醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1055号   白井一道

2019-04-13 07:52:23 | 随筆・小説


  高知の酒「美丈夫」と山形の酒「秀鳳」を楽しむ



侘輔 今日楽しむ酒は、四国、高知県濱川商店「美丈夫」と山形県山形市の酒「秀鳳」だ。「美丈夫」も「秀鳳」も我々にとっては馴染みのお酒かな。
呑助 「秀鳳」も「美丈夫」も今まで何回も楽しんでいますね。
侘助 「美丈夫」は冬二月酒販店さんからの受注生産の季節商品の「あらばしり・純米吟醸酒」。米は松山三井、高知県産の酒造米のようだ。年間商品ではなく、今の時期でしか楽しむことのできないお酒だ。
呑助 そろそろ酒造りが終わり、蔵での熟成が始まる頃の新酒の味わいですかね。
侘助 新酒には新酒のフレッシュな味わいがあるよね。「美丈夫」の酒は綺麗で軽快、切れの良い酒という印象が強いが今年のこのお酒は少しボディのある飲み応えのあるお酒になっているようだ。
呑助 酔いの楽しみにはもってこいのお酒だということですね。
侘助 山形の酒は本当に美味しい酒という印象があるのよね。
呑助 山形の酒というと「十四代」とか、「出羽桜」の酒がもてはやされているが、我々にとって、山形の酒というとやはり「秀鳳」さんですかね。
侘助 「秀鳳」さんのお酒との付き合いも古くなったね。今回のお酒も秀鳳さんの季節商品、この時期だけの酒販店限定販売のお酒、「花見酒」なんだ。グレードは「特別純米酒」、アルコール度数は14.8度、15度を切っているにもかかわらず、原酒で出荷してくれている。一切加水をしていないと話していた。火入れはしているが甘味は残っていると思うよ。
呑助 切れのある甘味ですかね。秀鳳さんのお酒は軽快さにありますよね。
侘助 酒造米は山形県産米の「出羽の里」を使っている。心白の大きな酒造米なので60%精米であっても雑味の少ない綺麗なお酒に仕上がっていると杜氏さんがおっしゃっていた。
呑助 喉越しが良く、切れがいいということですか。
侘助 べたっとしつこいのは、食べ物でも飲み物でもよくないよね。
呑助 「切れ」というのはけじめということですかね。だらだらしていてはいけないということでしようかね。
侘助 酵母は1801の協会酵母で醸していると言っていた。この酵母はカ プロン酸エチル及び酢酸 イソアミルが高生成するので香り高いお酒になっていると言っていた。
呑助 カプロン酸とか、酢酸イソアミルというのは香成分のことですよね。
侘助 リンゴのような果実香がカプロン酸エチルといわれているものかな。
呑助 酢酸イソアミルというのはどのような香がするのでしょうかね。
侘助 バナナあるいはメロンのような香が酢酸イソアミルと言われているもののようだ。
呑助 ほのかな香ですね。このような日本酒の香りを知ったのも吟醸酒を楽しむようになってからですね。
侘助 吟醸酒と言えば、協会酵母9号、熊本、香露の蔵で見つけられた酵母が協会酵母として日本全国に普及し、吟醸酒を醸す酒蔵で使われるようになった。9号酵母を改良し、あふれ出す泡を抑えた吟醸酵母の一つが1801協会酵母のようだ。



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