以前より、たまには紹介している東北・仙台を拠点に発行されている
【河北新報】 (Web版) が、積極的な論調を展開しているので、
最近の社説のリンクを御紹介して、本日の社説のみ引用します。
被ばく線量偽装/東電の管理・監督責任は重い
河北新報 社説 2012年07月30日(月)
原発と活断層/容易ならざる危機的状況
河北新報 社説 2012年07月27日(金)
オスプレイ上陸/「飛行ありき」は認められぬ
河北新報 社説 2012年07月25日(水)
政府原発事故調/「人災」の総括では済まない
河北新報 社説 2012年07月24日(火)
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被ばく線量偽装/東電の管理・監督責任は重い
河北新報 社説 2012年07月30日(月)
東京電力福島第1原発事故の収束作業をめぐり、被ばく線量偽装の疑いが発覚し、厚生労働省が調査に乗り出している。
東電の下請け企業が、作業員に対し鉛のカバーで線量計を覆うよう強要していたという。
鉛はガンマ線などを吸収する能力が高い物質で、放射線を遮蔽する目的で広く利用されている。線量計を覆うことはその性質の悪用であり、被ばく線量が実際より相当低くなってしまう可能性が高い。
原発作業員の健康のための被ばく管理が台無しになる悪質なごまかしだ。
原子炉などの破損によって福島第1原発の構内には、膨大な量の放射性物質が拡散した。その過酷な環境の中で、原子炉の中の核燃料を冷却するという前例のない厳しい作業を続けなければならない。
鉛のカバーを取り付けさせたのは下請け企業だったとしても、東電には以前と比較にならないほど厳格な安全管理が求められているし、国も厳しくチェックしていくべきだ。
線量偽装に関わったのは東電グループ企業の下請けに当たる福島県内の建設会社の役員で、昨年12月に5人の作業員の警報付き線量計に鉛のカバーを取り付けさせたという。
作業現場付近の1時間当たりの線量は0.3~1.2ミリシーベルトと高かった。1日2時間、1カ月に10日間作業したとすれば、それだけで6~24ミリシーベルトに達し、一般の人の年間線量限度(1ミリシーベルト)をはるかに超える。
職業被ばくの場合の年間限度(50ミリシーベルト)を考慮しても、かなり厳しく被ばく線量を管理しなければならない作業だったことは確かだ。
関係者から事情を聴いて、詳しい経緯を調べなければならないのはもちろんだが、東電も深刻に受け止めて再発防止策を講じなければならない。
鉛のカバーを取り付けた線量計は東電側が貸し出しており、それを基に作業時間や被ばく線量を管理していたという。原発構内で作業をさせる以上、東電は場所ごとの空間線量をあらかじめ調べ、作業員の被ばくも個々の線量計で把握しておく責任があるはずだ。
空間線量と作業時間によって、おおよその被ばく線量は予想できるはずであり、決してごまかしを見逃さない態勢で臨むべきだ。下請けや孫請けに任せっきりでいいわけがない。
鉛のカバーを取り付けた理由について、建設会社の役員は記者会見で「警報が鳴るのを遅らせることができれば、作業員を安心させられると思った」といった内容の説明をしたが、とんでもないことだ。
放射線の影響や防護の必要性について、建設会社や東電はどんな教育をしていたのかと疑いたくなる。
福島第1原発はこれから何十年も、高線量下の厳しい作業が避けられない。現場作業員の被ばく低減策は最重要のテーマであり、東電にはその重い課題も課せられている。
2012年07月30日月曜日
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