場に送られている。この映画で目覚めてほしい」と語り、ふたつの戦争に反対するメッセージを込めたことは認めた。一方で、米軍批判との指摘には、「心外だ。私の弟は海兵隊員だが、彼らを心から尊敬している」とテレビ番組で反論した。
同紙の映画評論家、ケネス・トゥーラン氏は、「かえって映画の宣伝になり、キャメロン監督の思うつぼではないか」と皮肉っている。
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